my clockwork room
一部の生徒達の代理人格が破壊されたというニュースが学内を騒がせていた頃、俺と伊吹未来は、俺の部屋に篭り猛烈な勢いで作業を進めていた。
七月の蒸し暑さをしっかりと遮断し、ナノ・マシン噴霧型のエアコンもフル稼働させた室内。しかしそれでも二人は薄着でいる。何故なら伊吹未来が運び込んだ何十台ものハード・ウェアの放熱によって、室内の温度は三十度近い。
俺はティーシャツにトランクスで、首からタオルをぶら下げている。彼女はタンクトップにホットパンツ、額には冷ピタ。
いい仕事をしてくれているのが、伊吹がアキバで見つけてきた扇風機という骨董品だ。彼女はそれをものの数時間で修理してしまった。水色の半透明のプロペラがかっこいい! と言っていたが、実はそれには同感だった。俺が大好きな大戦当時の戦闘機にもプロペラがついているのだから。
「そっちはどう?!」伊吹が猛烈な勢いでタイピングをしながら聞いてきた。
「条件設定を一から組みなおしている。もっともっと複雑にしてやるんだ。あえて小さな矛盾が生まれるようにする。そして、それを解消するための自立学習機能もいれた。……よし!」俺はEnterキーを叩きつけた。「これで、四百二十一回目のリトライだ! 速度は最大に!」
伊吹も俺のホログラム・モニターを覗き込む。
膨大な数式や文字列が、早回しのエンドロールのように流れていく。
そして、予想だにしていなかった結末へと向かう。
「なに……、これ?」伊吹が呟く。
彼女の顔は俺の顔のすぐ隣。彼女の頬をつたった汗が、その細い顎から滴り、俺の膝に落ちた。
「なんで……、なんで、こうなるんだ?!」
画面に表示された文字。
”Delete”……、




