SEA - ADVENTURE ☆68☆
☆ 68 ☆
「"星の島"俺も聞いたことないな…」
「私も…」
その日の夜、岳に聞いたことをハブに話した。
"星の島"の存在はやっぱり知らなかったようでハブもマミロも首を左右に振っていた。
「昔の大賢者の記憶なんだって…選ばれた者しか行けない島らしい…」
「島のルートとか場所の記憶はないのか?」
ハブが野分に問い掛け、すぐ後ろにいる岳を振り返ると岳はゆっくり左右に首を振った。
「この記憶事態、最近になって少しずつ理解出来るようになったんだ…場所までは……」
「解ってるのは"星の島"って名前と、『全てを救える力が欲しい』という約束をしたってこと…」
カリスが話し、暫く沈黙が流れる。
「まあ、海陸界や海の王関係なら俺達もお前らも見ないふりは出来ないよな…」
ハブが呟き、マミロと顔を見合わせるとゆっくりと頷いた。
「なんにしても、まずは情報が少なすぎるよ…」
「カズミさんとか母さんにも聞いてみるか…」
ハブとマミロの様子に野分達も少し安心したように表情が柔らかくなる。
野分が視線をそらすと、シェスカがその様子を見て何か考えているように見えた。
野分はふと、シェスカが相談があると言っていたことを思い出した。
ーーーーーーーー
「………どうした?」
皆寝静まる頃、眠れずにいるとシェスカがいてゆっくりと近付き隣に座り声を掛ける。
「………………………」
シェスカが話そうとするがどこか迷っているようで沈黙が続く。
「…昔さ、岳と南月と3人で冒険しようっ!って行ったことあるんだ……」
沈黙の中、野分がゆっくり話し始める。
「その頃に3人で良く見てた本があって、題名は忘れちゃったけど、勇者が魔王を倒しに仲間と旅に出るありきたりな話しでさ…『俺達も魔王を倒しに行くぞ!』って家飛び出して行ったんだ…だけど南月が家出てすぐ転んで泣いたり、岳は路地裏とか見つけると入って行くしでパーティーはバランバランで…」
野分の話しを想像しながらシェスカが聞く。
「今じゃ考えられないけど、南月がすぐ泣くんだ、だからその後からずっとおんぶして歩いて岳追いかけて、もう超大変だったよ…」
シェスカは普段の3人の様子を昔から変わらない姿に笑ってしまった。
「でもその時に3人で経験したこととか、感じたこと、見たものとか忘れられないんだ…もちろん3人で怒られたことも…」
野分の昔の話しを聞き、シェスカも昔を思い出す。
カリスとアロスと出会って…
辛いこともたくさんあったけど、2人といつも一緒で…毎日楽しかった……。
「あ、あのね…再生の獣神…お母様のことなんだけどーーーーーー」
シェスカがゆっくりと話し始め、野分は頷きながらゆっくり話しを聞いた。