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01_キノコの王_3/4

 ぴぴん、と甲高いコール音が二回鳴ると同時に、ポップなオレンジ色のホロがトメの後頭部をぐるりと回って耳元まで伸び、端っこがぷんと膨れて半球状に耳の上を覆う。

 その膨らんだ耳の部分の径の半分くらいが同心円状に白く染め抜かれ、そこにはこれまた地の色と同じオレンジ色で、≪音声情報(SOUND ONLY)≫と書かれていた。


【やあ、ご無沙汰しておりますな、ツギさん。今回は私が一番乗りですかな?】

「そうですね。他の方も順次来られるかと。あと、当世個体名は『トメ』となりましたので、以後お見知りおきを」

【ハッハッハ。トリーさんの頃には想像もしなかった冗談を言いますな】

「恐縮です」

 銀河標準音声語で話すトメと、銀河標準信号語で話すイーナラ氏。

 身体構造の違いのため、イーナラ氏は「発言」はできないが、「発音」しての意思表示については全く問題がない。

 なので、駅長は発言を拾い、ほぼタイムラグなしに通訳し、意思疎通の介助をしてくれる。

 同時通訳処理や、ポップ管理ができる駅長ならではの、ある意味サービスである。

 同じことは、多少機能は落ちるにしても個人用情報端末ケータイがあれば、あとは銀河系ごとにディレクトリを2~3個も噛ませば、大概知性体同士のコミュニケーションはこと足りるのではあるが。

「ウエルカム・ドリンクを準備しておきましょう。ご要望は何を?」

【ミゲルさんはまだ見えておられない様ですな。『アレ』は彼と飲みたいですし、お預けにしておきましょう。……アモリはリンゴが名産品でしたな。ではアプフェルタイザーを】

「承知しました。冷たいところを準備しておきます」

 ではまた後ほど、とのイーナラ氏の言葉を最後に、通信が切れる。

「やー、でも長者番付の世界の人が真っ先に駆けつけるとか、思わなかったよ……。なんだか凄いキンチョーしてきた」

 尻尾の先までカチコチになりそうなチハを見て、トメはあははと声を上げて笑う。

「そんな緊張しなくても大丈夫。あの人、仕事以外は陽気なおじさんだよ」

「だって、そういう世界の人と直接サシでやりあったことないし……」

 そんなチハの言葉を、やけにニコニコしながら聞いていたトメだった。

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