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5章「嘘の人生を送ってきた」

今回は、長いです

   5章「嘘の人生を送ってきた」





 信司は、先日神様から連絡があった自殺志願者を探すことにした。

だが、信司の周りと言ったらロリコンと隅田くらい。この二人は自殺などしそうにはないということで、とりあえず調査から除外している。




 「どうやって調べればいいんだぁーっ」

 「信司君の周りなんだから…やっぱりあの二人のうちどちらかじゃないの?」

 「あいつらかぁ~? んー、考えられないなぁ」

 「自殺志願者っていうのはだいたい表では元気な風にふるまっているものなんだよー」

 「そういうものなんか?」

 「そういうもんだよっ ということで、あの二人に的を絞ろうっ」

 「わかった。」






信司はまず隅田を調べてみることにした。

どっちかというと、隅田の方があやしい。

昨日のため息といい、授業中に屋上といい…

そういった行動から、隅田かもしれない。

そう思えてきたのだ。





「なぁ隅田ぁ~、きょうの放課後、ちょっといいか?」

「えっ? い…いいよ?」

「ありがと、じゃぁ放課後な」

「うんっ」





信司はそう言い残し、いつもの屋上へと上って行った。

隅田は頭にクエスチョンマークが2,3個浮かんでいる様子だったが、その半面。嬉しくもあった。

 




「順調だね、信司君。私は嬉しく思うよ。」

 「…なんでいんすかー? 神様ぁー?」

 「私も暇なものでねー、ついつい降りて帰たくなるものなんだよ。」

 「暇、なんですか…」

 「天界はなんにもなくてねぇー。それに比べて人間界は…おもしろいところだねー。ね?彩音ちゃん?」

 「うん。人間界は、いろいろ娯楽もあるからねー」





 屋上に上ると、神様が出迎えていた。

神様も暇らしいから、ちょくちょく降りてくるみたいだ。暇なら、天使達にメールでもすればいいのに。信司はそう思いながらため息をついた。





 「で、どうなんだい? 彼女…それっぽいかい?」

 「んー、どうなんでしょうねー僕の周りと言えば彩音以外なら二人しかいません。

その二人のうちどちらかというと、先日から様子がおかしい彼女かなぁーっと」

 「ふむふむ。それは正しい判断だね、信司君。私は関心するよー。ははははー…」

 『んー、やっぱり付いていけない。この人のテンションには』





信司はそう思いながらも、しばし神様とのトークに付き合った。そして約束の放課後…

 





 「よっ! 隅田、さすが約束には早いな」

 「当たり前でしょ、待たせたら悪いもの」





隅田は、他人に思いやりの持てるいいやつだ。

昔から信司達との約束にいつも早く来るし、遅れたことなんて一度もない。

ノートだってこっそりと見させてくれる。信司にとって、とてもいい友達だ。

本当に自殺志願者なのだろうか…





 「なぁ、隅田。最近様子おかしい感じだけれど、なんかあったのか?」

 「…なにもないよ…?」

信司は隅田の眼を見て問いかける。

隅田は、目をそらしうつむいて小さい声で答える。なにもないと言っているが、そんな風には聞こえない。





 「うそだね。隅田は昔から、なんかあるときはそんな言い方する。なんかあったなら、僕でよければ話し聞くよ?」

 「…水谷君…ねぇ、水谷君」

 「ん?」

 「君にだから言うけれど…」

隅田は、重い口をゆっくりと動かせてゆっくりと言葉を紡ぐ。

 「私ね…? もう、嫌なの。疲れた…

私ね? 実はね、小さい頃の記憶が…ないの。」

 「え…?」





それは思いがけない言葉だった。

隅田はいつも信司と一緒にいて、それでも違和感など感じたこともない。

ましてや、小さいころの記憶がないなど全く気付きもしなかった。

実際隅田は、思い出話にものっかってくれたし…





 「水谷君や、みんなが思い出話してる時、私ね。ものすごく辛かったんだ…だって、水谷君の事も忘れてしまってたわけだし。だけど、水谷君。無垢で、優しくて…だから、言えなかったんだ…」

 「…そう、だったのか…ごめんね。気付いてやれなくて。」

 「水谷君が謝ることじゃないよ。水谷君やみんなに…自分にも嘘をついていたのは私なんだから…嘘の笑顔でごまかして…もうなにもかもが…最近ね、自分の存在までもが嘘なような気がしてきたの。だから…もう…」





