第二章13 目的
黎導を味わったラルズとミュゼットの肉体は数分後、何事も無かったように元の肉体へと回復した。無理矢理縛り付けられた筋肉が張っていて多少違和感を覚えるが、その内自然と解消されるだろう。
黎導という未知の魔法の力、それをこうして直接味わうことができたのは、貴重な時間を過ごせたことには変わりはない。実際に受けてみるまでは、ここまで凄いものだと露知らず、屋敷で聞いた印象以上の衝撃だ。
こうして改めてグレンベルクについて知ることが増えると、同じ十五歳という身分、成人したばかりの年代にも関わらず、年上の大人を遥かに圧倒する近接技術、軽い身のこなしに威力の高い属性魔法と、決定的な勝利を手繰り寄せられることができる黎導という最強の武器。
英雄として認められ、騎士団で活躍を続けていたミスウェルも相当な人物に変わりはないが、同世代でここまで凄い人物に出会ったのは初めてだ。
「・・ねぇ、もう一つ聞いてもいい?」
「何だ?」
「魔獣殺しって度々耳にしたけど、あれはどういう……」
「グレンの事? 魔獣殺しなんて、何だか物騒な名ね」
ミュゼットは通りに居なかったこともあり、初めて耳にするグレンベルクの通り名。
ここまでの強さを手に入れている反面、先の黎導の正体を知りたいのとは別に、騒動を見ていた人々の一部と、捕縛されていたサヴェジが口にしていたあの異名。字面から意味は何となく把握できるが、実際のところラルズは気になっていた。
「俺が自分で名乗っている訳じゃないさ。周りが気付いたらそう呼んでいるだけ。俺からしたら、そんな異名も只の飾り名だ。何の価値も意味もない」
名付けられた異名に対して、本人であるグレンベルクはさっぱりとした態度。無関心であり、同時に無価値であると捉えている。
他者に名前が知れ渡っている。良い意味でも悪い意味でも、どちらにしろ人々の記憶の中に刷り込まれている事実は、相当大した実績を担っている人にか与えられない称号だ。
身近な人物としてラルズの中ではミスウェルの名前が挙げられる。彼は英雄として崇められ、その存在は生きる伝説として人々に認知され続け、大きく……そして広く慕われている。
英雄という誇らしい認知とは毛色が少し違うが、人々に名前を覚えられている。この一点だけでも、グレンベルクという人物の価値を大きく引き上げている事実に変わりはない。
「実は騎士団に勤めてるとか、もしくはギルド兵みたいな衛兵勤めだったり?」
「そういう訳ではないが、騎士団に一時期所属していた時期はあった。他にもギルド兵だったり、他の都市の傭兵たちの魔獣討伐に参加させてもらったりしていたことは何度かある」
「え、そうなの!?」
「不定期だがな。正式な入隊とは違って、お互いの利が一致した上での、期間を設けた間だけの契約みたいなものだ。そのおかげもあって、この都市のギルド兵なんかとは少し顔見知りな人も多い。騎士団も同義だ。だけど組織に属さないで、単身で森の中や山に入り込むのが一番頻度としては多いがな」
戦いの場に自ら足を踏み入れて戦地を駆けている。互いの合意の上で成り立っている関係上にしても、口ぶりから察するに恐らく長い時期の間で助力を設けている。名前が知れ渡っていることに関しても、不思議と納得してしまう説得力が備わっている。
組織で行動どころか、更には自らの身一つで危険な地帯にも訪れている。グレンベルクのあの高い能力と魔法力、そして年齢とは印象のかけ離れた、修羅場を潜り抜けてきたかのような、歴戦の戦士のような空気感。それら全てが彼の言葉で理解が及ぶ。
「魔獣を沢山相手してきたから魔獣殺しってことね。でも、何でそんなに魔獣を殺し続けるのよ。わざわざ自分から危険な場所に突っ込んでいくなんて、死ぬかもしれない可能性だって当然あるのに……」
