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Black.Life  作者: 雷撃ぶち
4/4

4.助けた銀髪幼女は討伐隊リーダーで。



「よし...これから町に行こうではないか!」


 色白な手を青空に突き上げテンションアゲアゲな私を、アマサが冷ややかな目で見ている。ちょっと心のダメージが大きすぎる...が、私挫けないよ、何故ならやっと願いが叶うのだからな。

 町に行くのなら、アマサが言うには名前とか出身地とか決めなくてはいけないらしい。そしてブラックドラゴンであることを隠し通さなければいけない。さすがに人が多い所でバレたら討伐隊の皆様にやられてしまう。ご愁傷様にならないよう気をつけならねば。


『じゃあ...まず名前を決めようじゃねェか。名前つーのはまぁ分かるなァ?ファースト、ラストの構成から出来るンだィ』


ほへー、ファーストラスト、なんだか前世の外国の人の名前みたいだ。アマサが言うに、簡単に言えば、ファーストネームは名前、ラストネームというのは苗字。とっても簡単だ。私でも分かる。

 因みに、ピクシーの社会では名前はこのファーストラストの構成に加えて「レディム」というネームがある。これは何かしらの成績を持った上で村の長から貰えるらしく、所謂称号らしい。ピクシーであるアマサの名前は「アマシス・レジェクト・アマテラ・ナイトソー」。アマシスがファースト、レジェクトがラスト、アマテラからレディム。

 名前が3行ぐらいまであるピクシーもいるらしい。なげぇよ。


「と言っても名前だなんです自分で決められない」

『じゃあお前の目が赤いからアリシアな』


そういうことで、凄い早さで私の名前が決まった。「アリシア」。アリシアという名前からは、この世界に存在する血の様に真っ赤な珍しい花「クリスア・アリシィ」から来てるのだとか。自分でもカッコいいと思う名前であろうことか。出身地はアマサと話し合い、ここをずっと北にある北国「バリアフリート」にした。苗字もそれにちなんで「バリル」にした。バリアフから歩いてここまで来た、と理由を言えば、仕事探しで成功しやすいと言う。この世界の大体の人間がそう甘いのだと。アマサって見かけによらず賢い。

 早速、町に向かってアマサと一緒に山を降りることにした。アマサも町を来たのは久し振りらしく、前に町に来たのはつい60年前だと。老けてないね。私も老けない体が欲しいわぁ。

 どんどん山が離れていく。さらば、私の故郷よ。さらば、集落に住む我の餌達よ。


 草ボーボーの道を進んでいくと、大きな黒い門を見つけた。どうやらあの門の先に、あの町があるのだろう。門の左右に、鎧を着た何か門番みたいな人がいる。


「止まれ!」


右の門番が私の前に立ち塞がった。私の背をゆうに超えて、首を上げないと顔が見えない。どうやら、こいつは髭面のおっさんのようだ。

「危険物を所持していないか確認する」

右の門番がやけにガリガリな左の門番に向かって顎をくいっ、と動かすと、左の門番は動きだして私の体を触り始めた。どう見てもそれらしい物ないだろ。

 それにしてもこの門番、手つきがいやらしい。変に色々な所触りまくってやがる。

 左の門番が確認し終わり下がると、右の門番がうむと言い、門付近に付けてあるレバーを下げ、門を開けてくれた。私は門を通ろうとすると、いきなり後ろから肩を掴まれた。

「名前は!」

「...アリシア」

それだけ言うと、門番は手を離してくれた。私は肩を少し払うと、そそくさと門を通った。


 町は賑やかだ。八百屋らしき店や、肉が売られている店もある。人も多く、沢山の人が私の目の前を通り過ぎて行く。静けさがひとかけらもない、あの山とは正反対だ。

『あれが王と王子の城であり、害龍討伐隊の本拠地だァ』

アマサが指差した向こう...白くて、よくあるお城が立っていた。だが、ただのお城ではない。まるで要塞のような、そんなデカさだ。城の様々な所に龍に刃を突き刺したような絵の旗が掲げれている。

