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第34話:嫌な思い出って忘れられないよね

よろしくお願いします!

 今日はホントに嫌な思い出ばかり思い出す。


 神はどうして俺にばっかこんな思いにさせるのだろう...いや、これはのんきに遊んでいる俺をよく思わない一也の呪いかもしれない。


 って俺は最低だ。一也がそんなことするわけないのに一也のせいにして。

 これは罰なんだ...これまで逃げ続けた俺への。


 俺はほんとに嫌なやつだ。

 あの時だってそうだ...一也はずっと苦しい思いしてたのに、気づかない俺はいつものように接して...今思えばあの時の一也はどうみてもいつもの一也じゃなかった。

 電話の時だってそうだ...俺は気づいてなかったんじゃない...気づこうとしなかったんだ。


 よくこんなんで俺は一也のこと親友だなんて言えたもんだ。

 結局俺は、一也のことなんてなんも分かっちゃいなかった。


 逆の立場だったらよかった。

 一也じゃなくて俺が死ねばよかったんだ。

 どうせ俺なんかが死んでも悲しむやつなんていない。


 だったら俺は何のために生きてんだ?

 一也のいないこの世界で俺が生きる意味って何だ?

 何もない...考えても考えても頭のなかで回り続ける答えは一つ...


 生きる意味なんて何もない。


 俺はいつの間にか、踏切で電車が通るのを待っていた。

 雨はさらに勢いを増し、まさにあの時のようなどしゃ降りだった。


 ーー大介。


 そんなとき、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた気がした。


 ーーこっちだ大介。


 この声には聞き覚えがあった。

 俺は恐る恐る前を向く...そこにはいるはずのないやつの姿があった。


「か、一也」


 俺は目を疑った。

 踏切の向こうにいたのは、正真正銘、一也だったから。


「ど、どうして?」


 ーー大介、また会えて嬉しいよ。


「ホントに一也なのか?」


 ーー大介もこっち来いよ。また一緒に遊ぼうぜ。


 一也はそう言うと、後ろを向き、歩き出した。

 俺は、目の前にいる一也がもちろん幻だということは分かっていた。

 でもそんなことはどうでもよかった。

 幻でもいい...俺は一也と一緒にいたい。

 そう思うと俺の身体は自然に一也を追おうとした。


「待ってくれよ一也!」


 そして俺は踏切に足をかけて、乗り越えようとした。

 その時、けたたましい音が鳴り響いたかと思うと、すぐ近くに電車がやって来ていた。

 まだ足をかけただけだったので避けようと思えば避けれたが、俺はそうせず、線路で立ち止まった。


 俺は死ぬ気だった。

 死んだらまた、一也と一緒にいられるから。

 電車はすぐ真横まで来ていた。

 俺は目を瞑り、


「今行くからな、一也」


 と呟いて、そのまま電車に吹き飛ばされた...はずだった。


 しかし、俺は電車に吹き飛ばされたのではなく、物凄い力で後ろに引っ張られ、そのまま地面に青天になっただけだった。


 すると、その引っ張った誰かが、俺の上に股がってきた。

 身動きのとれない俺は、


「離せよ!邪魔すんな!」


 と言って暴れた。


「なんでだよ...死なせてくれよ!」


 バシンッ!


 俺がそう言ったのと同時に、俺の頬に痛みが走った。

 俺はそれで我に帰り、そこで俺は初めて俺を助けた相手を見た。


 その正体はーー


「ふざけんな!このバカ兄貴!」


 ーー俺の妹...加奈子だった。







お読み頂き感謝です♪

タイトル通り俺にはこれが限界っていう話...

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