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誠のメール

これにて終了となります。

ホラーとしては物足りないのかもしれません。

それでも、読んでいただいた方々に感謝いたします。

「意外に早かったな、和彦。お前の分の朝飯とっといたから、くってけよ。」

息を整えながら、玄関に姿を現した和彦に、俺は爽やかに挨拶した。


「おまえな。俺の鷹の目なめるなよ!」

街頭一つない山道、良く走って戻ってきたもんだ。


というか、鷹の目だったら見えないだろ。


言いたいことは山ほどあったが、とりあえずスルーしておく。


「和彦。鳥目じゃ無理よ。」

後から来た和美は、シャワーを浴びてすっきりとしていた。

そしてダメな子をみる顔で和彦にそう告げていた。


「いや、高性能鷹の目だから。」

和彦はあくまでも和彦だった。


あくまでもそこにこだわるんだ。

それはそれで立派だった。


「魚の目だっていいから、とにかく上がって飯食ってけ。」

もはや投げやりに近いが、俺も遊んではいられなかった。


「それが終わったら客間に来い。一応報告しておく。」

それが誠のためだと思っていた。



そして、なぜかオヤジとおふくろまで交えて、俺の報告会が始まった。


全ては、誠からのメールだった。


誠はオヤジさんの葬儀のあと、塔子さんと共に、日記を見つけたようだった。

そこで知ったことは、自分が実の子でないこと。

当時新聞記者として取材に来ていた星田誠という記者の子供だったということだった。

本当の塔子さんの息子である成田誠は、その時に成田のオヤジさんの体罰で死亡したようだった。


そこには、塔子さんの壊れようが生々しく書かれてあった。


自分の顔をかきむしり、呪詛をはきながら暮らしていたそうだった。


食事もとらず、痩せていく姿。

いつしかきれいな黒髪も白髪になっていったようだった。


塔子さんとは別に誠も変わっていったことが記されてあった。


自分の父親が殺される寸前の記憶が戻ったとのことだった。

町長と田所という会話。

父親を事故死に見せて殺すという会話。


その時震えるからだと声を押し殺し、車内で息をひそめていた誠は、恐怖に支配されていた。

やがて、がけから車ごと落とされたとき、誠もまた転落していた。


車は湖の中に落ち、衝撃でドアが開いたとこまでは覚えていたが、そこからの記憶はなかったようだ。


そして、気が付いたときには、普段は誰もいない家だった。

そこで与えられたのが、成田誠という名だったようだ。


最初、誰もいない家の中で過ごすのは、記憶の問題と思っていた誠は、それが当たり前と思っていたようだった。


そして、睡眠薬をのんでボーとしているままにドリームランドに連れて行かれたことも覚えていた。

ミラーハウスで覚醒した時に、中で父親である成田さんに、もうおとなしくしなくて良いことを教えられた。

明日からは学校にも行ってよいことを告げられたようだった。家も変わると教えられたようだった。


そうして喜んだ誠は、俺のよく知る誠だった。それがミラーハウスの真実だった。そこだけは本当に入れ替わりがおこっていた。亨先輩の考察は見事に的を得ていた。



そして、記憶を取り戻した誠は、問題の本当の父親の死についても、克明に調べ上げていた。

成田さんの手記や、殺した町長たちから仕入れたのだろう。

とても捜査では明かしきれないものだった。


事の発端は町が密かに行っていた産業廃棄物の不法投棄だった。

誰もたたりや呪いで近づかない古戦場跡地に膨大な産業廃棄物を捨て始めていた。

それで町の財政と懐を賄っていたようだ。


そして、それが隠しきれない量になったころ、ふるさと創生の話が降りてきた。


町長以下6人はこれを機に遊園地を作成、その造成として出る土と共に産廃物を処理していった。

そして、その土地を6か月間遊園地として運営し、しかも、閉園するために、当初から奇妙なうわさまで流して、劣悪遊具で体裁だけ整えていた。


ジェットコースターはその噂として事故をあげ、いつも点検中で乗れないようにしていた。


アクアツアーの不気味な生物の噂では、異臭をごまかすようにしていた。


そして、ミラーハウスのうわさ。ここでは、誠が実例として使われていた。


成田議長は最初この計画には反対だったが、誠の件で町長から入れ替わりを提案されていたようだった。

議長の日記にはその苦悩が記されていた。


しかし、本当の誠の死を知った塔子さんの嘆きを考えると、入れ替えを行うことを決心したようだった。


そして、すべての復讐を終えた誠は、生きるしかばねとなった塔子さんをつれて、ドリームキャッスルに向かったようだった。


その前に、すべてを記した記録を俺にメールしたというわけだ。


俺は、メールに書かれていた内容を思い出しながら、全員にその真実を話していた。

誠の身にそれから何があったのかはわからない。

しかし、誠の死に顔は満足そうだった。


しかし、謎の頭痛、PCの発火や携帯の発火。そして、携帯の分断など、わけのわからないことは数多くあった。


そして、誠の手。


この世の中には、常識では測れない様々な出来事が起きているようだ。


おれは、誠が和美を危険に巻き込まないようにしてくれたこと。

メールを送った後に、思い返して、俺をこの場に近づけないようにしたこと

そして、塔子さんから俺を守り、塔子さんと旅立ったという理解をした。


全てを話し終わり、誠に感謝していると、近所のあわただしい声が聞こえてきた。


「遊園地跡で火災ですって。」


その声に。あのメッセージがよみがえってきた。


はい、この事は公表しません。

俺はそう心にそう誓い、静かに冥福をお祈りしていた。


期間中に勉強して、また書けるようなら書いてみます。

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