SEA - ADVENTURE ☆17☆
☆ 17 ☆
『君を強くしてあげるよ?』
真っ黒なマントの男が笑っていた。
何者なんだ…?
カリスは考えながら宿へ戻るのに歩いて行く。
「カリス!!」
宿の明かりが見えた頃、名前を呼ばれ顔を上げると野分達が入り口に立っていた。
「どうした!なんかあったのか?」
カリスが慌てて走り寄ると野分は真剣に見つめ目線をそらさない。
「つ…ごめんっ!!」
野分が深々と頭を下げて叫んだ。
カリスはその姿に驚ききょとんとして固まる。
「カリスのお姉さんのことっ…カリスの待ち続けた海の王じゃないかもしれないけど…その…俺にもっ…お姉さんを守らせてっ!!」
野分は片手でぎゅっと胸を握り締め、真剣にカリスを見つめていた。
「っ……ぶっ!!」
カリスはきょとんとした後、吹き出してくつくつと笑い始めた。
その様子に3人はきょとんとしてカリスを見つめた。
「それって…自分が自分を守るってことだぜ?」
カリスはそのまま手を伸ばし野分の頭に乗せる。
「それは、俺達の役目だ!また姉さんに会わせてくれてありがとな!」
カリスは無邪気に笑い、ぐしゃぐしゃと野分の頭をかき回した。
「そうですよ!私達の役目とらないでください?」
「良かったね!野分!」
シェスカとアロスも野分のところへきて騒ぐ。
「うんっ!ありがと!」
野分も嬉しそうに無邪気に笑った。
その笑顔がミカロにそっくりで、カリスはふと優しく笑った。
やっぱり………もっと強くならないとなっ…。
朝方…カリスは再び森に来ていた。
「…決まったのか?」
そこには真っ黒のマントの男がいた。
カリスはぎゅっと手を握ると力強く頷き、その後森の奥へ消えて行った。
「カリス降りて来ませんね…」
「俺見てくるよ!」
翌朝、いつもは早く降りてくるカリスが来ないのを不思議に思い野分が起こしに行く。
「カリスー…?」
野分が部屋のドアを開けると、そこにカリスの姿はなかった。
どこかに出掛けたのだろうと思った…。
だけど…嫌な予感がする……。
「……カリス…?」
野分の声が静かに部屋内に消えていった…。