表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡ではない日常。(無期限更新停止)  作者: 月影雅輝
第一章[いつもの日常。]
37/73

第二十六話[派遣部の日常編【後編】 馬鹿は風邪引かないって言うけどそうでもない]

はい、とうとう後編に突入です! だけど、派遣部の日常編って銘打っているのに、派遣部の活動はまったくありません。どうやら派遣部はお休みだったようで。(ちなみに派遣部は木戸先生の気まぐれで休みとかだったりします)

うぅ・・・ここは・・・?

・・・今、俺は宇宙のような場所にいる。これは恐らく夢・・・のはずだ。

何で俺はこんな夢を・・・っておぉ!? 何かに後ろから引っ張られているようだ・・・。

俺は後ろを振り返ってみた。そこにはブラックホールがあった・・・。

俺はそれに少しずつ吸い込まれていき、その内吸い込まれるスピードは早くなっていった。

くそ・・・夢だと分かっていても、直感的に怖いと感じてしまう・・・。くそっ!! 助けてくれ!!

俺はとうとうブラックホールに吸い込まれ、目の前が真っ暗になった。








「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は掛け布団を吹っ飛ばす勢いで跳ね起きた。


「なんなんだ・・・あの夢は・・・。まぁ、原因は分かってるんだが・・・」


実のところ、俺は今、体調が悪い。頭が重く、今にもかち割れそうだ。体も思うように動かず、全身になまりまとっているようだ。熱も、かなりある。体温計で量らなくてもわかる。


「・・・今日は学校に行くのは無理そうだな」


俺は誰かに言うわけでも無く、ボソッと呟いた。

原因は昨日行った、『零牙の料理教室』のせいだ。あ、いや、料理教室自体のせいでは無く、明が作った料理のせいだ。正しくは。

明の料理の腕はあの状態からは少しは良くなった。明が作った料理を食べ、明が帰った後に症状が発生したんだが。昨日に比べれば、症状は少しぐらい良くなっている・・・と思う。

とにかく・・・


「明になんて言えばいいのやら・・・」


本日三度目の誰に向かって言っているのか分からない言葉をボソッと俺以外にいない空間に呟いた。









〜明視点 奏咲家 明自室〜


遅い遅い遅い遅い遅い(おっそ)〜い!!

まったく何やってるのよ、零牙は!いつもならもっと前に迎えにくるはずなのに!