ミュゼットが心配になるのも当然だ。話を聞いているだけでも、グレンベルクの人生は戦場に大きく染められている。普通の、平凡で平和な日常とはかけ離れており、危険が常に隣に潜んでいる場所……戦地こそが己の生き場所であるかのように
「そんなの百も承知だ。だが命を大事にする以上に、俺には成し遂げないといけない理由があるからな」
「その理由って何なのよ」
身を危険にまで晒して達成しないといけない目標、よりもさらに見据えている先。瞳からは強い意思が感じられ、それは常人では宿すことのできない類のもの。まるで宿願のような、悲願のような、絶対に遂行するという強い所存。
「・・別に話したところで関係ないか……」
理由を問われて、少しばかり下を向いて俯いていたグレンベルクの顏が上がる。顔を上げる直前に小さく何かを呟くと、ラルズとミュゼットに対して交互に視線を動かすと、彼は自身のポケットからある物を取り出した。
見た目から察するに恐らく手帳だろう。黒縁で何の飾り気も無い、メモをしたり情報を記して書き留めておく際に役立つ代物だ。
そのページをパラパラと捲り始めると、ある一つのページでグレンベルクの動きが止まり、見せる直線に彼の口が開かれる。
「あらかじめ断っておくが、理由の全てを話すことはできない。一方的で申し訳ないが、そこは理解してくれ」
ラルズとミュゼットは中元に対して首を縦に振って同意を示す。二人の態度を前にし、グレンベルクが手にしていた手帳のページ、開かれた面をこちらに差し出す。
「このページに記してある魔獣について、見覚えは無いか?」
向けられた紙面、手書きで謎の生命体が描かれていた。
「なにこれ!? 気持ち悪い……!」
イラストを目にした瞬間、反射的に身を引っ込め、自らの身体を両手で抱き締めているミュゼット。嫌悪感を全面に表す彼女ほどではないにしろ、その強烈すぎる見た目にラルズも一瞬背筋が凍り付いた。
まるで紙越しにこちらを見詰められているような感覚。得体のしれない恐怖が纏わりついているような、正に不気味と称するのが一番相応しい。
薄い色をした紙面全体を埋め尽くす黒一色。そんな黒く塗られた部分の中に、嫌でも視界に収めてしまい、以来記憶に残り続けるであろう巨大な物体。
巨大な眼球だった。目の構造上、目は右目と左目を備えているが、今目にしている生命かも怪しい生き物に記されている瞳は一つだけ、つまり単眼である。しかも只の単眼ではなく、その目の中に更に複数個の眼球が埋め尽くされている。
目の中の白い縁全てを覆うように詰め込まれている姿は群がる虫のようであり、大きい瞳、小さい瞳とどれもが大きさはバラバラ。何よりその質量の不釣り合いさが、より一層恐怖を助長させている。
手や足といった四肢は一切確認できず、巨大な眼球が独り歩きしているかのような外見。
「こ、こんな気持ち悪い生き物、見たこと無い……っ」
まだ少し離れた位置でおずおずと視線を向けているミュゼット。彼女の言葉通り、こんな魔獣、どころかこんな生命体一度でも目にしてしまえば、一生記憶に残り続けるだろう。
ラルズも一度だけ魔獣には相対したことはある。致命傷に近い傷を貰い、絶体絶命にまで追い込まれた、一般的に狼の部類に入る魔獣。人の姿形に酷似しており、四肢が発達した影響か武器を手にすることができ、二本足で立ち上がることができるリーダー格。強烈な時間であった為に、魔獣という単語で真っ先に連想される種だ。
それ以降の七年間、魔獣と実際に対峙したことは一度もない。書庫で魔獣の生態に調べる中で、イラストなんかは何度も目にしてきたが、今回の魔獣には覚えがない。グレンベルクの質問に、良い答えは持ち合わせていない。
