第5話:『リアル』妹じゃなかったら素敵なイベント...だったのにね
よろしくお願いします!
今日、俺は恐怖というものを知ることとなった...
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俺は朝、目を覚ましリビングに降りるとそこにはいつもならもう出ているはずのお袋と恵の姿があった。
「えっ?体がだるい?あら、それは風邪かもしれないわね。熱は計ったの?」
「37.5だったよ」
話の内容から察するに恵は風邪を引いたらしい。
「なかなかあるわね...とりあえず今日は部活休みなさい。病院は行く?」
「病院はいいよ。どうせ寝たら治ると思うし」
「そう?分かったわ」
まあ、俺には関係ないことだと他人事に思っていると....
「じゃあ、大介後はよろしくね」
...はい?
「えっ?なんで俺が!」
「だってあんたずっと家にいるじゃない。今日は平日だから他のひとは誰もいないし。ってなったらあんたしかいないでしょ」
「加奈子は?」
「加奈子は部活に決まってるでしょ。夏休みでもあんたとは違うの」
「でもよー...」
「つべこべ言わずにやればいいの。分かった?」
「らっラジャー...」
(ちくしょー!こういうとき肩身が狭いのは辛いぜ...)
「よろしい。じゃあ、母さん仕事行ってくるから。何かあったら携帯に電話しなさい。」
そう言って、お袋はリビングから出ていき仕事へと向かっていった。
「ごめんなさい、お兄ちゃん...私が風邪なんて引いたばっかしに...」
(ほんといい加減にしてくれよ!)
「いいから、さっさと寝ろ」
「お兄ちゃんは一緒にいてくれないの?」
「はあ?いるわけねぇだろ。とりあえず昼飯とかは持ってってやるよ」
「...うん、分かった」
(とほほ...看病するのがあやたんかみやびたんだったらよかったのになー...)
そんなことを思いながら俺は部屋へと戻った....
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俺は最近変な視線を感じるようになっていた。
それを感じるのは加奈子といるとき...
俺は気味が悪かった。
一回聞いたときがあった....
「お前、なんか視線感じね?」
「兄貴の視線なら感じるよ♪」
無意味だった。てかこいつに聞いた俺も馬鹿だった。
(はぁー、気のせいなのかねぇ。それならいいんだけど)
俺は腑に落ちないままとりあえず気のせいだと自分に言い聞かせた。
でも、犯人はすぐ近くにいたのだった...
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お昼になったのでお粥やらなんやらをお盆にのせて俺は恵の部屋にいった。
...コンコンッ
「入るぞ?」
「...どうぞ」
俺が部屋に入ると恵はちゃんとベッドで横になっていた。
「ほら、お粥持ってきてやったぞ。とりあえずそこに置いとくから勝手に食べろ」
俺はベッドの横にある棚の上にお盆をのせた。
「えっ?お兄ちゃん食べさせてくれないの?」
「お前なにいってんの?そんなことするわけないだろ。終わった頃にまた取りに来るからな」
そう言って、俺は部屋を出ようとした。
すると...
ガシッ
「ねえ、どこ行くの?お・に・い・ちゃ・ん」
俺はものすごい力で腕を掴まれた。
(あれ?なんか後ろから禍々しいオーラを感じるんですけど...)
「あ、あの~何でしょうか恵...さん?」
「お兄ちゃんどこ行くの?食べ終わるまではいてくれるよね?いるでしょ?いるよね?てか、いて」
恵は満面の笑みで俺を見ている。でも俺はそんな笑みをみて背筋が寒くなっていた。
(...こ、こわすぎるんですけどっ!)
「わ、分かったから!分かったから腕...離してくんない?」
「あっ、ご、ごめんなさい!私ったら...つい」
恵は掴んでいた手をやっと離してくれた。
(てか、ついってなんだよついって!)
仕方なく、俺はそこにあった椅子に腰掛けた。
「それでね、お兄ちゃん...ちょっと体だるくて動かせないからお粥食べさせてくれませんか?」
「はあ?そんなわけーーーー」
「食べさせてくれるよね?いいでしょ?いいよね?いいって言って、てか、食べさせろ」
(ひぃぃっ!?)
「わ、分かった!分かりました!食べさせます!」
「やったぁ~♪」
(恵ってこんな子だったっけ?)
「あーん♪...もぐ、もぐ...うん!おいしい♪」
「はは、それはよかったでごさいます、はい」
俺は恵にびびってしまっていた。
そりゃびびりますよ、あんな禍々しい笑顔を見せられたら。
「次はそれを食べさせてもらえますか?」
「ど、どうぞどうぞ!」
(とりあえず、この場は穏便にすませよう!)
そう決心した時だった...
「お兄ちゃん一つ聞きたいことがあるんだけどいいですか?」
「な、何なりと!」
「じゃあ...最近加奈子と仲いいよね?」
(いや!そんな人を殺すような目で見ないで!)
「いや、あれは加奈子が勝手に...」
「ふーん...じゃあ、この前二人でオイル塗りあってたのは何?」
(なんでしってんだぁぁぁぁあ!)
「お前は今完全に勘違いをしている!俺は塗ってない!てか、なんでしってんだ!」
「そんなの決まってるでしょ?見てたからよ」
(それじゃああのとき感じた殺気は...恵!?)
「お兄ちゃん、嘘つくんだ。へぇーいいんだそんなことして」
「それはこっちのせりふだ!勝手に部屋覗いたくせに!」
(うん?待てよ...まさか)
「こっちからも一つ質問させてもらうけど最近感じてた視線って...」
「それは私だよ、お兄ちゃん♪」
「マジ...かよ」
俺の感じていた視線は本当だった。
その犯人は、恵だったのだ...
お読み頂き感謝です♪
ヤンデレの勉強しないとw