第52話:万策尽きたよね
よろしくお願いします!
さて、どうしよう。
部屋に戻りクローゼットの中を見る。
、、、着る服がない。
それもそのはず、俺は引きこもってからというもの服など一切買っていない。
この前、律の家に行った時はパーカーだったし、でも、女子と出掛けるのにパーカーは、、、ないよな。
正直、女子の家に行くのにパーカーってのも今思えば、あり得んな。
しょうがないじゃん!すぐ帰るつもりだったし!
(買いに行くか、、、)
と、思ったが、重大なことを忘れてた。
俺、おしゃれから無縁の男だったわ。
あぁー、積んだわー。
試しに、ネットで流行のファッションについて調べてみる。
、、、見てもよくわからん。
少なくともわかるのは、俺には到底似合いそうにないということだ。
「どうすっかなー、、、」
パソコンを閉じ、椅子の背もたれにめいっぱい背中を預け、天井を見上げる。
もちろん天井を見ても答えは見つからない。
(万策尽きたー)
「どうやら何かお悩みのようですね、お兄ちゃん」
「はっ!その声は!?」
ドアのほうに振り向くと、
「楓、参上!ですぅ」
楓ちゃんがドアに寄りかかり、腕を組みながらどや顔でこちらを見ていた。
「、、、なんでいるの?」
「冬休みなので、遊びにきたですぅ♪」
満面の笑みで、そう言い、俺に抱き着いてくる。
「それはいいけど、せめてチャイムぐらいならしてくれないかな?」
「鳴らしたですよ?でも、反応なかったので勝手に上がらせてもらったですぅ」
「えっ?そうなの?」
「ほんとですよ?」
どうやら気が付かないぐらい悩んでいたらしい。
「どうやら気が付かないぐらい悩んでたみたいですね?」
「ど、どうしてわかったんだ?」
「なんとなくですぅ♪」
女の勘は鋭いんですよぉとまたしてもどや顔で誇らしげに胸を張っている。
恵にも俺の心は読みやすいみたいなことは言われたが、俺ってそんなにわかりやすいのか?
それにしても、楓ちゃんにこんな悩み相談できるわけないし、、、
「何でもないよ。たいしたことじゃ、、、」
「お兄ちゃん!楓じゃ頼りないですぅ?」
上目遣いでこっちを見てくる。
そんなの反則じゃないか、、、
「実は、、、今度の日曜日友達と出掛けることになったんだけど、着ていく服がなくて悩んでたんだ」
さすがに、女子と二人っきりというところは隠して話した。
「ふむふむ。女の子とですか。私じゃないのは少し不満ですが、、、」
「ちょっちょっと待て!誰も女子とだなんて言ってないだろ!?」
「いやいや、お兄ちゃん。男の人と遊びに行くのに服に悩む男の人なんていないと思いますけど?」
「あっ、、、」
冷静になってみると、確かにそうだな。
「楓ちゃんの言うとおりだよ」
「そうですか。それなら答えは一つしかないですね」
そういうと、楓ちゃんは俺の手を取り、
「今から楓と服を買いに行きましょう♪」
「えっ!?ちょ、楓ちゃん!?」
「はやくいくですぅ」
こうして、楓ちゃんとともに服を買いに行くことになった。
もちろんパーカーで、、、
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