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7話

 今日は久々にゆっくりできそう。先輩にも前から話していたので、部屋に遊びに行くことになっている。由菜ちゃんにもずっと会ってないけど、どうなんだろう。もしかしたら外に行くかもしれないので、3人で遊べたらもっといいなって。


 ノックすると、すぐに先輩が顔を出す。あ、ちゃんと服着てる。


「おはようg……」

「はじめ」


 腕を引っ張られて部屋に入れられると、閉じたドアに体を押し付けられる。荒々しさにびっくりして、動けずにいた。


「あのわたし、何かしました?」


 気にくわないことでもしてしまっただろうか。しばらく会えなかったからただ寂しかっただけ?

 ふるふると首を横に振るだけで、何か話してくれるわけではない。先輩は思い詰めたような、泣きそうな顔をしていた。

 少なくとも、楽しく遊べそうな雰囲気ではないかな。

 しばらくわたしの顔を見ていた先輩は、今度はゆっくり手を引いて、ベッドに座った。

 それに習って隣に腰掛ける。


「…………」


 わたしが言えることではないけど、先輩ってあまり口数が多いわけじゃない。顔に出るから分かりやすいけど。手は繋いだまま、沈黙が訪れる。


「わっ」


 結局言葉は出てこないで、今度は2人でベッドに倒れこんだ。じっとわたしを見つめたままじりじりと近づいてくる先輩にドキドキしているうち、唇が、触れ合った。


「っ〜〜〜〜!」


 パニックで声にならない悲鳴をあげるけど、唇は塞がったまま。


 な、何が起こってるの?


「せ、せんぱ、んむっ」


 待って待って、話してくれる流れじゃなかったの? なんでこんな、


「あっ、」


 やっと離れてもすぐに塞がれる。え、舌……?

 理解が追いつかなくて涙が出そうになる。

 ファーストキスだし、体動かないし、キス、深くなるし……


「まっ、」

「すとーーーーーーーっぷ! 八つ当たりするなんて最低ね菜々花! はじめちゃん、殴っちゃっていいよ!」


 ゆ、由菜ちゃんー!!

 救世主……これでやっと先輩が止ま……らない?


「ひっ」


 冷たい手が、服を捲り直にお腹に触れる。怪しく動く手にも抗えず、待って落ち着け、と自分に言い聞かせるほど頭は混乱していく。

 キスは止まなくて、上手く空気を吸えずに息があがる。


 スパーンっ


「止めろって言ってるでしょこの変態!」

「……痛い」


 ムスッとした顔で、手を引っ張って起こしてくれる。再びベッドの上で向かい合ったところで、ご機嫌ななめな由菜ちゃんからお言葉。


「ほら、こういう時なんて言うの?」


 先生かな。


「……」


 菜々花先輩は考えた末にハッとして、真剣な顔で言った。


「はじめ」

「はい」

「気持ちよかった?」


 ずこっ


 一気に肩の力が抜ける。と同時に、笑いがこみ上げてきた。


「ちょっ、ふふ、なんなんですかほんとに……もう」


 ファーストキスってこんなにあっけなく終わるものなの? 全然笑えない状況のはずなのに。違ったのかなと首を傾げている菜々花先輩に由菜ちゃんは呆れ顔。そりゃそうだ。先輩抜けてるよね。


「それで、ほんとにどうしたんです? 私のファーストキスまで奪って」

「……欲情した」

「浴場?」

「ムラムラした」

「は?」

「元カノが全然話聞いてくれなくて、拗ねてるだけよ」


 由菜ちゃんの翻訳がないと言いたいことさっぱり分からない……。もしかして歩美さんの名前に微妙な顔してたのって、そういうこと?


「ファーストキスだったんだ」

「そうですよ? 好きな人にあげるもののはずなのに」

「私のこと嫌い?」

「そうじゃなくて……恋人同士でするものでしょ?」


 言わせないでくださいと思いながら、なんとなく口元を手で覆う。うぅ、思い出したら恥ずかしくなるよ絶対。思い出すなわたし!


「……じゃあ恋人になる?」


 何がじゃあなのでしょう……。


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