魂の略奪者(ソウル・イーター)と、最弱の足掻き
「ガ、アァァァァァァァッ!!?」
俺の右腕が、見えない獣の牙に喰いちぎられたような激痛に襲われ、鮮血が噴き出した。
ゼインの胸元に輝く、禍々しい漆黒のサイコロの刻印。彼が120年間隠し続けてきた未知の【6】の権能『魂の略奪者』。
「……私の真の権能は、物理的な肉体ではなく、対象の『魂と権能のパス』を直接喰らい、一時的に遮断するものだ」
ゼインが残忍に笑う。
「お前のその出鱈目な超再生も、権能そのものが魂から切り離されては発動すまい。……さあ、無限の戦車を出してみろ。今度こそ、右腕が塵となって消滅するぞ!」
俺のウロボロスの不死性が、完全に沈黙した。
右腕は再びズタズタに引き裂かれた状態に戻り、指先一つ動かすことができない。
「クソッ……! なら、左手一本でぶっ飛ばしてやるよ!」
俺は痛みに耐えながら、無事な左手で足元の瓦礫に触れた。
「——権能解放! 【1の目】、質量ゼロ!」
俺は重量を消した巨大な瓦礫を左手で軽々と振り回し、迫り来るアンデッドの群れをなぎ倒していく。
「無駄な足掻きだ。不死性を失ったお前に、私の毒と軍勢を捌き切れるはずがない!」
ゼインが指揮杖を振るうと、地面から無数の『腐敗の茨』が突き出し、俺の足首に絡みついた。
「チィッ!」
茨のトゲから猛毒が注入され、俺の左足の感覚が急速に麻痺していく。回避の要であるステップが封じられた。
「統ッ!!」
遠くで村人を避難させていたセリアと紅刃が駆けつけようとするが、ゼインが展開した分厚い毒の壁に阻まれ、近づくことができない。
「……ここまでだな、新米」
ゼインが悠然と俺の目の前に歩み寄る。彼の手には、ドロドロに溶けた極大の『腐敗槍』が握られていた。
俺は両膝をつき、血を吐きながらゼインを睨み上げた。
全身に毒が回り、視界がぐらぐらと揺れている。魔力も底を突き、万事休す。完全に盤面を詰まされた。
「お前の肉体は溶かし、そのハズレ枠の魂は私のアンデッドのコアとして永遠に凌辱してやろう」
ゼインが腐敗槍を高く振り上げ、俺の心臓めがけて容赦なく振り下ろした。
終わる。そう覚悟した、次の瞬間だった。




