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奥羽越建国戦記  作者: 穴沢賢次郎
第一章:出逢い
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一話:慎、改め十兵衛参上

時は天保8年、西暦だと1837年のことである


会津藩士の家で一人の赤ん坊が生まれた


(まこと)が生まれた足軽の家は偶然にも穴沢家であった

彼の現代で生きていた時の苗字も、同様に穴沢である


そもそも穴沢という苗字は東北地方に多く分布する名字で、会津藩士の苗字の中にも見られる


歴史を辿れば戦国時代に遡るのだが、かつてこの地を治めていたのは蘆名氏と呼ばれる大名であった


その蘆名氏に仕えた武家の中に穴沢氏がいる


そして会津藩以降もこの苗字は受け継がれている


家臣や家来になれなくとも、会津のために尽くす気持ちは変わらない

たとえそれが己の身を犠牲にしようとも…


武士として生きることは死ぬことだともいわれるが、その志は忠誠心と義に重んずる心がなければ決して成り立つことはない


会津藩は戊辰戦争まで、どの藩よりも藩のために尽くし、そして朝廷のため、幕末の混乱を一掃し日本の安泰のために尽くしてきた


藩主と藩士一体となりすべてを投げ打った


これこそ義士そのものであるが、歴史は新政府、明治政府により歪曲されてしまった。


慎は会津藩士の末裔として生まれたことに名誉を感じ、そして痛恨していた。


父は二郎兵衛、母はお菊という


早速この二人は慎が転生した赤ん坊に、名を付けた


十兵衛(じゅうべえ)」という名前を与えられた

これ以降は慎のことを、十兵衛と表記していく


ここから会津藩士としての生活が始まり、後に戊辰戦争の渦中に巻き込まれていくのだ



ここで、会津藩時代の猪苗代について少し説明していく

十兵衛が生まれた場所はこの猪苗代(いなわしろ)である


現在は猪苗代町として自立しているが、昔は会津藩領であった


会津の象徴、磐梯山(ばんだいさん)から見て南東に丘陵がある


そこにあるのは「猪苗代城」である

またの名を「亀ヶ城(かめがじょう)」とも呼ばれており、亀ヶ城址(かめがじょうし)(亀ヶ城跡)という名前が付けられているので猪苗代町民にとってもこの呼び方のほうが親しいのではないだろうか


会津藩の本拠地は会津若松(あいづわかまつ)であり、鶴ヶ城(つるがじょう)が本城だ


猪苗代方面から進軍してきた兵を迎え撃ち、会津若松への侵攻を防ぐための城こそが、この猪苗代城である


城下町が形成されてはいたが、田畑が多くそして農民も多かった

近年発見された土津(はにつ)神社(猪苗代にある重要な場所)の資料では江戸時代の猪苗代が描かれている


この城の最後は戊辰戦争時、西軍(新政府軍)が会津領にたった一日で侵入してきたので、敵の手に渡らせないために、とある会津藩士は猪苗代城に火を放った


そして猪苗代城は焼失してしまった


そして今は石垣、井戸、本丸跡が残っているだけである

そのため、幼いころからどのような城だったのか、という想像を自分もよく膨らましていたものだ


会津藩での猪苗代城では、「城主」ではなく「城代」という城の管理者が置かれてきた

もちろん選ばれる者は、武士の中の身分としては家臣もしくは家老に相当する


十兵衛は「城代」という地位を目指し、ひたすら勉学と武芸に励むことになるが、武家での出世は難しいことであった


どのようにして地位を高めればよいか、良い策が浮かばなかった十兵衛はそうするしかなかった


続く






読んでいただいた方、本当にありがとうございます。

失礼ながら、不定期投稿という形になってしまいますが、温かい目で見守ってくれると幸いです。

これからもどうかよろしくお願いします

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