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9話

 ショッピングモールに着いてから、わたしは落ち着かない。ちらちらと感じる視線は気のせいじゃないはずなのに、この状況で平然としていられる2人が不思議で仕方ない。

カーディガンを着せることには成功したものの、その……胸の主張はあまり変わらず。わたしの腕には押し付けるように当たってて、意識してしまうのはわたしだけ。


「はじめ、溶けてる」

「あ、」

「美味しい」


 菜々花先輩が溶け落ちそうなわたしのアイスをペロッと舐めとり、何も無かったようにまた自分のアイスにかぶりつく。……これって間接キス?

 ううん、深い意味はきっと無い。部活仲間でまわし飲みとか、それこそこんな風に食べ物を少し貰ったりするなんて、女の子同士なら別に変なことじゃない。

 なのになんで菜々花先輩の唇から目が離せないんだろう……。


「ねぇ、はじめちゃんはどこの洋服が好き?」


 はっ。この後どこを見て回るか何も決めてないんだった。


「えっと、特にここってお店はないかな」

「じゃああたしが行きたいとこに行ってもいい?」

「うん」


 私たち3人って服の系統だいぶ違うような気がするな。

 わたしは元々ウィンドウショッピングのつもりだったからどこを見てもいいんだけど。


「あ、歩美だ。ちょっと話してくる! あーゆーみー!」


 走っていく由菜ちゃんを見送りながらアイスを完食する。


「先輩は行かないんですか?」

「うん。それより早く、こっち」


 フードコートを抜けて少し離れたトイレに入った。食べ終わるの待たせちゃって申し訳ないことしたな、と思いながら手を洗う。


「すみません、早く手洗いたかったですよね」

「ううん。今から映画でも観ない?」

「はい?」


 今何かやってたっけ? 先輩、見たい映画あるのかな。


「すぐ入れば由菜にバレないかも」

「バレるって?」

「やっぱり2人がいいもん」


 え。元々今日は二人で遊ぶ予定だったけど、そんな風に由菜ちゃんを除け者にしなくても……2人とも、お互い容赦なさすぎじゃない?


「ちょ、由菜ちゃんを何も言わずに1人にするんですか? それは酷いですよ」

「でももう連絡も取れないし探す時間が勿体ないでしょ?」

「スマホ忘れたんですか?」

「持ってこなかったの」

「でも由菜ちゃん困っちゃいますよ! 2人で遊びたいならまた今度の機会にしましょ?」


 私たちのこと探してるはずだし、早く戻らないと。ぶすっと頬を膨らませる先輩の手を引っ張って元の場所に戻ると、由菜ちゃんはスマホを操作しながら待っていた。


「由菜ちゃん! ごめんね」

「良いのよ。どうせ菜々花でしょ? 分かってるから」


 菜々花先輩のすることは由菜ちゃんにはお見通しらしい。


「由菜ちゃん、連絡先交換してなかったよね?」

「うん! しよしよ〜」

「はじめ、私も」

「はい。帰ったらしましょうね」

「戻ってきてくれて良かった〜歩美のデートの邪魔するとこだったわ」

「デート?」


 そういえば後ろ姿しか見えなかったけど誰かと一緒にいるみたいだったな。


「そーよ。デートよデート。2人は付き合ってるって本人が言ってたの。残念ね」

「……別に残念だなんて思ってないけど」


菜々花先輩が首を傾げながら答える。前に会った時、未練があるように見えたけど……。

由菜ちゃんもそれを分かってて聞いたんだよね、きっと。


「あんなに追いかけ回してたのに?」

「うん。なんでかな」

「あんた、もしかして本当にはじめちゃんのこと好きなの?」

「好きだけど」


 そういう話、わたしの前でするかなぁ?

 菜々花先輩、サラッと言うからお友達として良く思ってくれてるんだな〜って思うことにしてるけど、スキンシップが激しくていちいち動揺しちゃう。きっと先輩は仲良くなったらこれくらいの距離感が普通なんだろうな。


「ふーん」

「だから、私たちのデートも邪魔しないで欲しいんだけど」

「保護者が必要でしょあんたには! はじめちゃんが危ないもの!!」

「私、由菜よりも年上なんだけど」

「いーい、はじめちゃん? 嫌なことは嫌ってちゃんと言うのよ? もちろん、同意のもとでって言うなら、あたしは止めないけど」


これ、わたし、なんて答えるのが正解なんだろう……?

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