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SEVEN~警視庁特務課~  作者: 桂木 京
第1話:美しき犠牲者たち

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事件解決、その後……

事件は解決した。

だが、被害者遺族たちの止まった時間が、再び動き出すわけではない。


「……やるせないねぇ」


被害者の身元を特定し、その家族へ事の顛末を報告するのも警察の重要な、そして最も過酷な職務の一つだ。

行方不明者届を出したまま、愛する人の帰宅を信じて待ち続けていた家族たちにとって、その結末はあまりに無慈悲なものだった。


「……全くだ。事件を解決しても、死んだ人は生き返らねぇ。犯人を捕まえりゃ、警察の仕事はそれで終わりだ。あいつは罪を償えば、いつかまた社会に戻ってくる。……どう考えたって、理不尽だよ」


虎太郎が、拳を握りしめながら悔しげに吐き捨てる。

その青臭いほどの正義感。

北条は、かつての部下たちが見せたのと同じ表情を、何度も見てきた。


『北条さん……あんな奴がまたのうのうと社会に出るなんて、納得できませんよ!』


『なんで、あいつが生きてて、被害者さんが死ななきゃならなかったんですか……』


『あいつが代わりに、死ねばよかったのに……!』


幾度となく投げかけられた、答えのない問い。

かつての自分も、その暗い情念の渦に身を焼かれたことがある。

それでも、北条は口を開いた。


「……犯人が逮捕されたことで、この先、同じ悲しみを背負う人がいなくなる。ずっと、暗く冷たい場所に置き去りにされていた被害者さんたちも、ようやくお家に帰れるんだ。……ほんの少しでも、それが遺族の方々の救いになればと、僕は願うよ」


悲しげな笑みを浮かべながら、それでも北条は虎太郎にそう語りかけた。

そう言ってやるしか、今の彼には出来なかったのだ。


「……そう、だな。そうだよな」


北条の言葉の裏にある、重苦しい諦念と祈りを察したのだろう。

虎太郎はそれ以上の怒りを口にはしなかった。


美しさを求めた男による、卑劣な犯行。

たった一人の歪んだ執念が生み出した悲劇は、一つの区切りを迎えた。

しかし、残された者たちの心に刻まれた爪痕が、癒える日は来ない。


「後味……悪いな」


「うん。だからこそ、僕たちは真剣に、必死に捜査を続けなきゃならないんだ。それしかできないけれど、それが僕たちに許された唯一のことだからね……」


また一人、目の前で遺族が崩れ落ちた。

これで何度目に見る涙だろうか。


我が子の、あるいは伴侶の遺骨を抱え、絶望の中で小さく丸まってしまった遺族の背中。

それを遠巻きに眺めながら、北条と虎太郎は並んで立ち、声にならない声を噛み締めていた。


夜は、まだ明けない。

だが、彼らはまた明日も、この暗闇の中で「誰か」を救うために走り続けるのだ。

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