後日談
実は完結設定をするの忘れてました。
蛇足ですが、ななぐさは本当はハッピーエンドが好きなんです。
「ほら、明美。ここが父さんと母さんの生まれ育った町だよ。」
娘を肩車しながら、俺はそう教えていた。
あれからいろいろなことがあった。
俺も今ではいっぱしの記者となり、なかなか休みも取れない状況だった。
そんな時に沸いた町議会選挙。その取材にかこつけて、俺はこの街に帰っていた。
8月の中旬。こんな時期に選挙するなんて非常識だが、俺にとってはありがたかった。
夢の国を持っていた町は、今では新町長の指導の下、新しい夢の町になっていた。
自分の畑で採れた野菜を自分の食卓に。
そのキャッチコピーのもと、個人融資者と生産農家を結びつけた政策は安定的な利益を生み出していた。
また、子供限定の夢の国は、子供に自分の植えた作物の成長の様子をお届けし、そのすべてを子供に送るサービスを作っていた。
これにより、この町に移住を求める若者が出始めていた。
過疎化の波にあって、この町は、一定の人口ピラミッドを保っていた。
「それで、町長。成功の秘訣は何ですか?」
俺は娘と共に、町長の家に押しかけていた。
「まあ、そうですな。若いうちの苦労です。特に夜のマラソンとかはいろいろ人生を見直せます。」
町長はそう言って笑っていた。
「なるほど、笑う門には福来る。ですね。ありがたいお言葉ありがとうございました。」
俺は自分の感想をメモっていた。
「おいおい、それじゃあ、俺、インタビュー答えた意味ないだろ?」
そう言って笑う大人を横切り、娘が庭の方に歩いていく。
「ねえ、お父さん。お母さん。あそこにいる人だあれ?なんだか手がないの、怪我したのかな?大丈夫かな?」
明美は心配そうに見つめていた。
その視線の先にいる人は、今の俺には見えなかった。
でも、その様子から、俺は安心していた。
「ああ、明美。その人はね。お父さんの親友だよ。お母さんの友達でもある。ちょっと訳があって、一緒にはいられないんだ。だから、そうして和美を見守ってくれている。とっても優しい人だよ。」
俺は、その視線の先にいるであろう人物にむけて、俺の想いを告げていた。
「そうね。明美。お母さんもそう思う。」
先に来て料理をしていた和美がそっと明美を抱きしめていた。
「あっ笑ってる。うん。またね!」
笑顔で手を振る明美を見て、俺はここに帰って来てよかったと思っていた。
というわけで、本当におしまい。