二話
お久しぶりです。リアルが忙し過ぎて帰って寝るが暫く続いて頭から離れていました。どうにか落ち着いたので投稿した次第です。頻度は変わらず不定期になりますが、今回ほど空かないつもりでいます。よろしくお願いしますm(_ _)m
中庭にみんな集まったので取り敢えず挨拶から始めよう
「気をぉつけぇ~〜、いでっ」
今後輩から蹴りが入りました。割とガチな勢いで。普通に痛かったです。
「変な声出さないで下さい、気持ち悪いです」
「ごめんなさい」
どっちが先輩か分からなくなってきた。
「ねぇホントに俺が喋るの?男女別れても良くない?」
「別にいいじゃない」
「...はい。と言うことで皆さんこんにちは、弓道部主将補佐兼怠惰役の柏本亘です。今回は皆さん入部してくれてありがとう。正直こんなに沢山の後輩が入ってくるとは思わず、とても驚いたと同じくらい嬉しく思います。弓道と言う慣れない分野で分からない事が沢山あると同時にワクワクしている子もいると思います。分かるよ、俺も初めはめちゃくちゃ楽しみだったし。でも頭に入れていて欲しい事は、これから習うことは、昔は人を殺す為に磨かれた技術である、ということ。そして今でも一歩間違えれば人を殺しかねない道具になるということを念頭置いてこれから頑張って下さい。俺からは以上です」
話終え丹奈にバトンを渡そうとするも、続けろと言わんばかりに見てくる。
渋々、本当に渋々続ける。
「それじゃあ、俺を除いた先輩達の所にそれぞれ三人ペアを作って、多分四人ペアのところが三つ出来るからそれも考慮してグループを作って下さい」
今、俺は左右が怖くて前しか見れない。俺は悪くない、主導権を握らせたお前らが悪い。
女子グループの三人は敦が見ている。これで万事解決だ。あとは、様子を見てまわるだけ。
一息つけるため端まで行き腰を下ろそうとした時、ふと後ろを見たら女の子が一人こちらを見ていた。
窓を開け話しかける。
「こんにちは」
「...こんにちは」
うちの学校は、校内で履くスリッパと体操服が学年毎に違うので意外と分かりやすい。
癖になってんだ、下見るの。
.......ちょっと語弊があるなこの言い方。
「珍しいでしょ?中学校には弓道部ってあったの?」
「いいえ、だから気になって...」
「おっ!?まじで?入る?」
「いえ、だから気になっただけで入ると決めた訳じゃ....」
「気になってるって事は、少なからず興味があるって事じゃ?」
「それは否定しないですけど...」
「騙されたと思って入ってみ?合わなかったら『あのクソみたいな先輩に大切な時間奪われた』つって恨んでもいいからさ」
「そこまでは言いませんけど」
「恨みはするんだ」
「そりゃ、多少は恨むと思います」
「そうやって面と向かって言われると、勧誘したの、不安になってきた...」
「まぁでも入ってみようと思います」
「マジで?誘ってみるもんやなぁ、ちょっと気合い入れますか」
「.....どういうことですか?」
「いや恨まれないようにね」
とりあえず新入生ゲットしたので道場に連れていく。
「敦ぃ新入生捕まえたから部室に連れて行ってくる〜」
返事が帰ってくる前に中庭を出て連れていく。
「先輩は、私の事知っているんですか?」
「え?いや全然?....あぁごめん、ごめん、自己紹介してなかったね。弓道部主将補佐の柏本亘」
「すみません、そういうつもりじゃ無かったんですけど...。一年の佐々木里奈です。よろしくお願いします」
「佐々木さんね、よろしく。前の部の見学会の時に来てたかな?」
「いえ、その時に行けなくて、いつ行こうか悩んでたんです。そしたら中庭でやってるのが見えたので覗きに行ったんです」
「そしたら変な先輩に捕まったと」
「はい」
おや、適応能力が速いこと。逸材だよ、この子。将来有望だよ。
「すみません、失言でした」
「いいよいいよ。俺そう言うの全然気にしないからさ。割と好きなんだよね、後輩とのプロレス」
「ドM....なんですか?」
「いいねぇ、ノってきたんじゃない?因むとMでは無いからね、ホントだよ?」
「だってさっきも二年生の先輩に蹴られてませんでした?」
「あれ?そこから見てたの?先輩としての威厳を保ちたかったけど、もう無理じゃん。ドン底じゃん」
「先輩はそれで良いんですか?」
「それでいいの。それより部室に着いたら着替えてさっきの中庭に来てもらうから」
「それなんですけど、体操服を持ってきて無くて...」
「あ〜...そういう事ね。まぁ栞枝達の誰か持ってるだろうし、借りられると思うよ」
道場まで彼女を案内し
「頼も〜!」
反応が無くなってきた。慣れって怖いよね。
「栞枝や〜新入生を頼むよ〜」
「....ちょっと何でアンタが下級生の女の子を連れて来てるのよ」
「興味がありそうだったから、勧誘した。したらOKが出た、強制してない」
男子諸君、新しい後輩が入って嬉しいのは良いけど、ソワソワし過ぎて俺ですらキモく見えるから抑えな?
