SEA - ADVENTURE ☆72☆
☆ 72 ☆
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ーーーーーーーーーーーーピチャンッ……
「………………」
水の音がしてゆっくりと目を開ける。
周りはぎっしりと本が詰められた本棚に囲まれていて薄暗い。
「…ここは、城の地下室ですね…」
「とりあえず…海陸界に帰ってきた…か……」
薄暗い中で、皆の声が聞こえる。
皆、薄暗い中でお互いの姿を確認しながら扉へ向かう。
ーーーーーー静かだ…
皆の声も、どこか遠くから聞こえる……。
ーーーーーー「野分!」
シェスカの呼ぶ声ではっとして顔を上げる。
扉の前のランプに照らされて、皆の姿がはっきりしてくる。
「野分大丈夫?寒くない?」
シェスカが心配して声を掛ける…。
寒い……?
そっか…皆で海陸界に来るのに海に飛び込んで…
ーーーあれ?
なんで俺寒くないんだろう……?
周りを見ると上着を絞って震えるマミロに上着を掛けるハブが見えた。
カリスもアロスも濡れた上着を脱いでいて、目の前にいるシェスカに視線を戻すとシェスカも全身びしょ濡れでそのまま心配そうに見つめていた。
「っ…シェスカ、風邪ひく…ぞ…」
野分も上着を脱ぐと絞ってシェスカに被せると笑い、皆に背中を向けた。
「……何も聞こえませんね…?」
「上はどうなってんだろうな…」
アロスの言葉にびくっとするが、すぐに自分のことではないと解り振り返り扉を見つめる。
「俺の結界がやぶられてないか、もうすでに…」
「っ、行こうっ!!」
岳の話しの先にぞっとして、野分が言い皆顔を見合わせる。
カリスが扉を避けてガチャンッと扉を開けて手を離す。
扉の向こうは何も変化なく、静まりかえっていて野分達は再び顔を見合わせ頷き合うと扉から飛び出して行った。
「っ…ミナタっーー!!」
城内は特に変わった様子はないが兵士も誰もいなく、静まりかえっていた。
野分は叫びながら城内を探し回る。
岳は地下室を出てからすぐに自分の結界がやぶられていることに気が付いていた。
岳の様子に皆、最悪の結末を想像してしまう。
皆で探し回っていると一つの扉の前でハブが立ち止まり見上げる。
「イット?どうしたの?」
「カズミさん……?」
ハブが立ち止まり見つめている扉の部屋は、野分の部屋だった。
野分とハブでその扉をゆっくり開けて中を覗くと、部屋内には兵士とミナタ、カズミ、そして母さんがいた。
「っ…ミナタッ!!」
兵士は壁に寄りかかりグッタリしていて皆、気を失っているようだった。
カズミが腰掛けるベッドの中心で縮こまっているミナタに駆け寄った。
「皆無事だっ…良く眠ってる……」
ミナタをすぐに抱き起こして呼吸を確認し、カズミの言葉に安心するとぎゅうっとミナタを抱き締めた。
「やっと戻ってきたっ…結界代われっ…!」
「カズミさんっ…!!」
カズミに言われ岳が頷くとカズミはそのまま後ろに倒れ込み、ハブとマミロもカズミのところへ駆け寄った。
「しんどっ!たくっ、なんつーもんに結界はってんだよっ…俺だけじゃ無理だったぞっ…!」
カズミはぐったりしながら岳を睨む。
前と変わらない様子のカズミにハブとマミロがほっと安心する。
母さんもカズミの頭に座るとハブが笑い掛ける。
「で、マガはどうしたんだ?」
「何があったか、話してください」
カリスとアロスが真剣に岳とカズミを見た。
2人はゆっくり話し始める。