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SEVEN~警視庁特務課~  作者: 桂木 京
第1話:美しき犠牲者たち

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予感

「マジかよ……」


貸倉庫業者の社長から提供された顧客リスト。

そこに記された「ある名前」を目にした瞬間、虎太郎は言葉を失った。


「北条さん……あんた、いつからこのことに気づいてたんだよ」


「え? まあ……さっき、かな?」


「……嘘つけ」


北条は資料を一瞥すると、「やっぱりね」と小さく呟き、それを虎太郎に押し付けた。

その仕草は、答え合わせを済ませた解答用紙を放り出すかのように、迷いがなかった。


「くくっ。虎、僕の予想通りの反応をしてくれるねぇ」


「あんた……一体どれだけ先を読んでやがるんだ」


のほほんと笑う北条の隣で、虎太郎は得体の知れない鳥肌が立つのを抑えられなかった。


「それで……司令には、なんて伝えたんだ? ここまで分かってるなら、もう逮捕できるだろ」


「犯人逮捕の、一番大切なところを頼んだのさ。……いいかい虎、まだ僕の推理は『仮説』だ。物理的な証拠が何一つ挙がっていない。だから、司ちゃんにはその『決定的な証拠』を見届けてほしいと頼んだんだ。……でもね」


北条の表情から、一気に温度が消えた。


「それは同時に、司ちゃんに最大の危険が降りかかるということでもある。だから……」


北条が、虎太郎の肩を強く叩く。


「その時が来たら、虎。君の力を当てにさせてもらう。君の野性の直感、そして鍛え上げられた身体能力が必要になる時が、必ず来る。……いいな、必ずだぞ」


「お……おぅ……!」


北条の瞳に宿る真剣な光に、虎太郎の胸が熱く昂る。

単なるお荷物ではなく、一人の「捜査官」として、このレジェンドが自分を必要としている。


その時、静寂を切り裂くように北条の携帯が鳴り響いた。


「もしもし、司ちゃん?」


『お疲れ様です。……今夜、接触します。獲物が動きました』


「おぉ、さすがだね。場所はどこだい?」


『はい。とりあえず都内のレスト……っ!?』


受話器の向こうで、司の短い悲鳴が上がった。


「司ちゃん!? ……司ちゃん!」


『…………ッ』


ガチャン、という硬質な衝撃音の後、通話は無機質な切断音へと変わった。 みるみるうちに、北条の顔から血の気が引いていく。


「……やられた」


「え……?」


北条がこれまで一度も見せたことのない、剥き出しの焦燥。

虎太郎は心臓が跳ね上がるのを感じた。


「犯人が接触した。……いや、捕まったんだ。早く見つけないと、司ちゃんが殺される……!!」


「なんだと……!?」


北条はすぐさま司令室へと指を走らせた。


「志乃ちゃん! 司ちゃんの携帯のGPSを追って! 消失地点周辺の防犯カメラを片っ端からチェックするんだ。……司ちゃんが、犯人に拉致された」


『……司令が? 了解。すぐに悠真くんとリンクします。周辺情報を全力で洗います!』


志乃の返答は、驚愕を押し殺した冷静なものだった。

特務課の全員が、今、一つの命を救うためにギアを最大まで上げた。


「さあ……地獄の果てまで追いかけるよ、虎ぁ!」


「……了解!!」


二人は弾かれたように、夜の街へと飛び出した。

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