第36話:続きはまた家で...ね?
よろしくお願いします!
「兄貴、そろそろ恥ずかしい...かな///」
「えっ?」
「その...みんな見てる///」
加奈子に言われて、周りを見てみると、そこには人だかりが出来ていた。
俺はやっと状況を理解して、加奈子から離れた。
「わ、わるい!」
「い、いいよ。兄貴なら...別に///」
「ばっ...お前、変なこと言うんじゃねえ!」
「続きはまた家で...ね?」
「そんなのないから!」
そう言いながらも一瞬「えっ、マジで?」と思ってしまった俺マジさいてー。
「でも良かった。元気でたみたいじゃん」
気づくと、俺はもう泣いていなかった。
どうやら加奈子は、俺のためにあんなことを言ってくれたらしい。
「でも、兄貴がどうしてもって言うなら私はいつでも準備OKだよ///」
「もうその話はいいから!」
でも、もう少しこの話でも...と思った俺またまたさいてー。
とそのとき、
「ちょっとどいてどいて!」
と言いながら、恵と一也のお母さんが人だかりの中から顔を出してきた。
「あっ!お兄ちゃんいた!」
俺を見つけた恵は人だかりを掻き分けて、一目散に俺に抱きついてきた。
「良かったぁ。ほんとに心配したんだよ?」
「...ごめん」
「でも無事でなによりだよ~」
「それは加奈子のおかげだよ」
そう言って、俺は加奈子の方を見る。
それを聞いていた加奈子は満足げな笑みを浮かべた。
「まぁ、当然っしょ」
「そういえば、何かあったの?」
「えっ?」
「だって、すごい人だかりだよ?」
「べ、べべべ別に何もないよ」
加奈子...お前嘘つくの下手すぎだろ。
「そっか。ならいいけどね」
お前もお前で鈍感だな。
「うふふ。ほんとに仲良いのねあなたたち」
そう言ったのは、一也のお母さんだった。
「すいません。迷惑かけちゃって」
「別にいいのよ。私も急にあんな話しちゃってごめんね」
「いえ、そんなこと...」
「でもね、大介くん」
そう言って、一也のお母さんは俺の耳に口を近づけて、
「もうあんなことしちゃだめよ」
と俺にだけ聞こえるように呟いた。
どうやら一也のお母さんにはばればれだったようだ。
「ごめんなさい」
「よろしい」
そう言って、一也のお母さんはニコッと笑った。
「あの、それで話ってなんだったんですか?」
「ああ、ええっと...なんだっけ?」
忘れちゃったの!?
「てゆうのは冗談で、一也のことであんまり一人で抱え込まないで」
「えっ?」
「誰のせいでもないの。もちろん、あなたのせいでもない。だから、もう一人で苦しまなくていいのよ」
俺はそれを聞いて、涙がでそうだったが必死にこらえた。
「ありがとうございますおばさん」
「もう、おばさんって私はまだピチピチの44歳よっ」
そう言って、一也のお母さんは笑顔で俺の背中を叩いた。
充分おばさんじゃねぇか!...という言葉は胸の奥底にしまいこんだ。
「もうさっきからなんの話してるの二人で」
「私たち二人にとって大切な話よ」
「もしかして...不倫!?」
「あら、ばれちゃった?」
「「えぇぇぇぇぇええええぇぇぇ!?」」
「いや、嘘だから!お前ら信じんじゃねぇ!おばさんもしれっとそんなこと言わないでください!」
「だから、おばさんじゃないよっ」
バシーン!
「ぶふぅ!」
そんなやり取りをしている間に、いつの間にか夕方になっていた。
「あら、もうこんな時間?私そろそろ夕飯の準備しないと」
「今日はほんとにありがとうございました」
「いいのよ。それじゃまたね」
そう言って、一也のお母さんは帰っていった。
「それじゃ、俺らも帰るか?」
「そうだね」
「そうしよう!」
そうして俺らも帰ることにした。
歩いていると、
「ねぇ兄貴、手、繋いでいい?」
しかし、加奈子は俺の了承を得る前に、俺の手を握ってきた。
「かなちゃんずるい!私も!」
恵も負けじと俺の手を握ってきた。
今までの俺なら拒否していただろうが、今日だけは逆にこうしていたかった。
俺は、その手を離すことはなかった…もちろん二人も。
でもやっぱり少し照れくさかったけど。
そうして俺たちは、無事に家まで帰ることができたのだった…
お読み頂き感謝です♪
この調子で、どんどん書くぞー!何て言ってみるが、たぶん死亡フラグ....




