SEA - ADVENTURE ☆1☆
☆ 1 ☆
"海の下にも世界があるんだよ"
そんな言葉を残して10年前に姿を消した父さん。
10年間、ずっと海を眺めて待ち続けた。
そして今日も海を眺めて待っている………。
「ん~………」
俺は体を乗りだし顔を近付け海を覗き込む。
「何してんだよ!!」
「どわぁあ!?」
後ろから押されて海に落ちそうになるがなんとかセーフ。
「つっ…危ないだろ!?」
「お!野分なら落ちないと信じてたよ!」
紹介が遅れたけど俺は「神崎野分」もう1人は「椎葉岳」
「野分はまたお父様のお迎えをお待ちで?」
「そうだよ…」
2人の間で沈黙が流れる。
「うりゃあ!!」
「えっ…うわぁあ!!」
岳がいきなり野分を押して海に落とし、その後自分も海へ飛び込む。
「泳いでれば行けるかもよ?海の下の世界」
「ぶっ!馬鹿岳!!」
2人で海水を掛け合い暫く遊んでいた。
「ん…?」
野分は首を傾げて顔だけ潜る。
足元に何か黒いもの…影…?
「岳!下に変なものが…」
「まじか!?」
岳も潜ってみるが「何も見えないぜ?」と首を傾げる。
岳には見えない……?
「ちょっと見て来る!!」
「えっ!ちょっ野分!」
野分はそのまま潜って黒い影を追う。
"海の下にも世界があるんだよ"
父さんの残した言葉が頭によぎって意識が途切れた。
"野分…神崎野分…"
あれ…俺…変な影が見えて…
"海の王…神崎野分"
海の…王…?
"野分!!"
父…さん…?
「早くこの子をっ…」
「さよならっ…」
誰………??
「ん……」
目を覚ますと空をモヤモヤ曇りもよう…
それは空というよりも、ゆらゆらと揺れる海の波のようだった。
野分は体を起こして周りを見渡す。
「どこだここ…」
野分は暫く歩いて行くと1人の女性を見つけ声をかける。
だが女性は首を傾げるばかり…。
「俺…標準語だよな……」
「あ、いたいた!野分様!!」
野分が悩んでいると突然名前を呼ばれ振り向くと馬が近付いてきて、気付くと馬に囲まれていた。
「野分様…お待ちしておりました」
「えぇっ…ちょっちょっと!!」
うろたえていると強制的に馬に乗せられ大きな城へ着いた。




