王の真意と、復讐の吹雪
「本題……?」
「ああ。君が僕の同盟相手として、本当にふさわしいかどうかの『最終テスト』さ」
レヴィは、俺の完治した右腕を見つめて満足げに頷いた。
「アレス、エレボス、アルテア。そして今回のゼイン。……君はこれほど短期間で神や王と殺し合い、その全てで生き残ってきた」
レヴィの瞳に、狂気じみた歓喜の色が浮かぶ。
「おまけに、120年の王のレイドボスを見事に横取り(キルスティール)し、あまつさえ直後の神判でピンポイントに最高位の【6】を引き当ててみせた。……ただの異常な強運か、あるいはあの精神世界のダイスにまで、君のイカサマが及んでいるのかは分からないがね」
レヴィは両手を広げ、心底楽しそうに笑った。
「最高だ。強運、度胸、そして盤面を根底からひっくり返す泥臭い執念。……君になら、僕の悲願を託せるかもしれない」
レヴィは氷で作った椅子に腰掛け、空を見上げた。その横顔は、300年の王というより、ただの傷ついた青年のように見えた。
「僕がなぜ、日本の君にわざわざ会いに来たと思う?……」
「?」
「それは………、『原初神』を殺すためさ」
俺と、駆けつけてきたセリア、紅刃が息を呑む。
原初神。俺が西東京市の廃工場で対峙した『エレボス』のような、世界を構成する概念そのものである最強の神々。
「昔の話だ。……僕には、心から愛した女性がいた。彼女も僕と同じ、この闘争で【6】を引き当てた『六王』の一人だった」
レヴィの周囲の雪が、彼の感情に呼応するように激しく舞い始める。
「だが、彼女は惨殺された。……『原初の炎』を司る神に、魂ごと、一切の慈悲もなく焼き尽くされた。僕が駆けつけた時には、彼女の灰すら残っていなかった」
レヴィの銀色の瞳の奥に、絶対零度の「怒り」と「憎悪」が渦巻いている。
「僕は復讐を誓った。だが、相手は概念そのものである原初神だ。いくら300年を生きた僕でも、単騎で挑めば勝機は薄い。だから、信頼できて、共に原初神を殺せるだけの『同格の同盟相手』をずっと探していたんだ」
「他の既存の王たちは、ゼインやアルテアのように自分の領土と権力にしか興味のない、曲者ばかりでね。とても背中を預けられる連中じゃない」
レヴィは立ち上がり、俺の前に手を差し出した。
「そこに、原初神エレボスの腕を吹き飛ばしたという、面白くてイカれた新米が現れた。……だから試しに、ゼインの獲物を横取りさせて、君の『器』を測らせてもらったんだ」
レヴィは、初めて王としての威圧を完全に消し、一人の男として俺に頼み込んだ。
「御堂統。僕と正式に『同盟』を結んでくれ。君のイカサマと僕の氷で、あの忌々しい原初神どもを狩り尽くすために」




