表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/53

第31話:今更だけど、この状況、はたからみたらどう見えるんだろうね

よろしくお願いします!

 映画館から出て、顔から手を離して最初に見た光景は、何故か泣いている妹の姿だった。


「何あのお話、超悲しすぎるんですけど」

「こんなんならハンカチ持ってくればよかったよ~

 」


(号泣するほど面白かったの!?)


「まさか黒幕があの子だったなんてね」


(黒幕!?推理ものだったのあれ?)


「あれはびっくりしたよー。あと、あいつが未来から来たって言うのも衝撃だったよね」


(今度はSFかよ!?)


「でも、一番感動したのは、にゃんまがおじきの仇とるために、単身でにゃんにゃん組に乗り込んだところだよね!」


(ご、極道!?あの絵からは想像できねぇよもう)


「それでボスとの最終決戦でにゃんまが言った台詞!超かっこよかったマジで!!」


(台詞何てあったの!?俺にはずっとにゃんにゃん言ってる風にしか聞こえなかったんですけど!)


「ゼェ、ゼェ...ハァ、ハァ...」

「...?どうしたの兄貴?」

「顔色悪そうですけど?」


(そりゃあんだけ心の中でツッコミすれば息だってきれるわ!)


「ちょ、ちょっと疲れただけだ」

「確かにね~...私も泣きつかれちゃったかも」

「じゃあ...」


 そう言って、恵は持っていたバスケットを俺たちに見せるようにして、


「休憩がてらそろそろお昼にしよっか」


 と言った。

 俺と加奈子は、待ってましたとばかりに、


「「はい!!」」


 と大きく返事をした。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 俺たちはとある公園に移動して、芝生に座って昼食をとることにした。

 恵みが、持っていたバスケットを開けると、中にはサンドイッチとおかずが入っていた。


「「おぉ~!」」


 俺と加奈子は声を揃えて感嘆の声をあげた。


「はい、どうぞ」

「「いただきます!」」


 俺はまずサンドイッチをとって一口、


「もぐもぐ...うっめぇ!」

「ほんとに!?」

「マジだって!中のたまごふわふわですげぇ美味しいよ」

「よかったぁ」


 ほっとしたのか胸を撫で下ろす恵。


「それにしても、恵はほんと料理上手だな」

「そんなことないよ」


 少し顔を赤らめる恵。


「なんかコツでもあんのか?」

「コツって言うか...」


 恵はもじもじしながら、


「お、お兄ちゃんのことを思って一生懸命作ってるから...かな?」


 と照れながら言った。


「............か、かわいい」

「えっ?」

「あ!い、いや、何でねぇ!」


(な、なにいってんだ俺は!い、今のはあれだ、ただの間違えだ!そうだ、俺がそんなこと思う分けねぇよ)


 俺は恥ずかしさをまぎらわすために、恵が作ってきたサンドイッチを両手に持って、一気に頬張った。

 しかし、案の定...


「ゲッホゲホ!」


 喉につまってむせてしまった。


「だ、大丈夫、お兄ちゃん!?」

「だ、大丈夫大丈夫」

「もう、そんなに欲張って食べるからだよ兄貴」

「お兄ちゃん、お茶飲んで」


 そう言って、恵は紙コップにお茶を入れて、俺に渡してきた。


「さんきゅー」


 ゴクッ、ゴクッ


「ふぅー...」

「おさまった?」

「ああ、ありがとな恵」

「お兄ちゃんが無事でよかった」


 嬉しそうにほほえむ恵。

 俺は目をそらし、もう一度お茶を一口飲んだ。


「じゃあ、私も食べよっかな」


 恵はバスケットを覗きこむ。

 しかしその中には、


「...あれ?」


 なにも入っていなかった。


「あー、食った食った~」


 そう、あろうことか、あの量を加奈子はいつの間にかたいらげてしまっていたのだ。


「かーなーちゃーん?」


 怒りで震える恵。


「ん?どうしたのメグ?」


 なのになにも気づかない加奈子。


(お前どんだけ鈍いんだよ)


「私、まだなにも食べてなかったのに!」

「うぇ!?そ、そうだったの?」

「何で一人で食べちゃうの!」

「ご、ごめん。つい、うまかったから」

「そんなこと言っても許さない!」


 恵は立ち上がり、加奈子に詰め寄っていく。

 加奈子は、


「もうなくなっちゃったもんはしょうがないんだよー」


 と言って、逃げ出した。


「待て~!」

「待てと言われて待つやつはいないよー」

「きぃー!絶対捕まえてやるんだから!」


 それから恵と加奈子は追いかけっこをはじめだし、しまいには見えなくなってしまった。


「なーにやってんだ、あいつらは」


 俺は芝生に寝転がって天を見上げた。


(あれ?なんか朝より曇ってきた気がすんな)


 帰りまでもてばいいけど...そんなことを考えていると、誰かが俺の顔を覗いてきた。


「あら?やっぱり大介くんじゃない」


 太陽の光ではっきりと顔は見れなかったが、俺はその人に見覚えがあった。


「あ、あなたは...」

「覚えててくれたのね。嬉しい」


 覚えてるに決まってる。

 だってこの人、


「か、一也のお母さん...」


 この人こそ、俺が今日見た夢に出てきた少年...一也のお母さん。


「久しぶりね。元気にしてた?」


(そうゆうことだったんだな...)


 俺は今更ながらに後悔する...

 あの夢を見たのは、偶然ではなく、必然だったと言うことを...






お読み頂き感謝です♪

お母さんの全貌はまたの機会に...と言うことでww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