「私は弓道部女子主将の崎島栞枝よ、下の名前でいいわよ。よろしくね」
「はじめまして、佐々木里奈です。よろしくお願いします、栞枝先輩」
「じゃあ早速だけどここの部室でいいから着替えておいで」
「それなんですけど.....」
「彼女、体操服忘れたんだと。誰か貸してあげてくんね?」
「忘れた...?ってか何でアンタがその事知ってるのよ?」
「待て、誤解してるだろうけどコミュニケーションの一環で知ってるだけだから」
「アンタ、コミュニケーション取るために体操服の話まで持っていくなんて、とんだ変態ね」
「あれ?誤解の火力強くなってない?いや、今のは俺の言い方が悪いのか?」
「変態は認めるのね」
「いや、そこも含めて誤解なんだけど...?」
「まぁいいわ、変態は取り敢えず置いといて体操服よね。貸してあげたいのは山々なんだけど、全員着てるから流石に貸して上げられないのよね。慧君、あなたは持って無いの?」
「今週は袴でするつもりだから持ってきて無いな」
「じゃあ一応聞くけど、亘は持ってるの?」
「ん?今ルビ振り間違えてなかった?」
「黙りなさい、聞かれた質問だけに答えなさい」
「いや、持ってはいるけどさ、流石に使ってないとはいえ女の子に貸すのは気が引けるぜ」
そして男子諸君、我こそはといわんばかりの勢いで手挙げるのは流石にキモい。
「そこの男子キモイから黙りなさい」
あ〜あ言われちゃったよ。喋っても無いのに黙れって相当だよ?あと何故か俺にもダメージ入ったのは範囲広すぎない?
「あの私見学でも大丈夫ですけど....」
「折角来たのに何もしないのは勿体ないでしょ?亘、あんた今日は使ってないんでしょ?」
「いやいや、佐々木さんだって嫌でしょ。何処の馬の骨とも知らない先輩の服を着るのは」
ここまで来ると確認では無く、最早願望に近かった。
しばらく考え込んで、借りてもいいでしょうか?と帰ってきた。
思わず天を仰いだ。そこは断るだろ、と心の中でツッコむ
「佐々木君いいかね?使い終わった体操服は燃やして灰にした後に、海に撒いて捨てるんだ、いいね?」
「体操服は化学繊維なので燃やしても、灰は出来ませーん」
「海に撒くのは環境保全的視点から見ても芳しくありませーん」
「そこの、賢い馬鹿二人っ!!マジレスは効くからやめなさいっ」
腹を括って彼女に体操服を渡した。それを持って部室に入っていく。
ここからは人間の理性が試される。感情を表に出さず心拍数も一定に抑え、心を無にしてこの二時間を耐え抜く。
俺...部活してるだけでなんでこんな状況になってるんだよ...
「あ〜、まぁ亘君のだからサイズ感が合わないのはどうしようも無いわね」
「なぁ普通は男子の体操服を着させるのを意地でも止める場面じゃないの?」
「まぁ本人の意思だから、口出し出来ないしね」
しょうがないので折れて中庭に連れていく。
部室から出てきた彼女を網膜が認識したら、恐らく絶対ヤバいので前を歩く。
「ご迷惑おかけしてすみません」
「いいよいいよ気にして無いから。けど、次からは忘れた時は、女子の先輩とか友達に借りるのを勧めるよ」
「そうですね、今後は気をつけます」
「ところで勧誘しておいて聞くのもどうかと思ったけど、なんで弓道部に入ったの?この学校の部活動って中身が無いような部活を含めて沢山あるけど?」
「さっきも言った通り興味があったからです。中学校では中々見なかったので」
「まぁそうだねぇ、俺も中学で弓道部って聞いた事無いなぁ」
「私、運動音痴ですけど大丈夫でしょうか?」
「それはあんまり気にしなくて大丈夫だよ、なんたって我が男子弓道部はほとんど音痴だから、弓道って運動神経の有無は気にしなくて良いんだよ。その辺の説明も向こうに着いてからするよ」
「分かりました」
完全に想定外だった。中庭に戻ったら説明が終えて次のステップに進んでいたこと?そんな些細な問題じゃない。その後が問題だ。
一通り説明を終えて次のステップに進んでいるところが大半なのでどうなるか?
「亘君、佐々木さんをお願いね?」
でしょうね、知ってた。
ここでも男子諸君が俺たちのグループ来いよ、と圧があるが、勿論そんなむさ苦しいところには預けられない。
そしてここが今日一の難題。佐々木とのマンツーマンレッスンになった。
ん?さっきまで視界に入れないように頑張った過程が一瞬で瓦解したが?
目の前には、俺の体操服を着た後輩女子。
平常心だ、平常心。乱されるな。これまで弓道で培ってきたものを発揮する時がきた。
「いや、ちょっと待て。やっぱり丹奈達の方でお願い出来ね?ってか普通は丹奈が寧ろ、俺から引き剥がす勢いで佐々木を保護せなあかんだろ」
「う〜ん、そうだけどこっちもだいぶ進んじゃってるからちょっとねぇ....佐々木さん?だっけ。もし、そこの変態が嫌なら私が教えるけど」
ん?俺は共通認識?
「え....と、私が言うのも違うと思うんですけど、流石に途中から入って説明してもらうのは申し訳ないですから、柏本先輩から指導を受けた方が良いのかなと思います」
「う〜ん....いや、いいの...かな?そうだなまぁ、大丈夫か」
こうして、佐々木とのマンツーマンレッスンが始まった。




