黄色の幸せ
青い空を見上げると、それは白くてまぶしくて、私は目をそらした。
焼けるまぶたの裏側で、だけど私は薄目を開けて、それを求める。
灰色の電柱が並んでいる。
歩道の上に。
車道の上に。
電柱と電柱の間には、黒いケーブルが渡されている。
何本も。
何本も。
遠くまで。
私は歩道に立っていて、警備の人も、近くに立っている。
身に着けられた黄色い反射材に、私の視線が吸い寄せられる。
黄色い、幸せの印へと。
その向こうに、目をやれば。
白くて大きな高所作業車、天高く伸ばされた白い腕、その掌、仕事をする人たち。
いつもは、いつもなら、こんなに見上げて、こんなにまじまじと、電気工事の人たちを、いいや、電話工事だろうか、ケーブルテレビだろうか、銅線だろうか、光ファイバーだろうか、見詰めたりなんか。
一人は太ってぽっちゃりで、一人は痩せてひょろ長で、二人ともヘルメットをかぶっている。
楽しそうに作業しているけれど、私には楽しくない未来が見えた。
突き上げるような揺れが、突然、私たちを襲った。
私は、立ったままバランスを取ろうとして、だけどもちろん失敗して、薄汚れたアスファルトの上にへたり込む。
揺れは続いた。
高所作業車の白い腕が、まるで本当の腕のように、大きく、とても大きく、ぶんぶんと、振られて。
作業員の二人は、その手の先に、必死にしがみ付いていたけれど、とうとう、太っちょの方が、野球の白いボールのように、ぶん、と、青い空に、投げ出されて。
くるくると、回って。
白くて大きな卵になって。
その殻が、割れて。
中から飛び出て、現れたのは、黄色いひよこ。
大きなひよこ。
幸せの子供。
飛べない翼で羽ばたけば、大気が揺れて、木の葉が舞う。
見上げる私の、目の前で。
飛んで。
ねえ、飛んで。
飛べよ、ひよこ。
飛べよ。
飛べ!
だけどひよこは飛べずに落ちて、地面に落ちて、大きな黄身と、白身になって。
アスファルトの上に、広がる。
大きな、大きな、目玉焼き。
黄色い瞳。
私を見詰める。
幸せの瞳。
見上げる私。
青い空を、遮って、見詰め合う、幸せを。言葉にして。声を。
私の、声を。
こんにちは、ひよこ。
こんにちは。
こんにちは、私。
こんにちは。
こんにちは。
こんにちは!
いつも思っていることが半分くらい、残り半分は口から出任せの作り話です。
面白かったという方はお星様を、面白くなかったという方は感想でご指摘頂けますと、作者が助かります。




