登場人物(全面的ネタバレあり)
☆武田家
武田信玄……労咳に苦しんでいたが風魔の秘法により快癒。
穏やかに見えながらも甲斐の虎らしく激しく爪牙を剥き、温和で滑稽に見せながらも容赦のない策を組む。
数多の英雄を葬り、領国を広げ、織田信長と共に桶狭間に散った。
武田勝頼……信玄の四男で後継者であったが信玄の快癒後立場が徐々に危うくなり、思考の袋小路に入ってしまう。
最終的には後継者の地位を確固たるものにすべく禁薬を用いて兼山城東にて暴れ回るが、薬が切れると共に森長可に討たれた。
武田信勝……勝頼の嫡男。
信玄に寵愛されており、次代の後継者として持ち上げられていた。不必要に暑くなる勝頼とは距離があり、兼山城東の戦い後ほどなくして八歳にして当主に就任。
その後は関東からその先、東北の攻略を志している。
武田信豊……信玄の甥。信勝の兄貴分的存在。あまり出番は多くない。
武田信廉……信玄の弟。信玄に容姿だけでなく性格も近い。
仁科盛信……信玄の五男。北信を担当していた。川中島の後は越後に入り、桶狭間には参加していない。
山県昌景……信玄の重臣。小柄ながら武勇は一流。
武田四名臣の中で唯一桶狭間の戦いを無傷で切り抜け、筆頭家老となった。
馬場信房……信玄の重臣。不死身の馬場美濃の二つ名を持つ猛将。信玄より年上。
桶狭間にて、羽柴秀吉軍を押しとどめるも生還。だが戦後年齢もあり隠居した。
内藤昌豊……信玄の重臣。
桶狭間にて信忠との戦い生還。戦後は一線を退いた。
高坂昌信……信玄の重臣。
ただ川中島にて鬼小島弥太郎を討ち取った時以外は後ろに控えている事が多く桶狭間にも不参加だった。
武藤喜兵衛昌幸……信玄の小姓頭。師匠である信玄からその手腕を学んでいるが、時にそのやり方に不安を覚える事もある。
息子の早すぎる出世には不安を覚えるまっとうな父親。
武藤源三郎信幸……昌幸の長男。信勝より二歳上。論戦が好きで、他人を言い負かして楽しむ困った性格。十歳にして元服して軍師となり、川越城や桶狭間で戦果を挙げた。
武藤弁丸信繫……昌幸の次男で信勝の遊び相手。まだ幼いため戦の役には立たないが、挑発だけは一丁前。
真田信綱・昌輝……昌幸の兄。川中島と上野の戦いで活躍した。
跡部勝資……勝頼の側近。信玄に対して不信を抱いており、己が身の出世栄達のために勝頼にこびへつらっていた。だが室町幕府滅亡に対し抗議をした際に信長に絡めとられ武田のくのいちに襲われ、信長に絡めとられ兼山城東では織田についてしまう。
だが簡単に使い捨てにされ、松田憲秀に殺されると言う笑えない最期を迎えた。
長坂長閑斎……勝頼の側近。勝資の相方で性格も同じ。兼山城東にて部下を使い捨てにして手柄を上げようとしたため後方から味方に撃ち殺された。
井伊万千代直信……遠江にて信玄により見出された新たなる小姓。武勇は確か。
もちろん「井伊直政」の事。
☆織田家
織田信長……言わずと知れた戦国の風雲児。
苛烈な行いも取るが、時として寛容な一面も見せる。使い分けのはっきりとした文字通りの天才。名臣たちを使いこなし領国を広げる。
桶狭間での決戦直前に隠居。安土城の設計図を残し信玄との戦いに臨む。
激闘の末、信玄と一騎打ちの果てに散った。
柴田勝家……織田家の猛将。武勇は織田軍一。朝倉滅亡後は旧朝倉領を領する。信玄とも山県とも、さらに武田の次代とも生真面目に戦い続けたが、全体的にいなされ通しだった。戦後は越前と加賀の領主となった。
浅井長政……元々北近江の大名として君臨していたが信長を裏切った罪悪感で不眠症に陥り、お市の後押しで朝倉を裏切る。その後は柴田勝家の配下となったが、途中からは良くも悪くも駆り出されまくっていた。
