SEA - ADVENTURE ☆67☆
☆ 67 ☆
「野分の父親…神崎勝呂は"星の島"にいる…」
買い物を終えて、近くのカフェに入り休憩中に岳が話し始めた。
「"星の島"…聞いたことありませんね」
「俺もだ…」
アロスもカリスも聞いたことのない島の名前に首を傾げる。
「いや、実際にあるんだ海陸界に…選ばれた者しか行けない島だ…そこに親父さんはいる…」
岳は目線を上げ、野分を真っ直ぐ見る。
岳の真剣な表情から目が逸らせなくなる。
「その情報、どこで知ったんだ…?」
「……大賢者の記憶にあったんだ…昔、俺じゃない大賢者がある人物と1つの約束をした…」
「約束…?」
野分が岳に問い掛け、岳もゆっくりと頭の整理をしながら話す。
カリスもアロスも一緒に話しを聞く。
「"全てを救える力が欲しい"と……
ーーーそしてそれは初代海の王の魂を受け継いでいる野分と、ハブにしか出来ない…」
「俺と、ハブに…?」
野分は岳の話しを聞きながらも疑問が多く、頭の整理が追い付かない。
選ばれた者しか行けない"星の島"
ある人物との約束…
その約束は俺とハブにしか果たせない…
「まぁ、海の王関係のものなら俺もハブも協力するけど…」
「俺も出来るだけ協力する…悪いな、昔の話しだから俺も理解するのに時間がかかった…」
野分の返答に岳は苦笑して返す。
その様子をアロスとカリスが見つめていた。
「そのーーー………
ーーーーーーーードンッ!!
「つっ!?」
アロスが口を開こうとした瞬間、何かがぶつかる音がして皆驚く。
アロスとカリスは立ち上がり構えた。
「お兄ぃー!遅いよー!」
「っ…り~ん~……」
音のした方を振り向くと窓ガラスにぺたあっと顔をくっつける鈴がいて、一緒にシェスカと南月もいた。
「とりあえず、ハブにも話しておかないと…」
「………………」
野分が鈴達に手を振り帰る準備をしながら呟く様子を岳はただ見つめ、少し遅れて席を立ち上がった。
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「そうだったんだ……」
「"星の島"なんてお前も知らないだろ?」
「知らなーい」
帰り道で話されたことをカリスがシェスカに話していた。
野分は鈴と南月に挟まれて楽しそうに話しながら前を歩いていて、その後ろをアロスと岳が何やら話しながら歩いている。
「生まれ育った世界に、まだ知らないものがある…それってまだまだ自分達が成長出来るってことだよな」
「え………」
カリスの珍しい真面目な話しにシェスカは不思議そうにカリスを見る。
その視線に気付きカリスがシェスカの頭をぐしゃぐしゃっと乱暴に撫でた。
「つ~…ちょっとー!!」
「はははっ!妖怪みたいだな!」
2人で騒ぎながら前を歩く皆に追い付く。
アロスはその様子に少し驚くが、昔を思い出し笑っていた。
それから皆で歩いて行き、野分の家へ向かった。