「明〜、そろそろ出た方がいいんじゃない? 遅刻するわよ〜」

「は〜い」


零牙が迎えに来ないから、私だけで出ることにした。

・・・行く前に零牙の家によってから学校に行こう・・・。







〜零牙家前〜


ピンポ〜ン


ドアベルを鳴らすと、少し間の抜けたチャイムが鳴る。

数十秒後には少し慌てたような様子で階段を下りてくる音がした。


ガチャ


「はい、はい・・・」


数秒後には灰色の無地の長袖と、灰色の生地に藍色の横(じま)が入った長ズボンを履いた――

恐らくパジャマだと思う――零牙が出てきた。


「ちょっと、零牙、寝坊したの? 早く着替えないと・・・」

「ワリィ・・・ゲホゲホッ・・・学校行けそうにないわ・・・」


私が言い終わる前に零牙が咳き込みながら、そう言った。

どうしたんだろう・・・。


「どうしたの?」


そう聞くと、零牙は少し困ったような顔をした後、何か思いついたような顔をして、こう言った。


「えっとな、風邪引いたんだよ・・・ゲホッ」


よく見ると、顔は赤いし、見るからにきつそうだった。

大丈夫かな・・・。


「へぇ〜、馬鹿は風邪引かないって言うけどねぇ」


私は思った事が口に出来ない。心配してるのに、まったく逆の事を言ってしまう。・・・たまに素直になる時はあるけど。


「・・・あのなぁ、ゲホッ、ゲホッ・・・それ、病人に言う言葉か?」

「だって、アンタ、馬鹿でしょ?」


あぁぁ・・・またやってしまった。本当、なんでこういう事言っちゃうんだろう。


「・・・とりあえず、先生に言っといてくれ。俺は寝る・・・ゲホッゲホッ」

「分かったわ。明日には直しときなさいよ?」

「直せたらな・・・」


零牙が何か言ったみたいだけど、聞き取れなかった。


「何か言った?」

「いや、何も・・・」

「・・・?そう。じゃぁ、また後でね」

「おう、また後で・・・ってまた来るのか?」

「えぇ、放課後にもう一回くるわ」

「そうか、ゲホッ、ゲホッ・・・じゃぁな・・・」


零牙はそう言って、ドアを閉めて、鍵も締めた。








〜零牙視点〜


あぁ・・・キツイ・・・。

明が家に来て、学校に行った後、数時間程経ったが、一向に楽にならない。

うっ・・・吐くものも無いのに吐き気がする・・・。

家に誰もいないってのも結構キツイなぁ・・・。

・・・もうしばらく寝るか・・・。


「うっ・・・次は腹が・・・ト、トイレ・・・!」


今度は腹か・・・。










〜明視点 学園内 高等部一年三組教室〜


・・・つまんない。


「どうしたのぉ? つまらなさそうな顔して」


未来が人懐っこい声をしながら私に聞いてきた。ちなみに今は昼休みで昼食を食べているところだ。零牙がお弁当を作れなかったみたいだから、売店で買ってきた。

零牙がいないからつまらない・・・なんて口が裂けても言えない。


「分かった、零牙君がいないからつまんないでしょ」


うっ・・・なんで分かったのよ・・・。


「そ、そんなんじゃないわよ」

「へぇ・・・」


未来は何か意味がありそうな笑みを見せて、私に質問するのをやめた。


「まぁ、頑張ってよねぇ、零牙君のこと好きなんだからちゃんと告白しなよぉ?」

「何でそうなるのよっ!? 私は零牙の事なんか好きじゃないわよ!」


バレてたのね・・・。だけど、そんな事を素直に認められる訳がない。

・・・未来の言う通り、私は零牙の事が好きだ。そのことに気が付いたのは中学二年生の時ぐらい。それからかな・・・零牙に冷たくなったのは。いつも零牙に対しては不機嫌そうな態度をとっているが、全然気にしてないみたい。・・・まぁ、急に態度が変わった時はさすがにうろたえていたけど。


「とりあえず、今日は炎人と狼牙君とお見舞い行くけどぉ、明も行くんでしょ?」

「え? あ、うん・・・心配だしね。一応」

「一応、ねぇ?」

「何よっ!?」

「何でもぉ」

「・・・・」


はぁ・・・未来には隠し事はできないなぁ。









〜零牙視点 零牙家自室〜


「お、新しいゲーム買ったのか〜」

「・・・この訓練メニューは良いな・・・。俺のメニューにも取り入れてみるか」

「へぇ〜、零牙君の部屋ってこんな感じなのかぁ〜」

「全然変わってないわね・・・」


炎人達がお見舞いに来てくれた・・・のはいいんだが、病人(オレ)が寝ている横で騒がないでくれ・・・


「うるせぇ・・・てか、お見舞いに来たんじゃないのか?」

「おぉ、だから、フルーツ詰め合わせ持って来ただろ?」

「その中の林檎(リンゴ)をお前がかじってたら意味無いだろ・・・」

「・・・それもそうだな、ハハッ!」

「そういいながら、俺の部屋をあさるのは止めてくれ・・・ゲホッ」


俺の見ている前で漁られているのを見るのはあまり良い気分じゃないんだが・・・。


「まぁ、そろそろ帰るから、漁るのは止めるけどな」

「そうか、早く帰ってくれ」

「おぅ、行くぞ、未来〜」

「はぁい」


そう言って、炎人と未来は俺の部屋から出て行った。


「・・・では、そろそろ俺も夕飯の支度(したく)があるので帰らせてもらう」

「お前、料理作れたっけ・・・?」

「あぁ・・・一応、練習した」

「そうか・・・明もそれぐらい上手くなればなぁ」

「うるさい!」


このやりとりをしている間に狼牙は部屋から出て行った。

ちなみに俺と明は気が付かなかった。


「・・・狼牙はもう行ったのか?」

「みたいね・・・」

「お前も帰るのか? 俺は晩飯作れねぇぞ」

「アンタはどうするの?」

「大丈夫だ、こんなこともあろうかと、インスタントのおかゆを買っておいた」


明が「作る!」って言い出したら、余計大変なことになりそうだしな・・・。


「準備良いわね、アンタ・・・」

「まぁな・・・。そうだ、明日には学園に行けると思うぞ」

「え? 本当(ホント)?」

「あぁ、だいぶ、楽になったし、行けるんじゃねぇか?」

「そう、良かったぁ〜」


俺の事、心配してたのか・・・? な訳ねぇか。


「そろそろ帰った方がいいんじゃねぇか?」

「そうね、そろそろ暗くなるしね」

「と言っても目の前なんだがな、明の家」

「それもそうね。じゃ、また明日ね」

「おぅ、治ってたらな」


明も部屋から出ていった。

さて、おかゆ作ってさっさと寝るか・・・。それと下に降りたら玄関の鍵、締めとかないと・・・。














次回、[派遣部の日常編【後編】 突入!真夜中の中学校!!]

ではでは、ようやく派遣部の活動が再開します。

ちなみに次回は黒犬純先生の作品『スクール・ラプソディー』とのコラボです。バトル展開になりますのでお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