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終末のヴェロシティ  作者: 三崎 剛史
19/22

<cannon> 

 目覚めると、僕は砂浜に倒れていた。

 荒廃した世界。

 終わりの無い夕闇。波の音。風の音。

 海の上に佇む小さな駅舎、ホームには、まだ彼女の小さな背中が揺れていた。

 何度、僕らは同じ別れを繰り返すのだろう。

 僕は知っている。

 もう二度と彼女には会えないことを。

 彼女は、忌々しい黒い煙を吐き出す蒸気機関車ロコモーティブによって、どこかへ連れ去られてしまうし、僕はこの何もない海の中に溶けて消える運命なのだ。

 運命? なんだろう、その言葉は……、

 しかし、僕は知っているのだ。

 もう少しで、背後で汽笛が聞こえるのだろう。

 そして、僕は駆け出す。

 それがわかった。

 しかし……、 

 僕は後ろを振り返ろうとして、あるモノに気がついた。

 こんなモノは知らない。

 大きなモノだ。

 いつからここにあるのだろう? 砂の上に堂々と鎮座する、ずっと潮風を浴びてきたにしては、錆一つない車体。

 誇らしげにその勇士を掲げる、51ミリ主砲。

 ああ、違う。そう、僕はこれを知っている。僕が最も大好きな、旧旧ドイツ軍の戦車。その名は――、

 レオパルド1。

 ああ、そうか。これがあれば……。

 その時、彼方から汽笛が聞こえた。

 やはり来た。

 しかし、僕にはこれがある。このピカピカの戦車で、あの蒸気機関車ロコモーティブを撃ち砕いてやろう。51ミリ主砲が、一瞬ですべてを粉々に吹っ飛ばしてくれる。

 それをしたところで、また彼女と会える保障はない。もしかしたら、いつかもっと巨大な蒸気機関車ロコモーティブがやってきて、戦車を踏み潰してしまうかもしれない。

 でも、今は……、今だけは……。

 何故、そうしなければならないのか。

 それは単純だ、

 そう、僕は彼女を……。

 汽笛がすぐ近くまで迫っていた。


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