 アマサが言うに、このマラス地方を治めているのがこのお城に住む王様で、その名も「マツオン・カシューゾラス王」。下手したらあのテニスカイノスターになりそうだが、気にしない。気にしたら負け。因みに、その息子、即ち王子の名前は「シュレン王子」。まともな名前で、しかも超イケメンなんだとか。婚約しようとする女性が急上昇しているが、シュレン王子はどの女性とも婚約を破棄したらしい。

 変な人なんだね、シュレンって人は。


 突然、町に叫び声が響き渡った。

「助けてっ、やめてください!!」

振り向くと、銀髪の美女が男2人に腕を掴まれているではないか!美女は必死に腕を振っているが、男の手がガッチリとその細い腕を掴んでいる。むむっ、なんという変態行為、許さぬ!断罪すべし!

アマサも許さないようなので、私の好き勝手にさせてもらいます。今ドラゴンじゃないので、炎は吐けない。遠くに離れ、一気に走り出す。その勢いに乗って、宙で右脚を動かし足を腕を掴んでいる男の顔に向かって蹴り出した。頬に足をめり込ませた男は、腕を離して無様に横に倒れた。突然仲間が倒れ、慌てるもう一人の男も回し蹴りで気絶させる。殺すまでにはいかなかったからいいのではないだろうか?

 恐怖も味わっていたから美味しそうだったんだけどな...。実は食べたかった。


「ありがとうございます!助かりました!」


埃まみれになった服を叩きながら、一礼する銀髪の美女。ニコッと笑う彼女は、まるで太陽の下に咲く美しい花のようだ。アマサから見て、身なりからして階級は上の方。貴族とかに値するらしい。身長は低く、パッと見ではまだ子供じゃないかと思われてしまうのではないだろうか。顔は童顔で、きらきらに光る銀の髪を腰まで伸ばしてある。これは絶対ロリコンの皆さんがうようよ寄ってきそう。

「私はローゼライト・ドレイク。気軽にローゼって呼んでください!」

またもや笑顔を作るローゼさん。この笑顔は、上手くいけば24人くらいの人のハートを串刺しに出来るだろう。アマサは今ニヤニヤ顏なんだろうなぁ、と思い隣にいるアマサを見ると、何やら表情が険しくなっていた。ローゼさんをじぃっと見つめている。

「どうしたのアマサ」

『ローゼライト..."冷酷なる銀の仮面"と呼ばれる女だァ』

"冷酷なる銀の仮面"?なんて厨二が用いそうな呼び名なんだろう。それにどう見ても仮面なんてしていないし、冷酷とは正反対のとても温かい性格だ。ローゼさんはまた笑うと、隣に落ちてあった何やら金属製の物を拾った。

「あ、そういえば貴方たちのお名前を聞いていませんでしたね。お伺いしても宜しいでしょうか?」

そ、そんな声で言われちゃったら、教えたくなってしまうではないか!

「私はアリシア。アリシア・バリルです。横にいるのはピクシーのアマサ」

『とりあえず宜しくなァ』

「宜しくお願いしますね、アリシアさんにアマサちゃん」

ローゼさんがアマサに笑顔を向けると、アマサの光が突然緑色からピンク色になり、噴水並みの鼻血が出て落ちてしまった。ハートマークが沢山出ていそう。私は墜落したアマサを人差し指でツンツンしていると、突然ローゼさんがいきなりの爆弾発言をした。


「私はここの城所属の害龍討伐隊の一番隊のリーダーです。いつもはこの仮面を着けていたのですが、どうやら着けるのを忘れて不審者に...助けてくださったお礼に、城で歓迎をしたいのですが」


そう言ってローゼさんは鉄製の仮面を見せてきた。頑丈そうで、気味が悪い絵柄の仮面だ。成る程、だから冷酷なる銀の仮面と呼ばれているのか。しかも討伐隊のリーダーなんだ、とてもお強い幼女だこと。




「え?」

『はァ?』



 冷酷なる銀の仮面。

 "害龍討伐隊"のリーダーだと...。





新キャラローゼさん登場。

なんとかやっていけるといいですね。

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