 隅田がある言葉を発そうとしたその時、屋上に嫌な空気が渦巻いた。

そして、目の前に黒い穴ができ、そこから魔魂と思われるものが出てきた。

 「…なに? あれ…」

 「隅田、あれが見えるのか?」

 「見える…? どういうこと?」

 「隅田、ちょっとだけ向こう向いてて」





隅田はうなずくと、後ろを向いた。

信司はそれを確認すると、宙に魔法陣を描き、小さな声で解放とつぶやいた。

 『これは…なんだろう。』

 「これは…風帝…」

 「なんだ、それ」

 「魔魂の、強さの度合いで表わすと上から3番目に値するやつよ。その中の、一部。」





 信司は身震いした。先日戦ったあの魔魂でも下から2,3番目あたりだった。

そして今度は上から2番目。なりたての天使なのに…

 「大丈夫。今回は私も戦うわ。」

 「心強いね」





信司は空気で刀を形成し、風帝に向かって駈け出した。まずは、横薙ぎ。すると、風帝の体が瞬時に信司の背後に来た。

そして、蹴りを一発食らい、フェンスに激突。

 「…ぐばっ…」

 「信司君!…低速の旋律。」






彩音はオカリナを吹き始める。すると、風帝の周りに緑色の輪が現れる。

 「…せいっ!」

信司は、減速した風帝に向かう。

そして、腕を斬り落そうと腕を斬る。





…がしかし、奴の腕はあまりに硬く。激しい金属音を響かせただけだった。そして、低速化したにも関わらずやっぱり瞬時に信司の後ろに回り込む。

 だが今度は信司も奴の攻撃を避け、態勢を立て直した。

 「水谷君…? どうなってるの?」

 「ちょっとね。でも、すぐ終わるから」

 「倍速の旋律」





彩音がオカリナを吹くと、信司を赤い輪が包む。

そして信司の動きが早くなった。ただでさえ早い信司の動きがさらに早くなった。

 「…効力は3分。それまでに終わらせないと…」

 「わかった。3分だなっ」

信司は刀を横に縦に斜めに振りまわし、宙に魔法陣を描く。そして、その魔法陣に触れてイメージ。

 「荒ぶる風!トルネード!」




信司はいらない掛け声を入れる。

そして、魔法陣から大きな竜巻が飛び出し風帝を包む。

風帝はフェンスに激突。そして信司は地面を蹴った。

竜巻の風に乗り、さらに加速。




そして風帝の腹部に刀を刺した。

 「刺さったっ!」

 「油断しないでっ!」

 『どうやら腕以外は普通みたいだなぁ。』





信司は、風帝が攻撃に移る前に後ろに跳躍し、距離を取った。

そして、竜巻の中から風帝が飛び出して来た。

 ものすごい速さだが、見切れない程ではない。天使の能力のおかげで脳の回転速度は増しているのだ。





信司は、刀の切っ先を前に突き出した。

そして風帝は動きを止め、後ろに跳躍。

そこからなにやらぶつぶつ唱え始めた。

 「水谷君…?」

 「隅田!」





気がつくと後ろには隅田の姿があった。

後ろを向いていたはずの隅田は、こちらを向いている。そして、風帝を見つめている。

 信司が隅田に気を取られている内に、風帝は宙になにかを描いた。

そしてそこから、勢いよくビームのような…それよりもっと恐ろしい何かが飛び出してきた。そいつが向いている方向は隅田。

 「隅田!危ないっ!」




信司はとっさに隅田の前に立ち、宙に魔法陣を描いた。そして、それに触れ、バリアを作った。手はそのバリアに常に触れて支えている。

 「隅田、大丈夫か?」

 「何で…なんで助けたりしたの!」

 「…っ、隅田…?」




二人が会話を交わす間にも絶え間なくそれがこちらに降り注ぐ。



 「あれに当たってたら、私…死ねたのに…

なんで! 私はこんな嘘だらけな人生なんていらない! 全てが嘘な人生なんて!」




 「…バカヤロウっ!…っ…ぐ…っ、お前の人生が嘘だった? なわけあるか! 過去を忘れていたとしても、お前の人生は嘘なんかじゃない! 過去の思い出はなくても、今の思い出はあるだろ!…バカなこと、いってんじゃねぇぇぇえぇえぇぇ!」




信司はバリアをミラーに変更し、相手のビームを勢いで跳ね返した。

幸い、あれは跳ね返せる物質だったらしく、風帝に向かって一直線。風帝は自分の攻撃にのまれた。



 「水谷君…」

 「お前の人生は本物だ! それは誰にも否定させない!」

 「…」

 「だから…生きてくれ! 僕は隅田に生きていてほしい! だから…だ…か…」




信司はぱたりと倒れこんだ。

 「水谷君! …この手…こんなになってまで私を守ってくれたんだ…水谷君。ごめんね。ごめん。私…生きる。」

 「よかった…」





信司は隅田の頭をゆっくりとなでた。隅田は泣きながら信司を見つめている。

 「信司君! 彩音ちゃん!」

 「神様!」

 「まだ、動いているよ。そいつ」

 「神様? 水谷君。なに、これ? そういえば彩音ちゃんには羽が。しかも水谷君もなんか、尋常じゃなかった。」

 「説明は、後ね…とりあえずあれを退治しないと…」

 「信司君、その体では無理だ! ここは私に任せろ!」

 神様は両手を広げた。すると、金色の翼が生える。

 「わが身を持って鬼となれ! 災い持って神となれ! ジャッジメント!」




そう叫んだ瞬間。風帝は音もなく、砕け散った。

 「すごい…」

 「はぁ…はぁ……ふ~。疲れたぁー」

 「あんまり力を使うからですよー」

 「まぁ、とにかく。その隅田って子に説明しなきゃね、あと信司君の傷も手当しなきゃ」

信司達は屋上を後にし、信司の家に向かった。

とにかく疲れていたので全員重い足取りだった。


今回は、長いので読むときはしおりをはさんでちょくちょくよむか

暇な時に一気に読むかしてくださいね


今回は隅田のお話。

なぜか魔魂や解放した天使が見えた隅田。

自殺志願者。嘘の人生。

記憶障害。


少しだけ次の予告をしておくと

天術。魔術。

邪魂天地零。

閻魔。


という感じです

あんまり言えないから単語笑



では、感想お待ちしています

http://playlog.jp/gzza/blog/

こちらにおよせください。

ご意見・ご要望・その他・感想

なんでもお待ちしています

批判でもどんとこいです


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