SEA - ADVENTURE ☆2☆
☆ 2 ☆
「野分様、急に驚かせてしまってすみません」
強制的に連れて来られてポカンとしている野分に話し掛ける1人の少年。
「私は「アロス=ミナス」です。お待ちしておりました、第15代目 海の王」
「……海の王…?」
ポカンとしている野分にアロスはにこっと優しく笑った。
「千年前、この世界は"マガ"という最恐、最悪な怪物がいました。世界は"マガ"を恐れるがどうしようもない現実に見ている事しか出来ませんでした。そこに1人の少年が現れ海を操り、この世界を救った…初代海の王の伝説です。」
「海の王……」
アロスは真剣に話した後、にこっと笑い立ち上がる。
「さて、行きますか…仲間のもとへ」
もう野分はちんぷんかんぷんでアロスについて行くしかなかった。
外に出て暫く歩くと大きな木が見えてきた。
「アロスー!!」
近付いて行くと女の子が木から降りてきてこっちへ近付いてくる。
「え……げぇ!?」
良く見ると女の子に続いてライオンが近付いてくる。
「どしたの?どしたの?」
女の子は、はしゃぎながら目の前まで来る。
もちろんライオンも……。
野分は反射的に後退る。
「野分様、この子は「シェスカ=ロンリ」。シェスカ、このお方は第15代目海の王、神崎野分様です。」
シェスカはアロスの言葉を聞くと急に態度が変わり、片膝をつき頭を下げる。
「初めまして、海の王、神崎野分様」
そう言うと顔を上げてにこっと笑った。
いや…ライオンが気になって笑えない…。
「そんな奴が海の王で大丈夫かよ…?」
話しているとシェスカがいた木の方から声がして3人は上を向く。
「弱そうだなっ…この海陸界もマガもなめられたもんだな…」
木の上から1人の少年が降りてきて野分達に近付いてくる。
「誰…?」
「カリス=アリマだ」
野分がアロスに聞くがアロスが答えようとした瞬間カリス本人が答えた。
「こんなどこの馬の骨に育てられた奴かも解らないし、実力もなさそうだ…」
カリスの言葉にカチンとくる野分。
「親の事言われるのは気にくわないなっ…会ったこともないくせに」
カリスは野分の様子を見てふっと馬鹿にしたように笑う。
「そうだな…本物の海の王って言うなら、死の穴に行って伝説の剣「スカイ」とってこいよ…」
「つっ…カリスっ!!」
挑発するように言うカリスにアロスがとめに入る。
「やってやるよ!伝説の剣でもなんでもとってきてやる!!」
野分はカリスを睨み、拳を握った。
その様子にカリスは、ふっと笑った。
「そうこなくっちゃ……王様」
カリスはまた挑発するように言うと野分の横を通り歩いて行った。
「ちょっと…カリス!」
アロスが慌ててカリスの後を追って行った。
「死の穴…スカイ……」
シェスカは不安そうな表情でうつむいた。
「カリス!待ってください!!」
歩いているカリスをアロスがとめた。
「あなたは一体何を考えているんですか!スカイなんて…あれは初代の時っ…」
「…あいつは特別なんだろ?」
慌てるアロスにカリスは冷静に話す。
「確かにっ…そう予言されてましたが、いきなりスカイはっ……」
「"初代の魔力を感じる"」
カリスの言葉にアロスは何も言えなくなる。
「…そう予言され、私も直接聞いています」
「あんなふうに挑発したけど少しは期待してるんだ…俺の大切なもんもつまってるしな…」
カリスはそう言うとアロスの横を通り歩いて行った。




