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第20話:家族全員集合...かと思ったら親父がいない...まぁ、いいよね?

よろしくお願いします!

 俺はなんとか加奈子と仲直りをし、家へと向かっていた。気が付くともう夕方になっていた。


「...それで、なんであんなことしてたの?」


 帰っている途中、加奈子はあの事について聞いてきた。


「い、いや...それには深いわけが...」


(ごめん加奈子!これには本当に深いわけがあるわけで...話すとまたややこしくなるというかなんというか...)


「ふーん...まぁ、大体予想はつくけど」

「おっ!分かってくれたか!?」


 俺は安堵した...でもそれは一瞬だった。


「でも...許さない」


 そう言って、加奈子はこっちに向いてどえらい視線を送ってくる。


「えっ!なんで?」


(わかってくれたんじゃねぇのかよ!)


「許さないっていったら許さないの!」


(訳が分からないよ)


「お前、さっきはもういいよとか言ってたじゃねぇか!」


 俺はもう許されたもんだと思っていたので、この展開は予想外だった。


「兄貴、そんなこと言ってもいいの?あー、昨日は最悪だったなー」


 そう言われると、言い訳しようもない...


「わ、分かったから。ど、どうしたらいいんだ?」

「まぁ、それは兄貴の態度によるよねー」

「...例えば?」


 俺がそう聞くと何故か加奈子はもじもじしだした。


(こいつ...何させるつもりだ?)


「例えば...私に、キ、キ、キスするとか?」

「なーんだそんなこと...って、はぁ!?」


 加奈子はとんでもないお願いをしてきた。


「な、何いってるんだ!?」

「なに?楓ちゃんとはできて私とはできないわけ?」


(いや、そういう問題じゃねぇよ!)


「できる分けねぇだろ!第一あれは事故だって分かってくれたんじゃねぇのか?」

「わかる云々の問題じゃない!私がしてないっていう既成事実が気に食わないの!」


 俺も加奈子も相当ムキになっていた。


「そんなの俺が知るか!てか、お前は何子供と張り合ってんだ?」

「そんなの兄貴を好きだからに決まってんじゃん!」

「なっ!そ、そんなこと堂々と言ってんじゃねぇよ!」


 そんなことを言ってるが、正直悪い気分ではない。


「もう、いいじゃん!こっちは兄貴のファーストキス奪われてむしゃくしゃしてんの!」


(いや、なんでわかんないの?てか...)


「いや、あれファーストキスじゃねぇけど」

「えっ?」

「あ...」


 言ってから気づいた...俺はとんでもない墓穴を掘ってしまったと...


「あ、兄貴...」

「い、今のは...」


 俺が言い訳する前に、加奈子は俺の胸ぐらをつかんで...


「言い訳無用!どうゆうことだぁー!」


 とうとう加奈子の堪忍袋のおが切れたらしい。


「ちょ、ちょっと待て!落ち着け!」


 俺はなんとかして加奈子をなだめようとするがこれが全く効かなかった。


「これが落ち着いてられるか!なに?誰としたのよ!?」

「言うわけねぇだろ!」

「兄貴に拒否権なんてない!答えろー!」


 加奈子は俺の胸ぐらをつかみながら揺らしてくる。


(うぷっ...気持ち悪い...もう勘弁してくれ)


 そんなやり取りを続けていると...


「...か、加奈子お姉ちゃん?」


 後ろから加奈子を呼ぶ声が聞こえた。


「「ん?」」


 俺たちは一斉に声のする方に振り向いた。


 そこには楓ちゃんとお袋の姿があった。

 すると、楓ちゃんは走って加奈子に近付いていき、そのまま抱きついた。


「加奈子お姉ちゃーん!よかった...よかったですぅ」

「ど、どうしたの楓ちゃん?」


 楓ちゃんは泣いていた。加奈子もそれを見て、動揺してるようだった。


「楓、お姉ちゃんに謝らないといけないことがあるですぅ...お姉ちゃん...昨日はいろいろとごめんなさいですぅ!」

「うぇ!?」

「楓、お姉ちゃんたちがあんなにお兄ちゃんと仲が良いのが羨ましくて...それに嫉妬しちゃって...でも、ちょっとやり過ぎちゃいました!本当にごめんなさい!」


 楓ちゃんはそう言った...どこをどう見て仲良さそうに見えたのか俺は聞いてみたかったが、やめた。


「楓ちゃん...もう気にしてないから顔あげて、ね?」

「ぅぅ...加奈子お姉ちゃん...」

「はいはい、よしよし」


 加奈子もやっと落ち着いたみたいだった。


(こっちも仲直りできたみたいでよかったな...おかげでさっきのこともすっかり忘れてくれたみたいだし)


 そうして、俺たちはまた家へと向かって歩き出した。


 その道中、加奈子がお袋に怒られたのは言うまでもない...もちろん俺も。


 家に帰ると早速恵に連絡をした。

 すると、5分も経たない内に恵は家に戻ってきた。


「かなちゃん!?」

「は、はひぃ!」


 恵はリビングのドアをおもいっきり開けて入ってきた。

 その姿はどこを探していたのか泥だらけで息もあがっていた。


「かなちゃん...」


 恵は加奈子を見つけて少しほっとした様子だったが、すぐに...


「もう!どれだけ心配したと思うの!勝手に飛び出して...人の迷惑も考えてよ!」


 その時の恵の表情は今まで見たことないものだった。


「ご、ごめんなさい...」


 加奈子もそれに気付いたのか素直に謝った。


 すると、恵は我慢の限界と言わんばかりに涙を流した。


「でも、ほんとによかった...かなちゃんが無事で...」


 そう言って、恵は加奈子を優しく抱きしめ...


「改めて、おかえりなさいかなちゃん」


 その言葉はとても優しいもので、俺も思わず泣いてしまいそうだった...


「メグ...メグぅ、ただいまぁー。ほんとにごめんね」


 加奈子も恵の優しさに我慢ができなかったらしく大粒の涙を流して泣いてしまった。



「もうかなちゃんったら」


 こうしてプチ家出事件は解決したのだった....






お読み頂き感謝です♪

書き終わってから気付いたけど、お父さんだけいないw

でも、いるからね!

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