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SEA - ADVENTURE   作者: あずま
17/97

SEA - ADVENTURE ☆16☆

☆ 16 ☆



逃げても逃げてもどこまでも真っ暗…。


逃げる…?

何から……?


『早くっ…早く殺せっ!』

『マガが生まれてしまう!!』


どこからともなく聞こえてくる大人の荒い声…。

痛み…苦しみ…悲しみ…届かない…。


もう駄目だと…恐怖の中で冷静に思ったんだ…。



『大丈夫っ…君が必要だよ…一緒に行こう』






「………………」


ふと目を覚ますといつも見慣れた天井。

ゆっくり起き上がり部屋内を見る。


「あー!イットやっと起きた!何時だと思ってんのよ!」


そこにはマミロがいて、良く見るとベッドの上でシンとリラが寝ていた。


「んー…わりぃ……」


イットは欠伸をして目を擦った。


"…久々に見たな…あの時の夢…"





「もう、何しても起きないからシンとリラも飽きて寝ちゃったんだからね!ちゃんと起こしてよ?」


「んー……ん?何しても…?」


マミロに言われ、イットは目を擦った手を見ると真っ黒…。


嫌な予感しかしないけど勢い良くベッドから出て鏡を見に行く。


「ああー!!お前ら落書きしただろっ!!」


鏡にうつる自分の顔を見てイットは嫌な予感が的中したことに叫んでいた。


その叫び声でシンもリラも目を覚ました。


「今日は四神将の集まりがあるって言っておいただろ!?」


「だから遅れないように早く起こしに来たのに全然起きないからでしょ!」


マミロがイットが悪いと腕を組む。

その様子にぐっとイットは何も言えなくなってしまう。


「だからって…止めろよ~…消えないし!このまま出たら良い笑い者だぜー…」


「イットが起きないからじゃん?」

「大丈夫!カッコイイよ!」


シンとリラが親指を立てて決めていた。


「つ~……お前ら~っ!!」


そこからシン、リラ、イットの追いかけっこが始まった。


"あの時の夢を見た後なのに…前のように気持ちがあまり落ちない…"


「きゃあ~!イットが怒った~!!」


"多分…こいつらのおかげなんだろうな…"



"隊長に助けてもらって…この場所で育って…こいつらに出会って…本当に良かった"


イットは顔の落書きを消すことを忘れ、楽しそうにシンやリラを追いかけていた。






「野分…」


その日に着いた宿で野分は1人外へ出ていて波模様の空を見つめていた。

そこにシェスカが顔を出す。


「今日はびっくりしたね…まだ頭整理出来てないよ」


シェスカは苦笑しながら近付き野分の隣りに来て座る。


「私も知らなかった…あんなに2人と一緒にいたのに…なんかずるくない??」


「ずるくなんてないですよ…」


シェスカが呟くとアロスがゆっくり歩いて来て話す。


「海の王を作るなんて前代未聞でしたからね…それに私もカリスからお姉さんの話しを聞いた時に知ったので…」


アロスの言葉に野分は下を俯いた。


「俺っ…カリスとハブに謝らないとっ…」


野分はそのまま膝を抱え顔を埋めた。


「ハブから大切なものをいくつ奪った?カリスもっ…お姉さんに会いたくて今まで頑張ってきたのにこんなっ…謝ってもどうにもならないけどっ…謝りたいよっ…」


野分は力強く自分の腕を握り締め震えていた。

その様子をシェスカとアロスは見守っていた。


「そうだよ…そうなっちゃったのはもうしょうがないし…ゆっくり考えていこう…?」


「そうですね…ハブはともかく、カリスは少しも野分を恨んでませんよ…?」


シェスカとアロスの言葉に顔を上げる、するとそこにはアロスの優しい笑顔があった。


「海の王の話しが出た時、カリスは"また、ミカロ姉ちゃんに会える!今度会う時はもっともっと強くなって絶対守るんだ!"って…目をキラキラさせていました」


アロスが思い出しながら話し、くつくつと笑っていた。


「俺っ…こんなんだけど…このままで良いのかなっ…皆のそばにいても良いかなっ…」


野分が下を俯き、手を出すとスカイが出てキラキラと光っていた。


「第15代目海の王は、野分だよ!」


「スカイもあなたを選んだんですよ」


手を緩めるとスカイが消えた。

野分は再び膝に顔を埋めたけど、それは嬉し、安心涙を隠すためだった。


「つっ…ありがとっ…」


野分の言葉にシェスカもアロスも優しく笑っていた。






カリスは1人さっきまでいた森に来ていた。


「ミカロ姉さん…俺っ…もっと強くなるよっ…だから今度こそ……」


カリスは下を俯き呟く。


「……それは君のせいじゃない…私が…君が強くなる方法を教えてあげよう」


「つ!?」


急に聞こえた声に驚き振り返る。

そこには真っ黒なマントを着た1人の男が立っていた。


「やあ!」


真っ黒なマントの男はカリスに片手を上げて、にこっと笑った。

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