前田利家……柴田勝家の配下。乱暴な傾奇者と思いきや真面目な好人物。だが兼山城東にて御坊丸の登場に思わず道を開けてしまう失態を犯すなどあまり活躍できていない。
佐々成政……柴田勝家の配下で口で北陸を広げた。ただ兼山城東にも桶狭間にも不参加。
羽柴秀吉……農民上がり織田の重臣。兵糧攻めを含む知謀を生かし、浅井長政攻略後北近江を領し、その後も戦果を挙げ近江全土→近江全土・東丹波・若狭の領主へと成り上がって行く。
なぜか足利義昭になつかれ、遺児の義信や播磨の赤松一族を引き取る。
羽柴秀長……秀吉の弟。破天荒な兄に振り回される役。
竹中半兵衛……秀吉の配下で兵糧攻め作戦の発案者。
おね……秀吉の妻。信長からの信頼も厚い。
なか……秀吉の母。
佐久間信盛……織田の家老。尾張方面の守護担当。出番少なし。
明智光秀……生真面目な好人物で朝廷にも足利家にも忠実。主に京の守護を担当していた。兼山城東の戦いに足利義昭と共に参陣。真面目な性格であり敵にも礼節を怠らぬ好人物であったがそれが勝頼の怒りを買い、家臣の明智秀満共々殺された。
滝川一益……伊勢方面を担当していた。信長・信忠親子ともども高速の用兵と鉄砲を生かした戦いで高い戦果を挙げた。一方兼山城東の戦い、桶狭間の戦いではあまり活躍できず。
池田恒興……信長の乳兄弟。次男の古新(輝政)を長政の養子とした。主に後方担当で桶狭間の戦いには参加していない。
丹羽長秀……真面目な性格で兼山城の守将を務めていた。御坊丸の存在に内心慌てふためき、その存在を背負い込んでしまった。その後はあまり目立たず、やはり桶狭間の戦いには不参加。
森長可……織田家の次代を担う存在の一人。十代ながら武勇に長けるが、少し粗野。だがそれが勝頼には有効で勝頼を討ち取った。
蒲生氏郷……長可と並ぶ織田家の時代の幹部。長可と違い冷静沈着。
足利義昭……室町幕府第十五代目征夷大将軍。幕府の天下を取り戻すために挙兵するも失敗して農民である秀吉に降伏。すっかり秀吉に心服していた。ほどなくして信長により招集をかけられ、兼山城東の戦いにて明智軍に参加。自ら武田本陣に突撃して散った。
織田御坊丸勝長……岩村から躑躅ヶ崎館に半ば人質同然に連れられるが、そこで信勝たちと会い心をほぐし仲良くなり、そのまま武田の将となった。兼山城東の戦いでは一軍を率い、桶狭間の戦いの後も武田に残った。
☆徳川家
徳川家康……三河の大名。次代を覆う英雄、大器。
しかし武田信玄の用兵に引っ掛かり浜松城を飛び出してしまい、さらに信玄の強引な攻めにより浜松城内で自害した。
徳川信康……家康の長男で後継者。岡崎城に移り武田との戦いを続けていたが、かわされるか敗北かのどちらかを繰り返すばかりで戦果は上がらず桶狭間にて最後の戦いを挑むが、信玄軍により戦場の露と消えた。
築山殿……家康の正妻。今川家の人間と言う事で家康を見下しており、当然織田の事もよく思っていない。武田も恨んでいてしかるべきだがその方向には向かず、家康死後信康の母としてますます威張るようになったが家中から一貫性のなさにより完全に疎まれ、桶狭間決戦の前に信忠により冤罪で処刑されるが誰も守らなかった。
酒井忠次……家康の叔父で徳川家の長老。家康死後嫡男家次を信康の養子として家内の主導権を握る立場となった。必死に家内を守るが徳川の衰勢は抗いがたく、信康に先駆けて死亡。
徳川家次……忠次の息子で信康の養子。実父・養祖父相応の器であったがそれが生かされる前に自害、徳川は滅亡した。
