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白の化身の異世界譚─人の道と神の道─  作者: 狐子
第一章【失われた記憶、異なった世界】
8/19

七話【大騒動と依頼報告】

今日からついにユニークが見れるようになったのですが、ユニークが100を超えてました!

読んでくださっている、または読んでくださった皆様本当にありがとうございます!


もし少しでも楽しんで読んでいただけてたらいいなーと思います。

ちょっとした──あれをちょっとした、で片付けていいかはともかく──事件はあったものの、予想外のハイゴブリン戦を無事に終えた白は、今度こそしばらく休憩をしていた。

不思議なことに──《神鳴》の魔法の効果なのかもしれないが、詳しいことはわからない──あれだけの重傷を負ったにも関わらず完治している上に疲労感も抜けてはいるのだが、それとこれとは話が別である。

まだ洞窟に他のゴブリンが潜んでいる可能性もあり──実際にはもうゴブリンはいないのだが、白は知る由もない──完全に気を抜くわけにはいかないのだが、白はその場に寝転がって体から力を抜いていた。

「さて、と。そろそろ洞窟の確認にいこうかな」

白はそう言って体を起こし、立ち上がると洞窟へと向かう。

「んー、声も聞こえてこないし、もうゴブリンはいないのかな?」

洞窟の入口で色々と試した──最初のように洞窟の中に石を投げ込んでみたり、《火之鳥》を爆発させてみたり──結果、なんの反応もないので白はそう結論づける。

そして、確認のためにも白が洞窟に足を踏み入れようとした時、

「......坊...、......だー!」

「...ク......ん、...た...返......てー!」

遠く、トータスの街のある方角から声が聞こえてきた。

何かを叫んでいるように聞こえるのだが、まだ距離があるのかなんて言っているのかよく聞き取れない。

白はトータスの街の方を振り返るが、この洞窟と街の間には小高い丘があり、振り返っても何も見えなかった。

でも、姿は見えないが知っている人の声のような気がした白は声の主を確認することにした。

そして、丘の上に登って街の方を見ると、

「ハク坊ー、どこだー!」

「ハクくーん、居たら返事してー!」

「ハク、大丈夫ー?」

街の方角からウィリル、ガンツ、ルテラがハクの名を呼びながら走ってきているのが見える。

「みんなー!僕はここだよー!」

白も大声を張り上げると、大きく手を振ってウィリルたちにアピールした。

「ハク坊!」「ハクくん!」「ハク」

白の声が届いたのだろう、ウィリルたちは白のことを見つけ、駆け寄ってくる。

「みんな、僕のことを探してたみたいだけど、どうかしたの?」

白もウィリルたちの元へと走っていき、そう尋ねた。

「どうしたもこうしたもねえよ...ってハク坊、お前ボロボロじゃねえか!」

真っ先に白の元へとたどり着いたガンツは何かを言おうとしたが、それより先に白の様子に驚きの声をあげる。

だが、それも無理はないだろう、白は怪我こそ残ってはいないが、服はあちこちがボロボロになって大部分が血で赤くなっているのだ。

「血塗れじゃない!怪我は...治したのかないようただけど何があったの?」

「やっぱりあの謎の轟音のせい?」

ガンツに少し遅れて白の元についたウィリルとルテラも心配そうに聞いてきた。

「えーっと、これはハイゴブリンと戦って思いっきり攻撃を受けちゃって、それよりも謎の轟音って?」

白は自分の格好の理由を説明すると、わりと嫌な予感がするが、謎の轟音について尋ねる。

「はあ!?ハイゴブリン!?Eランクのゴブリン討伐依頼でなんでそんなのが出てきやがるんだよ...」

「でも、こうして無事に生きてるってことはハイゴブリンを倒せたの?死た...い...って何アレ!?」

白の言葉にガンツは呆れ、ウィリルは洞窟の方に目を向けて何かを見つけたのか驚愕の声をあげた。

「ん?何があったんだ...んん!?」

「......アレは?」

ウィリルの様子にガンツとリテラも"それ"をみて唖然とする。

「あ、あはは」

何となく三人の反応の原因に推測がついたが、振り返ってウィリルたちの視線の先にあるものを見てハクは乾いた笑い声をあげた。

ウィリルたちの見たもの、それはハイゴブリンが最後に立っていた場所、つまりは《神鳴》が降り注いだ場所である。

そこは、そこだけは、元々生えていた草花はなく、それどころか、そこの地面だけは激しく荒れ果て、真っ黒く焦げていた。

「ハクくん、ハイゴブリンと戦って倒したんだよね?」

「えっと...多分?」

「多分?」

「えっとですね・・・」

それから白は今回の依頼を受けてから今に至るまでの状況を詳しく三人に説明した。

もちろん《神鳴》のことだけは自分が使った魔法ではなく、突然雷が降ってきたというふうに誤魔化したが。

「なんというか...災難だなハク坊も」

「記憶を失った直後?のことといいゴブリン難の相でもあるのかしらね」

「どんまい」

白の説明を聞き終えた三人は白に同情の視線を向ける。

Eランクのゴブリン討伐の依頼で実はハイゴブリンがいた、というのは前例が無いわけではないが、極めてまれな事例だ。

記憶喪失直後にゴブリンに殺されかけ、初めてのゴブリン討伐の依頼では偶然いたハイゴブリンに殺されかけるとゴブリンに関しては白は甚だ運が悪い。

