第32話:俺の母さんとは大違いだぜ...ってこんなこといったら殺されるよね
よろしくお願いします!
俺の目の前にはあの一也のお母さんが立っている。
俺はびっくりして、飛び起きて、正座の姿勢をとった。
「隣いいかしら?」
そう言って、一也のお母さんは俺の隣に座った。
「今日はどうしたの?」
「いや、妹と...ちょっと」
「そう、大介くんずっと家から出てないらしいからずっと心配してたのよ?」
「ご、ごめんなさい」
「元気そうでよかったわ」
「はは...」
普通の会話なのにうまく返答ができない。
それに体の震えも止まらなかった。
緊張...とは違う。俺はこの人と話してて、怯えていた。
この人が話すたびにビクッとしてしまう。
(もしかしたら...あの話をされるんじゃ...)
そう考えると、早く逃げ出したくてしかたなかった。
「そういえば...」
ビクッ
「一緒に来てるっていう妹ちゃんたちはどこにいるの?」
「あ、あー、今は多分そこら辺走ってるっす」
「なにそれ」一也のお母さんはクスッと笑う。「楽しそうな妹さんだね」
「元気すぎて困ったもんですよ」
俺はこのとき、初めて一也のお母さんの顔を見た。
この人は、年齢は40は越えているだろうはずなのに、全くそれを感じさせないほど、肌が綺麗で、その笑顔はとても可愛らしく、少女のような雰囲気を残している。
「ん?どうしたの?」
「あ、いや、一也のお母さんとても若いなーと」
「もう、誉めてもなにもでないわよ」
と言って、一也のお母さんは俺の背中を思い切り叩いてきた。
「ぶふぅ!」
「だ、大丈夫!?」
「へ、平気っす...」
(こういうとこはおばさんっぽいな)
俺はいつの間にか普通に会話できるようになっていた...
「ところで...」
はずだった。
「もし、大介くんに会えたらずっと言おうと思ってたことがあるの」
「何ですか?」
「その...ね、一也のことなんだけど」
「ーー!?」
俺の体はまた震え出した。
一也の話?なんって言われるんだ?
まさか...俺が一也を裏切ったこと?
今の俺はどんなに考えてもマイナスのことしか浮かばなかった。
一也のお母さんが俺に向かって何か言っている。
でも、今の俺にはこの人が言っている本当のことが耳に届いていなかった。
代わりに聞こえていたのは、
「何で一也が死ななくちゃいけなかったの?」「どうして助けてくれなかったの?」「お前が一也を殺したんだ」「この裏切り者!」
という幻想の言葉。
俺は頭を抱えて縮こまる。
(もうやめてくれ!頼むよ...お願いだから。もう嫌だ。逃げたい逃げたい!逃げたい!!)
そして、自分でも気づかないまま、俺はいつの間にか頭を抱えたまま、逃げ出していた...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その時、ちょうど帰ってきた加奈子と恵とすれ違った。
「お兄ちゃん?」
「兄貴ー、便所かー?」
しかし、俺はもちろん気づいていない。
「どうしたんだろう?あんなに慌てて」
「大方、小便が漏れそうだったんだよ」
「もう、かなちゃんはしたないよ」
すると、今度は一也のお母さんが俺を呼び止めようと大声で、
「大介くん!待って!違うのよ!」
と言った。
加奈子と恵もそれに気づいた。
「兄貴に何かあったんですか?」
「それが...」
「もしかして...お兄ちゃんに何かしたの?」
「ち、違うの。私はただ...」
「ちょ、落ち着きなよメグ。てゆうかこの人たしか...」
加奈子は腕をくみ、考える体勢をとる。
そして、何かをひらめいたようで、
「そうかー!分かったよ!この人一也さんのお母さんだ!」
「えっ!うそ!?若い!じゃ、じゃなくて、どうしてお兄ちゃんと?」
「さっき偶然会って....ね。そんなことより早く大介くん追いかけないと!」
「それもそうですね」
「何があったかはそのあと聞かせてもらいます 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は全力で走った...というか逃げた。
立ち止まると、もうダメになってしまう気がしたから。
気がつくと、俺は人通りの多い交差点を走っていた。
そして、空からは、雨がパラパラと降ってきていた...
お読み頂き感謝です♪
ちょっとだか書き方変えてみましたw
ほんとにほんのちょーっとですけどねww




