表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/53

第21話:苦痛の果てに得られるもの...それはやっぱり苦痛でしかないよね

よろしくお願いします!

 プチ家出事件が一段落ついたところで、楓ちゃんの両親が迎えに来た。


「みなさん三日間、本当にお世話になったですぅ」

「いいのよ。また来てね」

「はいですぅ」


 見送りには俺とお袋と加奈子と恵が参加していた。


「加奈子お姉ちゃん、本当にごめんなさい」

「いいからいいから。まぁ、また遊びに来なさいよね」

「はーい♪」


(何だかんだあったけど、こっちも仲直りしたみたいだな...でもこっちは)


「いや、もう来なくていいですから」

「恵お姉ちゃんにとやかく言われる筋合いはないですぅ」


(こいつらは結局最後の最後までなかがよろしくなかったな)


 そんな恵と楓ちゃんが睨みあっているのをお袋が拳骨でおさめた。

 もちろんやられたのは恵だけ。


「もういい加減にしなさい。恵、なにやってるの!」

「いたた...ぅぅ、だってぇ ...」

「だってじゃありません。最後ぐらい仲良くできないの?」


 恵はそれで言い訳する気も失せたのか、加奈子の影に隠れてしまった。


「ほんとにごめんね。うちの娘が」

「いえいえ。おきになさらずー」


 そう言った楓ちゃんの表情は何故か勝ち誇ったように見えた。


「じゃあ、そろそろいきますね」


 楓ちゃんはそう言って後ろを向いた。


(ふぅー...やっと終わったな。この数日間本当に長かったぜ)


「あ、そうだ」


 帰るかに見えた楓ちゃんはもう一回こっちを向き、俺の目の前にたって、


「お兄ちゃん、ちょっとしゃがんでほしいですぅ」


 と言った。


「ん?どうした?」


 俺はとりあえず言われた通りに楓ちゃんの目線に合わせてしゃがんだ。すると、


「ちゅっ」


 楓ちゃんは俺の頬にキッスをしてきたのだ。


「あらあら」

「な、ななな!」


 お袋はさぞ嬉しそうに見ていたが俺の頭の中は焦りで埋め尽くされていた。


 それもそのはずである。こんなのを妹たちが見たら...


「「ーー!」」


(あーあ、もう手遅れだ...)


 そして、


「それじゃあ、お邪魔しました♪」

「「ちょっと待ちなさーい!!」」


 そんな制止を無視して楓ちゃんはドアを開けて外に出る。

 それを追おうとする妹たち。


「殺す殺す殺す!」

「あんた、あのこと全然反省してないでしょ!待ちなさいよ!」

「落ち着けお前ら!」


 そしてそんな妹たちを体をはって止める俺。


(結局こうなるのかよ...とほほ)


 こうして楓ちゃんは帰り、ドタバタだった三日間は無事に幕を閉じたのだった...俺の体を犠牲にして。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 楓ちゃんが帰り、俺も部屋へと戻った。


(はぁー...最後の最後まで痛い目くらったぜ...こういうときはやっぱあれするか)


 部屋に戻った俺は、パソコンの前に座り主電源を入れた。


(お待たせあやたん、みやびたん♪)


 このゲームの中でも、ちょうど許嫁が帰るところだった。


「それじゃあ、帰るわ。またね、あ・な・た♪」

「ははは...」


 苦笑いを浮かべながら手をふる俺。

 しかし、隣にいる妹たちはそうではなかった。


「帰るなら早く帰れ!しっしっ!」

「そうですよ!てゆうか、お兄ちゃんのことあなたって呼ぶのやめてください!」

「あら、だってしょうがないでしょ。私のダーリンなんだから」

「それはあなたが勝手にいってることじゃないですか!」


 どんどんヒートアップしていく妹たちと許嫁。


「まぁまぁ、落ち着けよ。な?」


 俺はそんな三人を落ち着かせようとしたが、全くの逆効果だった。


「おにぃは」「お兄ちゃんは」「あなたは」

「「「黙ってて!!」」」


 もうダメだ...俺にはどうしようもできん。


 それから妹たちと許嫁は言い争いを続けた。

 そして、いつまで続くか分からなかったので俺はこっそり部屋に戻ろうとした。


 すると、許嫁がまた余計なことをいった。


「そこまで言うなら分かったわ。こうなったらどっちの方が好きなのか決めてもらいましょう」

「は?何いってんの?」

「のぞむところです!」

「賛成!」

「お前らものっかってんじゃねぇ!」


 しかし、俺の話など聞くわけもなく、

 

「さぁあなた、もちろん私を選ぶわよね?」

「おにぃ分かってるよね?」

「お兄ちゃん...信じてますから」


 お、俺どうする?


 ここで二卓の選択肢が現れる。


 《1:妹たちを選ぶ》

 《2:許嫁を選ぶ》


(えっ!二卓なの!?三卓でどっちもとかないのかよ...まぁ、こうなったら選ぶ選択肢は一つしかないな)


 俺はマウスを選択肢に動かし、クリックしようとした。


 だが、またしても邪魔者が入ってきた。


「あーにーき!」


 声の方に振り向いた瞬間、衝撃が襲ってきた。

 最初は何か分からなかったが、ようやく横から誰かが抱きついてきたのだと気づく。


「お待たせ♪待った?」

「待ったじゃねぇよ!いきなりなんだ?」


 それは加奈子だった。


「なんだじゃないでしょ!兄貴、何か忘れてない?」

「??」


 俺は全く思い当たることがなかった。

 そんな俺を見て加奈子は「はぁー」と一回ため息をつき、


「私、まだ兄貴のこと許してないんだけど」

「はっ?なんで!?」

「お願い...聞いてもらってない」

「お願い?」


(こいつとそんな約束したか?)


