ユメウツシ
夢ってなんだろう。生きる糧?憧れ?義務?希望?挙げはじめたらきりがなく、どれも正解じゃない気がする。しかし、夢を持ってる人間とそうでない人間の区別ははっきりしている。もうスタートしているということだ。その背中を見送り置いてきぼりにされるのはいつだって持たざる者だ。そうして自然にライフサイクルが合わずに疎遠になった友人たちはいつだって眩しいほどに輝いているように見えた。
「バイト行かなきゃ。」
時計はもう16時半ちょっと、近所のコンビニエンスストアのアルバイトに行く時間だ。いつになっても答えの出ないポンコツ頭は思考を止め、アルバイトの準備に専念することにした。
いつも通りの仕事量をこなし、客が来ないときはもう一人のアルバイターと話して時間をつぶすのがいつもの過ごし方だ。今日は高校2年生の愛想のいい女の子と一緒だ。名前は古賀夏葉、童顔で愛想が良くて懐っこいまるで犬みたいな人だ。
「それでね、私思ったんですけどやっぱり大学は近くてそこそこの大学に行こうかなと思うんです!私の頭じゃ凄い大学なんて行けっこないですし、一人暮らしもちょっと大変そうですしね!石津さんは何処の大学でしたっけ?」
「俺は青照大、青銅照大学だよ。ほらそこの。」
目視できるほどの近さにある大学の一端を指さして言った。そのために学校に近いアパートに住み近場のコンビニでアルバイトしているのだ。