「白黒で分かりづらいが、目は黒一色の瞳孔。その周りは黒に近い赤色。見てもらったら分かる通り、手や足といった四肢は存在していない」
「うぅ……暫く夢に出てくるわこんなの……」
淡々と説明を続ける中で、真面に耳にしているのはラルズだけで、姿を目にすることとなり、理由を尋ねた張本人のミュゼットは、小動物のように小刻みに震えて縮こまっていた。
「・・まぁ、その反応で充分だ。悪戯に嫌な思いをさせるのも申し訳ないしな」
返答がそのままグレンベルクの願いに沿わず、結果として情報が無いと判断して彼は手帳を閉じてポケットにしまい込んだ。
「さっきの、何て名前の魔獣なの?」
「分からない。ずっと追い続けているんだが名前一つすら、どころか最後に奴がいつ現れたのか、特定にも至らない。五年間ずっと、俺の求める情報は入ってこなかった」
「五年って……グレンってばそんなにさっきの化け物追いかけてたの!?」
名前も把握しておらず、あろうことか手掛かり一つとして見つからない始末。理由のほどは分からないが、五年間も愚直に追い続けているグレンベルクの精神はかなりなものだ。並大抵の心では、既に疲弊していても可笑しくはない。
ましてや成果はゼロに等しく、尚も諦めていない様子を見るに、相当な因縁が先程の魔獣との間にあるのだろう。
「文献も一つとして発見できていないし、過去にも出現した記録も見つからない。名前が分かればある程度調べるにも都合がつくんだがな」
「じゃあグレンが戦場に身を置くのは、さっきの魔獣の……」
「ああ。戦場に多く身を投じる騎士や衛兵ならば、人の数だけ目がある。出現したときに、情報が流れ込んでくる可能性としては高い。だから俺は各都市や国との繋がりを保っている。最も、成果が出た試しは一度としてないがな……」
グレンベルクが自ら戦場に身を置く最大の要因、それが先の異質な魔獣。巨大な眼球と内蔵され蠢いている大小様々な眼球を所持している、化け物と呼ばれるには充分すぎる魔獣だ。
先程の利が一致すると口にしていたのは、騎士団や衛兵からしたら腕の立つ人物が助力してくれる、そしてグレンベルクは組織という集団を活用して情報をかき集められる。
確かに、文献や記録が一つとして残されていないのだとしたら、この目で直接見つけるか話を耳にするかだけ。意味合いは少し変わるが、グレンベルクは人海戦術を用いて見聞を得ようと活動に熱を注いでいたことになる。
「・・なんでそんなにその魔獣を追うのよ」
「――お前たちには関係ない。この話はもう終わりだ……」
魔獣を追い続ける目的、最終的に見定めている存在は確認したが、その魔獣を狙う詳細は教えられない。先に忠言したとおり、理由の全てを伝えることはできないと、その意に従ってグレンベルクはそれ以上の言葉を紡ぐのを辞めて、ピシャリと口は閉じられた。
これ以上の詮索は相手に失礼だと、無理に聞き及ぶのは駄目だと肌で実感し、ラルズとミュゼットもそのまま黙り込む。
彼の瞳から垣間見える黒い感情。執念や復讐、その類の代物と同時に、何者にも足を踏み入れられない、踏み込んではいけない領域が完成していた。
激情が迸っているグレンベルクの胸中、その叫び出している感情の渦の中身は、誰も知り得ない。彼以外は……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「――さて、そろそろ俺は行く」
「どこ行くのよ?」
「ギルドに用がある。さっきも言った通り、都市を守っている組織とはある程度顔見知りな人たちがいるからな。直接会って挨拶をしておきたい人物がいる」
