5話
時代変わって令和になっちゃいました。よろしくです
………はっ!
わ、なんか、意識が飛んでたような……
「ちょっと!! なんで増えてんのよ!」
「最初の子、どっちだかわかんなくなっちゃった」
「気持ち悪いのが2匹も! 勘弁してよせっかく逃がしたのに!」
「あなたが最初に逃がしたのが悪いんじゃない」
「なんでよ! そもそも寮に生き物持ち込み禁止でしょーが!」
先輩達の言い合いを聞いてさっきまでの会話が頭の中でまた再生される……あわわわ……!
「わ! わたし!! 帰りますっっ!」
何か余計な事を考えてしまいそうで、それを振り払うように勢いよく立ち上がり、部屋を出ていった。先生から言われたこともすっかり頭から抜けてて達成出来てない。
けど! この部屋にはいられない! 桃色トークは勘弁して下さい!!
◇ ◇ ◇ ◇
いつものように朝練に勤しんでいると、登校してくる菜々花先輩が目に入った。この時間は他にも部活生たちが登校するけど、なんだかフラフラ歩いてるし、だんだん校舎から外れた方向へ歩きだして気になる。もしかして体調が悪いとか? 大丈夫かな?
と、思ってはいるけれど、数日前あんな風に部屋を飛び出してしまった手前、私から声をかけるのはちょっと勇気がいる。
気になってしまいチラチラと時々そちらを見ていると、鈍い音がこちらまで聞こえてきそうな勢いで先輩が壁に激突した。
「っ! ご、ごめん紀香ちゃん! ちょっと外す!」
後ろから咎める声が聞こえたけど、朝練そっちのけで先輩のところへ駆け寄る。
「先輩大丈夫ですか!?」
ぶつけたおでこを手で抑えて涙目。
「体調でも悪いんですか!? わたしまだ始まるまで時間あるし寮まで……」
首を振って、人差し指で地面をさしたので見てみると……
「あ、あり……?」
よくよく見るとアリが長い行列を成して巣があるのであろう穴へと次々吸い込まれていく。もしかして、下を向いてアリの行列を追ってたからあんなフラフラに……。
「はぁー。心配したんですよ! もう! ほら、保健室行きますよ!」
「ま、待って、確かポケットに飴が」
包み紙から出し、地面に置いた飴に群がるのを真剣に見つめている。このままじゃいつまでも動きそうにないので、早々に引き剥がして先輩を保健室まで送ることにした。
「……で、なんですかこれ?」
歩きだせば後ろからついてきたけど、何故か先輩が両手をわたしの肩に乗せてる。
「別に意味はないけど」
「転ばないでくださいよ?」
もっと軽率に更新したい