第33話:順風満帆にはいかないよね
よろしくお願いします!
俺には一人の親友がいた。
名前は水本一也。
こいつとは小学校からの付き合いで何をやるのも一緒だった。
中学を卒業して、俺たちは同じ私立の高校を受験したが、一也は受かり、俺は落ちてしまった。
そこは名門中の名門で、将来を約束されたと言ってもいいところ。
でも一也は、せっかく受かったのに、辞退して「お前と同じ高校に行くよ」と言った。
「何でそこまでしてくれんだよ?」
俺がそう聞くと一也は、
「お前のいない高校なんて楽しくないんだよ。俺たち、親友だろ」
と言ってくれた。
こうして俺たちは、同じ高校に進学することになった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高校生活は順風満帆とはいかないが、そこそこに充実はしていた。
友達も出来たし、先生も優しい人ばっかでなにより一也が一緒っていうだけで、俺は満足だった。
そんな一也は、学級委員になった。
一也は昔から、みんなを引っ張っていく、リーダータイプで中学でも生徒会長になったりしていた。
それに、誰に対しても臆すことなく積極的に意見を言ったりもできるので、クラスメイトからは尊敬の眼差しで見られることが多かった。
でも、それが気にくわないと思うやつも少なからずいた。
誰に対してもと言うことは、もちろんそれは先生たちにも同様で、自分の思い通りにいかない生徒にイライラしたのか、一也は先生たちから暴力を振るわれるようになっていた。
そんなことを知らなかった俺はいつものように一也と接していた。
日に日に元気がなくなっていることに気が付かないまま。
そして、一也はとうとう学校に来なくなった...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一也が学校に来なくなって、一週間がたったある日、俺が学校から帰って部屋にいると電話がかかってきた...一也だった。
俺はすぐ、通話ボタンをおし電話に出た。
「もしもし、一也か!?」
『久しぶり、大介』
それは紛れもない、一也の声だった。
「久しぶりじゃねぇよ!学校に来ないで何してんだ?」
『うん...ちょっとな』
その声はとても弱々しく、いつもの一也ではなかった。
「どうしたんだよ?何かあったんなら相談乗るぜ」
『別に...何もないよ』
「ないわけないだろ!お前らしくねぇよ。はっきりいってくれよ」
『...............』
少し間をおいて、一也は話始めた。
『大介...俺明日から学校いこうと思うんだ』
「ほ、ほんとか?」
『ああ、このままじゃ単位もやべぇからな』
(なんだ?ほんとに何もなかったのか?)
『それで、最後にお前にいいたいことがあんだよ』
「なんだよ最後って?」
『いや、もう言うことねぇから通話の最後にってことだよ』
「びっくりさせんなよ。まるで死ぬみたいな感じに言いやがって」
『はは、そんなわけないだろ』
「んで、なんだよ?」
『...今までありがとな』
「なんだよ改まって、ちょっと気持ち悪いぞ」
『うっせぇ、んじゃな』
「おう」
そして、そのまま俺たちは通話を終えた。
この会話が一也との最後の会話だと知らないまま。
そして次の日、一也は屋上から飛び降りて、死んだ。
一週間後に、一也は先生から暴力を受けていたことを知り、そこで初めて一也が何故俺に電話をかけてきたのか分かった。
一也は俺に助けを求めていたんだ。
俺は一也を助けられなかったことを悔やみ、自分を攻め、一也との思いでの学校をやめて、俺は部屋のなかに閉じこもった。
いや、俺は他人から責められるのを恐れて、今の俺のように逃げ出しただけだったのだ...
お読みいただき感謝です♪
遅くなってすいません。
あと、ちょっとおかしくてすいません...