話し込んでいた三人だが、グレンベルクが場を離れると発言をして、この場はお開きとなるそうだ。どうやらギルドに用件があるとのこと。
「話し込んでて忘れてたけど、そう言えば私たちも最初は司書館に行くつもりだったものね」
「そうだね。騒動が絡んで記憶から抜けそうになってたよ」
元々ラルズとミュゼットの目的は司書館へ向かうこと。彼女が遭わせたい人、先生と呼んでいる人物。その人に出会うのが当初の二人の行動原理だ。
小さな騒動に巻き込まれたこともあり、同時にグレンベルクと知り合って話を弾ませていたから、少々脱線してしまっていた。
「でも暫くはグレンも都市にいるんでしょ? だったらその内また会えるだろうしね」
「うん。次会ったときは今日みたいに話したいし、一緒に遊んだりもしたいかな」
折角出会えたのに残念だが、都市であるエルギュラスにいる際は、何回か顔を見合わせることは叶うだろう。グレンベルクの目的としては先程見せてもらった正体不明の魔獣。だが都市に在住して活動を続けるなら、広い場所とはいえ交流はあるはずだ。
「・・・・・・」
「――どうしたの、グレン。何だか驚いた様子で俺たちのこと見てるけど……」
「いや、大したことじゃないが、意外だったからな……」
目を白黒とさせているグレンベルク。その様子に眉を寄せるラルズとミュゼット。彼女の言葉通り、何に対してそんなに驚いた様子をしているのか、二人には分からない。
「意外って何がよ?」
「何でもない」
「変なやつね」
「失礼女、お前に言われたくはない」
「ミュ、ゼッ、ト!! いい加減その呼び方辞めてよね!」
初対面の印象が印象なだけに、グレンベルクがミュゼットに対しての心象はいまいちだ。もはや彼女のことを名前で呼ばず、失礼女と称して呼び名が定着してしまっている。憤慨する彼女に一々取り合わず、鼻を鳴らして顔を逸らしている。
最初に怖そうだの仏頂面だの色々言われたことが原因なのだろうが、グレンベルクは見た目に反して案外根に持つタイプなのかもしれない。
「まあこいつは放っておいて……ラルズ、少しいいか?」
「俺?」
「むー……っ!!」
ちゃんとした名前も呼ばれず、挙句の果てに無視を決め込られたミュゼットは尚も怒りが収まることは無く、唸りながら分かり易く頬を膨らませている。彼女には申し訳ないが、構ったら構ったで時間を取られそうなので、先にグレンベルクとの用件を済ませたほうが良いだろう。
声を掛けると、グレンベルクは手帳をしまっていた反対側のポケットから、彼の掌に丁度収まっている道具を取り出し、そのままラルズに差し出した。
手に取って間近で代物を確認する。見た目金属類で、ジャラジャラと音を立てる鎖が一本繋がれている。輪っか情に鎖と代物が結ばれており、大きさも相まって手首に通してそのまま持ち運べる代物。
「これは?」
「対魔鏡っていう魔道具だ。知らないか?」
対魔鏡、そう言われてあちこち触ってみると、留められている部分からパカっと蓋が開いた。中を確認してみるとラルズの顏が映り込む。ガラスが埋め込まれており、名前の通り鏡という名がそのまま表している。
グレンベルクがもう一つ同じ物体をポケットから取り出して同じように開く。すると、彼の持つ鏡が一瞬光始め、変化がラルズの手に持つ対魔鏡の方から現れる。
「――わっ! グレンの顏が映ってる!?」
「俺の持っている鏡の方にはラルズ、お前の顔が映り込む」
鏡の面を見せられると、確かに俺の驚いた表情がグレンベルクの手鏡の方に映り込んでいる。
「魔力を通すと反応し、対となっている鏡の中身を開くと、今みたいに互いと連絡が取れる。消費魔力も少ないし、遠方にいる人物ともコンタクトを取れるから、一般の間でも広く重宝されている。手紙と比べても断然こちらの方が使い勝手は良い代物だ」