大久保忠世・忠佐……徳川家の家老の兄弟。秋葉街道から桶狭間まで戦い抜いたが、忠世は武藤昌幸により、忠佐は落とし穴により家康の下へ旅立った。
大久保彦左衛門……忠世の末弟で一本気な青年。家康の最期を見届けた。
桶狭間の戦いで討ち死に。
本多忠勝……徳川一の猛将。桶狭間では山県昌景軍を相手に必死に戦ったが、井伊の旗を見て動揺、負傷した所を直信に刺された。
榊原康政……徳川の若手筆頭。兼山城東では暴走しかかった信康の目を覚ますために突撃、馬場信房により狙撃されて負傷。忠勝死後も徳川の将として戦っていたが、信酒井忠次の後を追った。
中根正照……二俣城の守将。武田軍の侵攻により死亡。
石川数正……徳川家の重臣。馬場信房により討ち死に。
☆北条家
北条氏康……序章にて自分の寿命とその先の運命を鑑み、信玄に命運を託してこの世を去った。
北条氏政……氏康の後を継ぐ。良くも悪くも跡取り息子で、関東ばかり見て来た北条氏の伝統を受け継ぐかのように駿河以西にはほぼ無関心。のち信玄による圧倒的な侵攻に目を白黒させ、このまま放置できないと一方的に断交を断行。甲州攻めを行うが失敗。さらに川越城を失い北条は大きく後退してしまう。
最終的に武田信勝の攻撃を受け小田原は落城、自害した。
北条氏照……氏政の弟で北条家一の猛将。だが武田には振り回される事が多く、川越城の戦いでは信幸に完全に裏をかかれてしまう。
その後も必死に戦っていたが、小田原城攻略の際に討ち死にした。
大道寺政繁……北条の家老。甲州攻めでは先鋒を担当する。だが伏兵を発見し切れず前進を開始、その結果西と北両面からの攻撃を受けてしまい、最後は小山田信茂の手によりこの世を去った。
松田憲秀……北条の家老。半ば体裁のために兼山城東に送られ、したくもない戦いに駆り出された。さらに甲斐攻撃にも加わるが奇襲により戦果を挙げられず、最後は川越城防衛戦にて真田忍びに暗殺されると言う気の毒極まる役目。
松田直秀……憲秀の息子。氏政により強引に大将に仕立て上げられ、戦場の脅威に打ち震え幼児退行を起こした。
風魔小太郎……北条に仕える忍びの長。氏康の命により信玄に秘薬を送り、労咳を快癒させた。その後は北条の忍びとして武田と戦うが、信勝・信幸と言った武田の新世代の前に振り回され役目を果たし切れないまま連敗。川越城の戦いの後、責任を取るかのように姿を消し、東北へと向かった。
北条氏規……氏照の弟。川越城の戦いにて氏照の副官となった。川越城の後は三崎城に戻り必死に北条を支えていたが、信勝による小田原攻略戦の際に武蔵を守ろうとして亡くなったらしい。
北条幻庵……氏政の大叔父。穏やかな老人だが戦場の勘も舌鋒も鋭く、氏政の苦戦を見越して兵を持ち寄り、さらに織田信長とわたりあった信勝と互角に戦った。小田原攻略戦の後は武田に下り、北条の祭祀を国王丸(氏直)に守らせた。
☆上杉家
上杉謙信……尊王の志高き「越後の龍」。信玄とは川中島で五度戦った。
兼山城東で信玄が足利義昭を討ったと聞き怒り狂って挙兵、六度目の川中島の戦いを挑む。
しかし信玄への怒りに駆られ暴走し全てを見切られ、部下たちを次々と失う。
最後は信玄の影武者に引きずられて茶臼山に突っ込み、集中攻撃を受けて不帰の旅人となった。
柿崎景家……上杉家の重臣。謙信に忠実で信念もまた謙信に近く、兼山城東の戦いではやる気のない松田憲秀を振り回していた。だがそれだけに(必死に止めようとしていた)義昭が信玄の手により死ぬと一変、当然のように信玄を憎む。
川中島にて謙信と共に出撃、馬場信房により討ち死に。
鬼小島弥太郎……かつて第四次川中島の戦いにて口上を述べた豪傑。
