第六十一話[猫鍋捜索網!! その3]
お久しぶりです。どうも、ガルです。
受験シーズンが迫ってくる中、のんびりスタンスを貫いています。
そんな生活で大丈夫か? 大丈夫じゃない、問題だ。
無事高校に行けるんでしょーかね……(苦笑)
リヤカーに揺られること数十分……いや、それ以下、もしくはそれ以上の時間が経ってるかもしれない。そもそもあの中で正確な時間を計れというのが間違いだ。あんな状況だと時間感覚も鈍るわ。
さて、リヤカーを降りた俺達の前に現れたのは……何やら大きな宮殿らしき建物。確かこれと同じような建築物を写真か何かで見たような気がする。名前は……えーっと……?
「バ、バッキンガム宮殿……?」
隣で明が呟く。確か結構有名な建物だったはずだ……。
「やっぱり凄いなぁ……」
ハルさんのそんな呟きも聞こえてきた。派遣部の面々も何かしらの放心状態になっている。生徒会三人組を除いて、だが。
「こちらは紫苑様の御家で御座います。本館となる奥方様の家は……こちらとなっております」
メイドさんが手を向けた方を見てみると、やはりどこかで見たことあるような建築物が建っていた。
「サ、サグラダファミリアだよ、あれ!!」
零が驚愕の声を上げている。多分、あれも世界で有名な建築物なのだろう。俺はよく分からんから知らんが。
「こ、ここってさ、日本だよな……?」
「ま、間違いないはずだよ、多分……」
「あ、ありえねぇ……」
「真一……頭痛くなってきたんだが……」
「俺もだ、昴……」
みんながみんな混乱し始めてるようだ。……まぁ、確かに、ここにいると外国にでもいるような気持ちになってくる。
とりあえず、猫の捜索を早くしたいので、宮殿へと続く道へと足を一歩踏み出す。
「あ、お待ち下さ――――」
メイドさんが何か言おうとしたので、振り向こうとした瞬間……
――チュン!
足元を何かが掠めた。……え?
そんな僅かな疑問を抱いたちょっとした間に俺に向かって何か光――うん、レーザーだ。多分、そうだ。つか絶対レーザーだっ!!――が数本放たれる。
うおぉぉおおぉぉ!? ちょ、やべぇって! 俺は慌てて数歩後退し、レーザーが飛んでこなくなったことを確認して、ホッと息をつく。
「こちらは侵入者対策用の自動レーザー銃が設置してあります。そこから一歩でも踏み入ろうものなら、先ほどのように……」
背筋がゾッとし、背中には冷たい何かが流れている。
なんちゅう対策だ……。俺が格闘タイプの使い手だったから良かったものの、明や殊日みたいなタイプの奴だったらあっという間に消し炭だな。……我ながら恐ろしい想像をしているものだ。
「そういうことは早く言って下さい……」
飛び交うレーザーの中に飛び込んだもんだから声を張り上げる気力すらない。というかレーザーだなんてまた高価そうなもんだな。うちの生活費何ヶ月分ぐらいだろうか?
とりあえず体中を見回し、怪我が無いことを確認して伝えると、本来の通用口へと通された。怪我が無いかの確認の途中、レーザーで焼ききれたらしい部分をズボンに見つけた。ズボンは替えが無いから後で直しておくとしよう。
「おいおいおいおいおい…………」
思わず口に出た。何だよここは?! 先住民の方々だらけじゃねーか! しかも田中さん居るしっ!!
だが俺の疑問は誰も拾ってくれず、流されるままに|ダンボールハウス《田中さん曰く「マイホーム」》の中へと通された。
道中ハルさんから聞いた話だが、あの先住民の方々は派遣切りにあった人達を配備しているらしく、高確率で侵入者等は近寄ってこないらしい。
侵入者は近寄ってこないし、派遣切りにあった人達も救えるなんていいシステムだなぁ、などと関心していると、夏樹会長が横から「ちなみに給料は無いらしいぞ」と教えてくれた。
……せめて食事と寝床ぐらいは用意して上げてもいいんじゃないか? と思わずにはいられない俺であった。
その3へ続く。
その3に続くとありますが、次回は[風と影 その1]を投稿しますよ~。
さて、ちょっとお知らせが。
サクコーコラボ及びにこの後に残っているコラボを消化してからの話ですが、ちょっとない日をプロローグから手直しを加えて行きたいと思います。なのでしばらくの間、最新話を投稿できなくなるかも……?
まぁ、どうせのんびり更新なのは変わりませんが。
それでは、次回をお楽しみに~。