第29話:夢から始まるABC...うん、意味不明だよね
よろしくお願いします!
「ハァ、ハァ...」
俺はどこぞの階段をかけ上がっていた。
見覚えは...あった。ここは確か俺が通ってた高校の階段だ。
「ハァ、ハァ...」
俺は階段を上りきり、目の前のドアを思いっきり開けた。
そこは屋上で、そこには雨の中、天を仰いで佇む一人の少年の姿があった。
「おい!何やってんだよ!今すぐそっから降りろ!」
俺がそう言うと、少年はゆっくりとこちらに振り向き何かを話始めた。
「ーーー」
しかし、雨の音が強すぎて、聞き取ることができない。
「ーーー」
「何って言ってんだよ!話があるならこっち来て話してくれよ!」
それでも少年は話続けた。
「ーーー」
「わかんねぇよ!待ってろ!今そっち行くからな!」
俺は少年の元に向かおうと一歩足を出した。
その時、少年は少し微笑んで、
「ーーー」
と言って、その場から一瞬にして姿を消した。
俺は急いで少年のいる場所に向かった。
そこにはもちろん誰もいない。
俺は恐る恐る、下を覗きこんだ。
「....嘘だろ」
俺が見た先にはーー
「はっ」
目を開けると、そこはいつもの光景...俺の部屋の天井だった。
「...久しぶりに見たな、この夢」
(それにしてもリアルな夢だよな...まぁ、それもそうか)
この夢がリアルなのには理由がある。
それはこの夢を俺は実際に体験したからだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この夢を見たあとはいつも汗びっしょりになり、体も気だるくなる。
なので、俺は必ず風呂に入る。
俺が引きこもりはじめてすぐの時はよくこの夢を見ていた。
しかし、最近はあれから1年は経ったので、見なくなっていたが、何故か今日に限ってあの夢を見てしまった。
(よりにもよって今日見るなんて...やっぱやめとこっかな)
その時、
「おはよ兄貴。今日は絶好の外出日和だね♪」
といきなり風呂場のドアを開けて、加奈子が現れた。
「って、お前何してんだ!早く閉めろ!」
「いいじゃん、別に見られて減るもんじゃあるまいし」
「そういう問題じゃねぇよ!」
「もう、兄貴の照れ屋さん♪」
「いいから閉めろ!」
加奈子は「そこまで言うならしょうがないなー」と言って、やっとドアを閉めてくれた。
そして、去り際に、
「じゃ、風呂上がったら行こうね♪」
と言って加奈子は出ていった。
(はぁー、こりゃ今さら断れねぇか)
ん?今日は何かあるんですかって?そうなんです、あるんです。
私は乗り気じゃないんですけど...
今日はあろうことか妹と一日デートなんです...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それは昨日のこと...
俺がいつものようにゲームをしていると加奈子と恵が二人して俺の部屋に押し掛けてきて、唐突に、
「兄貴」「お兄ちゃん」
「「明日デートしよ」」
と言ってきたことから始まった。
俺はいきなりのことで思わず吹いてしまったが、すぐに落ち着きを取り戻し、
「いかん」
と一回断った。
しかし、次に二人に言われたことがきっかけで俺はしぶしぶ了承せざるを得なくなった。
それは、
「あれー?そんなこと言っていいのかな?」
「な、何だよ...」
「お兄ちゃん、昨日までどんな状態だったっけ?」
「うぐっ...それは...」
俺は昨日まで3日ほど風邪をこじらせていた。
その三日間、加奈子と恵には学校から帰ってきてからだがずっと看病をしてくれたのだ。
(まさかその話を持ってこられるとは...)
「まさかご褒美も何もないなんてないよねー」
「な、なんのことだ」
「ぐすっ、寝るまも惜しんで看病したのに...」
(嘘泣きだってわかってるのに、ちくしょー!)
「わかった!わかったよ、行けばいいんだろ!」
「「ほんと!?イエーイ!」」
二人はハイタッチを交わし、俺の方に向き直って、
「じゃ、明日だよ♪」
「もし、裏切ったら...どうなるか分かってますよね?」
「...いえす 」
そう言って、二人は「おやすみー」と言って出ていった。
そして、今の状況に至るわけである。
(とほほ...面どくせぇなー)
俺は久しぶりに外に行く格好に着替えていた。
久しぶりなので、やはり少し小さい感じがしたがそれほど大きくなった訳でもないのでそこまで違和感は感じなかった。
着替え終わり、下に降りると二人はすでに玄関で待っていた。
「兄貴、遅いよー。はやくはやくー」
「お兄ちゃん、おはよー。今日は楽しみですね♪」
「ははは...」
(何でこんなテンション高いの?やべっ、これ一日持つかわかんね)
俺は外履きに履き替えようとしたのだが俺の靴が見当たらない。
それもそのはず、1年以上も出てなかった俺の靴があるわけがなかった。
俺は仕方なく、お袋のクロックスを借りて出掛けることにした。
「それじゃあ、行きましょう♪」
「出発進行ー!」
「...はぁー」
こうして俺たちはデートに向かった。
しかし、俺はこのあとものすごく後悔することになる。
何故あの夢を今更ながら見たのかをもっと深く考えなかったのかと...
お読み頂き感謝です♪
ちなみに恋のABCは、A=キス、B=ペッ○○ング、C=セ○○スらしいですよ♪
ってみんな知ってますよね...