 しかし、次の加奈子の一言で俺は全てを思い出した。


「キ、キスのこと///」

「な!お、お前あれは無しになったんじゃねぇのかよ!」

「何勝手に決めてんのよ!そんなわけないでしょ!」


 そう、加奈子はここでまた俺に反省したというのを態度で示せと言ってきたのだ。


「そんなことできるわけないだろ!」

「まぁ、さすがにキスは言い過ぎた。だから...抱っこして」

「どっちにしたって無理に決まってんだろ!」


 俺がそう言うと、加奈子はパソコンの線を掴んで、


「...してくれないなら今すぐパソコンの線切るよ」


 と、脅してきた。


「それだけは勘弁してください!」


 そんなことを言われると俺はどうしようも出来ない...なので、しぶしぶ了承してしまった。


「じゃあ、お願いね♪」


 そう言って、加奈子はちょこんと俺の膝に体を横にして座った。


「どうだ?満足か?」

「もうちょっと♪」


 俺は恥ずかしくて顔が真っ赤になっていた。


「兄貴♪」

「なんだ?」

「頭なでなでして?」


(はぁー....もうどうにでもなれ)


「...はいはい」

「えへへ♪」


 俺が頭を撫でてやると加奈子は嬉しそうに足をバタバタさせた。


(...いつまでやってればいいんだろ?)


 俺は何時間もこの状態だと覚悟していたが、すぐに終わりを迎えることになった。


「かーなーちゃん?」

「「えっ?」」


 聞き覚えのある声...その声の方に振り向くとやつがドア越しに俺たちのことを凝視していた。


「さっきから何やってるの?」


 そのやつとは...もちろん恵だ。恵はそう言うと、俺たちの方にどんどん近づいてくる。

 そして、恵が現れたことで俺の心のなかはとんでもないことになっていた。


(ギャーーッ!なんだこの圧倒的なプレッシャー!近づいてくる度にどんどん押し潰されていくみてぇだ...とりあえず無理!マジで無理だから!)


 俺は外見は平常を装っているつもりだったが、その顔はひきつっていた。


 しかし、加奈子はというと...


「何って...抱っこ?」


 全く動揺もせず、むしろ何でそんなこと聞くの?的な態度をとった。


「そんなのだめ!今すぐ離れて!」

「なんでよー。メグだって一緒に風呂はいったんでしょ?ならいいじゃん」

「な、何でその事を!?」

「兄貴から聞いた」


 すると、恵は一気に首を捻り俺を睨み付ける。俺はかたくなにそっぽを向き続けた。


「そ、その事は今関係ないでしょ!とにかく離れなさい!」

「ちょっと!やめてよ!」


 引き剥がそうとする恵。

 離れまいとがっちりと俺にくっついてくる加奈子。

 二人とも全くひくきはないみたいだった。

 そして、決着がつきそうにないと思ったのか恵が、


「ねぇ、かなちゃん。この際だからはっきりさせない?」

「いいけど...負けても文句言わないでよ?」

「それはこっちのせりふです!」


 俺には会話の内容は意味不明だったが、何か悪い予感がしていた。

 それは見事に当たってしまった...


「えっ?何?」

「お兄ちゃん、私と加奈子どっちの方が愛しているか今ここで決めてください」


(いや、話に全然ついていけないんだけど)


「あのー...」

「どっちもとかは無しだかんね」


(あ、俺の考えは聞いてくれないわけね)


 とりあえず、俺は質問してみた。しかし、


「...どっちも無しとかは?」

「「あ?」」

「はい...すいませんした」


 見事に撃沈してしまった。


(...って言われても決めれるわけないし、それにこいつらのこと好きか嫌いかでいったら好きだけど愛してるなんてつもりは全くないわけで...こうなったらあれでいくか)


 俺は悩みに悩んだ末、ついにひとつの答えにたどり着いた。


「...わかった。そこまで言うなら決めてやるよ」

「「....ごくり」」

「俺が愛してるのは...」


 そこで俺はパソコンのマウスをつかみ画面をクリックした。


「「はっ?」」

「あやとみやびだぁぁぁぁぁあ!!」


 俺は声高らかに愛を叫んだ。

 そう、俺が選んだのは『リアル』ではなく『二次元』の妹だった。


「おにぃ」「お兄ちゃん」

「「ほんとにありがとう!私も大好きだよ!!」」

「「............」」

「いやー、やっぱあやたんとみやびたんは世界一だよー....ん?」


 俺があやとみやびにくぎづけになっていると、両肩をポンポンと叩かれたので振り返った。

 振り替えると、笑いながらこっちを見ている二人がいた。

 しかし、こめかみには怒りマークがみえていた。


「兄貴の」「お兄ちゃんの」

「「バカー!!」」

「ごふっ!」


 俺は思い切り二人にビンタをくらい、そのまま横にぶっ飛んだ。


「いこっ!かなちゃん」

「ほんと信じらんない!」


 そう言いながら二人は部屋を出ていった。

 二人が出ていったのを確認して俺は天井を見上げて一言呟いた。


「....作戦...成功だな」


 そして、おれはそのまま眠りに落ちていった...


 今回の三日間で俺が学んだ結論...女は...恐い...






お読み頂き感謝です♪

これでやっと「刺客現れる編」が終わりました。

無事に書き終わることができてよかったです!

これからは外にもでたし、イチャラブシーンをたくさん書いていきたいと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