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  作者: 武田道子
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二月

二月 




立春。その言葉の響きだけで心の中がほんわりと温まる。ヴァレンタインデーよりも嬉しい日。


無心に餌をついばむ野鳥たち、水仙の小さな群れがあちらこちらで緑色の筆の形をした蕾で春を描き、湿った土の中から意気揚々と春は泥の匂いを放って元気一杯に寂れた庭へやってくる。


雪がまだちらつく地方もある。黄金の光る花をつけた蝋梅が雪降るところで開き優しい甘い香りを放つとき、手の暖かさで溶ける雪の破片の小さな雫は冬の告げるさようならのように。


川のそばの猫柳の木の枝に、銀色の花がたくさんついていた。枝を一本折りたかったけれども手が届かず、だからしばらく川辺に立っていた。こんな日には私にだけ春のお告げがあるのではないか・・などと思いながら。猫柳の木の上にはとても優しい水色の空が広がっていた。


立春は私の誕生日。春と一緒に生まれたのか、春に手を取られて生まれたのか、春を告げるために生まれたのか。どんな理由でも構わない。ただただ私は嬉しいのだ。生まれてそして生きていることが。


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― 新着の感想 ―
[一言] Happy birthday. (๑>◡<๑)
2024/09/12 18:46 退会済み
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