第六次川中島では謙信の突撃を補助する役目を担ったが、高坂昌信に首を授けた。
斎藤朝信……上杉軍の重臣。
第六次川中島の戦いでは遊軍となっていたが景虎の指示により海津山から謙信救援へと向かうが、謙信への妄信が仇となり真田勢の攻撃をもろに受けてしまう。
それでも必死に耐えていたが、謙信の死の報を聞き後を追った。
上杉景虎……北条氏政の弟で謙信の養子。茶臼山の守備を任されていたが、信玄軍の一気呵成の攻撃を耐えきれず死亡。
上杉景勝……謙信の姉の子で養子。春日山城を守っていたため戦いには加わらず。
謙信死後は家督を継ぎ、風魔小太郎の意志を受け北条との同盟を決意。上野から武蔵へと向かうが、その途上で信玄・信豊と真田兄弟の攻撃を受け散った。
☆朝倉家・浅井家
朝倉義景……越前の大名。怠惰で悪い意味でエリートであり、頭でっかちなきらいがある。家康の死を知り再び反織田の兵を起こすが、予想外に次ぐ予想外の事態で心身共に打撃を受け、最後は長政の裏切りによりショック死した。
朝倉景紀……義景の家老。息子の景恒と共に犬上川の戦いで両翼を担う。信長軍来襲により自決。
朝倉景健……義景の家老。佐和山城を囲んでいた。浅井長政により死亡。
浅井久政……長政の父。義景べったりで、出兵にも嬉々として従った。
だが羽柴秀吉の用兵の前に敗北し、最期は息子に裏切られてこの世を去った。
阿閉貞征……浅井の将。羽柴秀吉との戦いにて秀吉に降伏。以後、義昭との戦い以外出番なし。
赤尾清綱……浅井の将。羽柴秀長との戦いにより討ち死に。
磯野員昌……元浅井の将。本編前に秀吉に寝返っていた。足利軍との戦いで討ち死に。
お市……信長の妹で長政の妻。おとなしく見えるが夫の尻を叩いた猛妻な所もある。戦後は婚姻関係は継続も権限はほぼ剥がされている。
☆本願寺・雑賀衆
本願寺顕如……石山本願寺の住職。血の気の多い信徒たちに悩んでいた。
出兵の流れを止めきれず、雑賀衆と共に攻撃をかけるが惨敗。石山からの退去を余儀なくされた。
本願寺教如……顕如の息子。血の気が多くたびたび挙兵を求めていたがうまく行かず、寺内の急進派を集めて挙兵を強行。
だが羽柴秀吉と織田信忠の策により軍勢は崩壊し、織田信忠の前で入滅した。
下間頼廉……本願寺の重臣。慎重派であったが教如を止めきれず出兵を強行。
教如に先駆けて入滅した。
雑賀孫市……雑賀衆の棟梁。作中では鈴木重秀としか呼ばれない。女好きでお気楽な傭兵だが仕事はこなす。秀吉の親友であるが、その性格と立場ゆえに雑賀衆では逆に浮き気味だった上、教如などの急進的な坊主には不人気だった。
淀川の戦いにて敗走中土橋守重の裏切りに遭い、死亡。
土橋守重……雑賀衆の一員。敬虔な仏教徒で重秀とは距離があった。
さらに足利幕府に対する忠義心もあり、自分たちの敗北と足利家に鉛玉を送ってしまった罪悪感から精神崩壊。織田方に走るべく孫市を射殺したが、ただの卑怯者として織田軍に討たれただけだった。
下間頼照……加賀一向一揆をまとめていた坊主。謙信の死に伴い蜂起した住民によりあっけなく入滅。
☆その他
武田信虎……元武田家当主。伊勢長島一揆の軍師を経て幕臣になっていた。
秀吉軍により降伏、その後は甲州に送られ信玄・勝頼とも対面。勝頼とは親密だったらしい。甲州街道の戦いの直後に永眠した。
伊勢貞興……幕臣。義昭挙兵の際にも付き従い、共に羽柴秀吉に投降。
ご愛読、ありがとうございました!また次回作もよろしく!
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なおジャンルは全く違います。




