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<in.vain>
海上に浮かぶ駅のホームには、あいかわらず彼女の小さな後姿だけが見えていた。
僕はそれをずっと見ている。見ていることしかできない……。
もうどれくらいこうしているのだろう?
何故、僕もあそこへ行くことができないのだろう?
やはり、彼女が言ったとおり。僕らの道は分かれてしまったのだろうか?
やはり、あの分岐点で僕はこちらではない、あちらへ向かうべきだったのだろうか?
そう思っても、僕は振り返らない。
ためしに、僕は歩みを進めてみた。
浪打際の水に、僕の足は沈んでしまう。
何故、彼女は海を渡れたのだろう? 何故、彼女に出来て、僕にできないのだろう?
僕は、足元を冷たい水に弄ばれながら、永遠に暮れる空と、彼女の小さな背中を見続けていた。