だから対魔鏡と呼ばれているのか。対になる鏡を通して互いの顔を確認できるのは、手紙と比べて遥かに利便性に長けている。連絡手段としてはこれ以上ないぐらいに役立つ一品だ。
「でもどうしてこれを俺に?」
「個人的に、お前とは何度か手合わせをしたいと思っていてな」
「手合わせって、俺じゃグレンの相手なんて務まらないよ……」
サヴェジ相手に善戦どころか敗北したラルズと、圧倒して勝利したグレンベルクとでは、実際に戦うまでも無く実力の差は歴然だ。試すまでも無く、十戦やったとして十回負けるのが目に見えている。
「謙遜するな。お前の動きには光るものがある」
弱気な気勢のラルズに対し、提案したグレンベルクが本人以上に高く評価してくれる。長年戦地に身を置いている人物の嗅覚に似た部類のものだろうか。素直に喜びたいところだが、中々どうして認め切れない歯痒さが残り続ける。
だけど黙々と一人で鍛錬を続ける予定だったラルズ側としても、グレンベルクの様な強者と対峙する機会が増えれば、自ずと力は付いて来るかもしれない。剣を振るったり、走り込んだりといった初歩的な訓練も大事だが、実践を交えたほうがより一層経験は詰めるだろうし、彼の技術等と盗めるものも多いだろう。
「・・分かった。そこまで言われたら、有難く受け取らせてもらうよ」
「基本的に無理強いはしない。そっちのタイミングで構わないし、優先してもらわなくても問題ない。用件があるときは気兼ねなくラルズの方から連絡をしてきてくれ。周辺の調査が主だが、それ以外はギルドに入り浸っていることが多いと思う。訓練するにも記録を調べるのにも打ってつけだからな」
どちらかと言うと今回の話はラルズの方がメリットが大きい。鍛錬もそうだが、次また会える機会を向こうの方から口実と道具を設けてくれたのは大変助かる。個人的にも、グレンベルクとは今後も友好的な関係を築いていきたいと感じているし、ミュゼットも交えて時間を共にしたいと考えている。
しかし、世の中には便利な代物が結構あるんだな、と内心ラルズは考えていた。次にシェーレとレルに遭った際は、対魔鏡を手渡しておけばいつでも連絡が取れるし、一般的にも広く普及しているとの話だし、値段も手が出やすいのかもしれない。今度露店に立ち寄ったときには少し覗いてみよう。
「・・その対魔鏡ってやつ、私の分は?」
怒りを抑えて様子を傍観していたミュゼット。いつの間にか沈静化していた彼女は対魔鏡に興味を示し、指を指しながら自分の分はないのかと、若干図々しさが垣間見える言葉を口にする。
何だかんだでミュゼットもグレンと仲良くしたいとは思っているのだろう。出会ったばかりとはいえ同じ年代の十五歳、ラルズと一緒で友達が少ない彼女にとっても、友達になりたいという思いがあるのだろう。もしかしたら、既に友達としてカウントしているかもだが。
「失礼女、悪いがおまえの分は無い」
「まぁラルズに渡してる分もあるし、持ち合わせがないなら仕方ないわね……」
「持ってはいるが、お前に渡したらやかましいぐらいに連絡が来そうで面倒だ」
「ばーーかっ!!」
今日一番の怒声がグレンベルクの鼓膜を通り抜ける。大広間に響いた罵倒の言葉を軽く流しながらも表情は薄く微笑んでいた。
用件も終わって、最後に軽く挨拶を交わし、そのままグレンベルクは大広間を北に抜けていく。ラルズとミュゼットが向かう先、司書館とは反対の方向だ。
隣ではミュゼットが憎らしそうにグレンベルクの後ろ姿を睨み付けていた。対魔鏡は落とさないようにポーチの中にしまい込んで、不機嫌そうな彼女を窘めながら、そのまま二人は司書館へと向かったのだった……