「だが、多分最後にハク坊が見たっていうその雷があの街でも聞こえた轟音だな」

「そうね、ハイゴブリンを跡形もなく消滅させて地面がこんなものになるくらいの雷だったらあれだけの轟音がするのも納得がいく」

「でも無事でよかったね」

ガンツたち三人は白の話で轟音の正体について一応は納得したようだ。

そして、ちゃっかりルテラは白の頭を撫でていた。


その後、一応念のため、ということで洞窟の中を確認し、ゴブリンの生活跡と他にゴブリンが洞窟内部にはいないことを確認し、トータスの街へと帰った。

白たちが街に戻ってくると、街は大騒ぎになっており、白は申し訳なさを感じたが、本当のことを言うわけにもいかず、何事も無かったかのように冒険者ギルドへと向かった。


白たちがギルドへ到着すると、予想していたことではあるがギルドも大騒ぎになっていた。

特に、ギルドは危険な魔物の出現などがあった際には迅速に動く必要があったため、街よりもさらに大変な騒ぎになっている。

そんな中、白たちがギルドへと入ると、一斉に白たちに視線が向けられ、白のボロボロになった服を見てギョッとし、だが白が無事に帰ってきたことに皆一様にホッとしたような表情を浮かべた。

この一連の流れで、全員の動作が完全に一致していたのはある種異様な光景であった。

ちなみに、この時の白は知る由もないのだが、実はギルドが大騒ぎになった最大の理由は、あの謎の轟音が起こったことではなく、謎の轟音の聞こえた方角に白が(・・)依頼で向かっていたこと、なのである。

白は、自分でも知らないうちにこのトータスの街の冒険者ギルドのアイドル的存在になっていたのだ。

そんな裏事情を知らない白は、そんな冒険者たちの様子に首をかしげたが、轟音の聞こえた方角にいた場所にいた自分が無事に帰ってきたからだろうと、納得した。

そしてそんな白たちの元にシリルが駆け寄ってくる。

「ハクさん、無事だったんですね!」

そう言って、笑顔を浮かべたシリルだったが、次の白の発言でその笑顔は凍り付くくこととなった。

「はい!ハイゴブリンが出てきた時は危なかったですけど無事に帰ってこれました」

一見含みのありそうな発言だが、白自身は特に嫌味を言おうとして言った訳では無い。

白も、そしてウィリルたちも白にとっては不運なことではあるが、あれは不慮の事故のようだと思っていた。

普通ハイゴブリンは大規模な群れにいるか、はぐれとして単独でいるかの二パターンで、はぐれゴブリンとゴブリンが一緒にいるのは極めてまれなことだからだ。

だから白には、そしてウィリルたちにはそれを責める意図はないのだが、白は言い方がちょっとした不味かった。

ウィリルたちは完全に笑顔のまま固まってしまったシリルを見て苦笑いを浮かべる。

「ハクくん、多分ハクくんに他意はないんだろうけど、もう少し説明してあげよ?」

ウィリルはそう白に言って白の頭をぽんぽんとす ると、白の代わりにシリルに状況の説明をしていく。

ちなみに、謎の轟音については白の固有魔法《火之鳥》の超多重によりハイゴブリンを倒した時のものだと説明した。

白が見たという雷がなんなのか分からなかったので(白は知っているがウィリルたちに言わなかったので)、ひとまずそういう風にしておこうということになったのだ。

なお、はぐれハイゴブリンの説明で落ち着いたシリルだったが、その謎の轟音について説明の影響で、また固まったのはご愛嬌である(まあその時には他の冒険者も固まっていたが)。

なお、説明を終えた後に、《ファイアーボール》と違い術者がある程度自由に動かせるので室内でも使えるということで《火之鳥》を実演することになり、火魔法を使える冒険者たちがこぞって挑戦したが、やはり誰も使える人はいなかった。

それから白は依頼報告を終え、ゴブリン二匹分の依頼達成報酬と追加でハイゴブリンの討伐報酬をもらい、思いがけない大騒動となった白の初依頼は完了した。


余談になるが、その後、ギルドからトータスの街の住人に対して、個人名は明かさなかったが、あの轟音は冒険者が強力な魔物を倒すために使った魔法によって引き起こされたものだと説明され、街の騒動も無事に終息することになる。

というわけで第七話です!


トータスの街まで響く轟音...街の人たちは結構びっくりしたでしょうねぇ。

ちなみに、《神鳴》の発動時には白の周囲は暗くなっていましたが、トータスの街までは影響が出てなかったのでそっちは気づかれてません。


しかし、ここまで割と駆け足な感じで進めていってまったりとした日常パートとかないですね!


まあそれもこれも作者の実力不足がなせる技なのですが(技じゃねーよ)、とりあえず一章は導入部?ってことで日常パートは殆どなく、がんがんストーリーを進めていく感じになります。


二章に入ったらきっと日常パートも書きます。

書きます...書きたいです。書けたらいいなぁ。

い、いや、弱気になってはいけない。

そうだ!私は日常パートを書くんだ!(予定は未定です)

と、いうわけできっと二章に入ったら日常パートが入ると思いますので一章は日常パートが描かれずに進んでいく白の物語をお楽しみください!


では、次回は八話でお会いしましょう。

まったね~。

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