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終末のヴェロシティ  作者: 三崎 剛史
16/22

<do.humans.dream.of.AI>

 僕は、海に向かい歩みはじめた。

 わかっている。

 僕が彼女の元へたどり着くことはできないと。

 彼女はとうの昔に、列車に乗り、行ってしまった。

 忌々しい黒い煙を吐き、威嚇するような汽笛を上げ現れた蒸気機関車ロコモーティブ。それが、僕からすべてを奪い去っていった。

 彼女は僕のために存在したし、また僕は彼女のために存在した。

 で、あるなら。きっと僕はもう存在しなくてもよいのだ。 

 もうこの世界には僕しかいない。もう、”僕”である必要はない。そう、君がいないのだから。

 僕はどこから来たのだろう? そしてどこへ行くのだろう?

 きっと、永遠の無に還るのだろう。

 きっと、この世界も幻で、僕も幻で、彼女さえ幻だったのだろう。

 もしかしたら、どこかの誰かが見ている夢なのかもしれない。

 もし、そうだったら、どんなに素晴らしいことだろう。

 きっと、その人は、朝目覚めると、こんな悲しい夢のことなんか、キレイさっぱり忘れてしまっていて。

 目覚ましを止めると、慌てて晴れ渡る空の下、自転車をとばして、愛おしい人の元に駆けてゆくのではないか?

 そうだったらどんなにいいだろう。

 僕は、海に足を進めた。

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