第23話:大丈夫、痛いのは一瞬だから...ね?
よろしくお願いします!
俺は今、トイレの中に隠れていた。
その理由は追っ手から逃れるため...
「おにいちゃーん、この歳になってもかくれんぼ?いいよ、絶対見つけてあげるから」
(頼むから見つけないでくれ!見つかったら殺される!てか、なんでこんな状況になったんだ!?)
それは、遡ること一時間前のこと...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺はトイレをすまし、二階の自分の部屋へ戻ろうとしていた。
そして、自分の部屋の前に着き、ドアを開けようとドアノブに手をかけたとき、なにやら中から声が聞こえてきた。
「...ふふふ」
(笑い声?まさか泥棒?)
俺はドアに耳を近づけしばらく様子を見ることにした。
「............い」
(なんだ?よく聞こえねぇ)
それもそのはず、今日は台風がくるまえとかでものすごい大雨だったのだ。
「.........ない」
(ない?やっぱなんかさがしてんのか?)
「.....さない」
(もうちょっと....)
そして、俺はもっとドアに近づいた。
すると...
ギィィィーーー
鈍い音と共に、急にドアがゆっくりと開き出した。
しかしそれはほんの少し開いただけで止まった。
俺はその隙間から中のようすが見えると思い、覗いてみた。
そこで俺の目に写った光景は、
「ひぃっ!?」
ドアの隙間からこちらを凝視する恵の目だった。
俺はその場に尻餅をついた。
それと同時に、ドアが開きだし、恵が姿を現した。
「そんなところで何してるのお兄ちゃん?」
「それはこっちのセリフだ!俺の部屋でなにやってんだよ?」
「何って、お兄ちゃんを待ってたんだよ」
「俺に何か用か?」
俺がそう言うと恵はニコッと笑った。
しかし、その笑顔にはゾクッとさせる恐さが含まれている感じがした。
「お兄ちゃん、何か私に隠してない?」
「別にねぇけど?」
「ふーん、じゃあかなちゃんが家出する前の夜何があったか私に教えてよ?いいよね?いいでしょ?」
「えっ!?」
(な、なんで恵がその事しってんだ!?)
「かなちゃんから聞いたんですよ」
「へーそうなんだー...って、はぁ!?」
(なんで俺が思ったこと分かったんだこいつは!とりあえずオブラートに包もう)
「な、なーにいってんだい恵。別になんもしてないようん」
「へぇー...まぁ、お兄ちゃんがそこまで言うなら信じようかな」
「あ、当たり前だろ。俺が嘘なんてーーー」
「嘘だ!」
(完全に信じる気ねぇだろぉぉぉぉい!)
「許さない...私と違う女とキスするなんて絶対許しません!」
これはヤバい!と思った俺はふと、恵の手元を見るとさらにヤバい物が握られていることに気づいた。
「恵、それなんだ?」
「見ての通りですよ。はさみです」
そう言って、恵はそのはさみを見せびらかすように構えた。
「それで....何するつもりだ?」
「決まってるじゃないですか。そんな汚れた唇はもういりません。だから一回切り落として綺麗にしてあげるね」
(さらっと恐ろしいこと言うんじゃねぇ!)
「大丈夫、痛いのは一瞬だから...ね?」
「...もちろん本気じゃないよな?」
「もちろん」
(ほっ、さすがの恵もそんなことはーーー)
「本気です」
(よし、逃げよう)
そうして俺は一目散に逃げ出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんで俺は今の状態に至るわけである。
さいわい大雨のおかげで足音がかきけされ、恵は俺がどこにいるのか気付いてないみたいだった。
「おにいちゃーん、どこにいるの?でてきてほしいな」
(出た瞬間死ぬのわかっててでるやつがいるわけねぇだろ!とりあえず鍵は閉めてるからな...もうなんでこんなときに誰もいねぇんだよ!)
あいにく、今日は加奈子が部活の試合のため加奈子はもちろん、親父もお袋もそれを見に出ていた。
「それにしてもかくれんぼかぁー。昔よく遊んだよね...」
(好きでやってるんじゃねぇよ!)
「あのときは楽しかったなー。鬼はいつもお兄ちゃんがやってくれたよね。ほんとにあの頃からお兄ちゃんは優しかった」
(今はあんな生易しいかくれんぼとは訳が違うんだよ!捕まったら死ぬ、リアルかくれんぼじゃねぇか!そんなの楽しめるか!)
「でも今回は私が鬼役でお兄ちゃんが逃げる役...やっぱり逃げる役やりたかったんだね。しょうがないなー」
恵の足音は聞こえないが声がどんどん大きくなってることから恵は相当近くにいるのだろう。
俺は必死に息を殺した。
「うふふ...ここかな?いないなー...」
(頼む!スルーしてくれ!)
しかし、その思いは届かなかった。
「じゃあ、ここかな?それとも?...」
ガチャ
「ここかな?」
そしてついに、恵は俺のいるトイレのドアノブにてをかけた。
「お兄ちゃん、見ぃーつけた」
絶対絶命の大介。
大介は無事生き残ることができるのか!?
第24話に続く...
お読み頂き感謝です♪
ホラーっぽく書きたかったはずがなんか怖くない感じになっちゃったかな?w
とりあえず、明けましておめでとうございます!




