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白の化身の異世界譚─人の道と神の道─  作者: 狐子
第二章【到着、五大国クリネイト】
14/19

二話【旅における(嫌な)定番のイベント】

「っ!悲鳴...?」

白は聞こえてきた声に気を引き締めて周りを見回す。

すると、白が進もうとしている方向の先に一台の馬車とその傍で剣を構える少女、そしてその周りを剣を持って取り囲む男たちの姿が見えた。

「盗賊...か?」

白はそう呟いた直後、あの男たちは盗賊で間違いないと確信する。

盗賊たちの背後には恐らくあの馬車の護衛をしていたのであろう男が二人倒れており、よくよく見ると何人かの盗賊の剣には血がついていた。

相手が盗賊だと確信した白は、急いでその場へと向かって走り出す。

見ず知らずの人ではあるが、盗賊に襲われているのを見て見ぬ振りをするほど白は薄情ではない。

《白狐化》で強化された身体能力で、白は十秒もしないうちにその場へと着き、少女に背を向けて少女の正面にいる盗賊たちと対面する。

「恨むんなら盗賊になった自分たちを恨んでね」

いきなりやって来た白に盗賊が驚いたような表情を浮かべる中、白はそう呟くと無詠唱で《雷身》を発動した。

《雷身》発動時のお馴染みの発光の直後、白の姿はふっとその場から消える。

「なっ...消えた!?」

突如消えた白の姿に今度こそ明確な動揺が盗賊たちに広がった。

そして、次の瞬間、白の近くにいた盗賊の剣が切り裂かれて宙を舞う。

「なっ!?」

一瞬の間に破壊された自らの得物に盗賊たちが驚愕の声をあげる中、いつの間にか白は元の位置に現れた。

だが、いつの間にかその手には刀を持っており、切っ先を目の前の盗賊に向けている。

「次は殺すよ?」

白はできるだけ冷酷な声になるように意識しながらそう盗賊たちに宣告する。

白にはまだ悪人とはいえ同じ人間を殺すのに躊躇いを感じていた。

それゆえのこの宣告なのだが、盗賊たちは愚かものだったようだ。

「ひ、怯むな!いくら相手が強いと言っても所詮は剣士、包囲し数で勝る俺たちの方が有利だ!」

ちょうど白の正面にいた盗賊のリーダーらしき男が声を張り上げてそう言う。

だが、この盗賊たちは大きな勘違いをしていた。

「はぁ...。現し世にありし星の理よ、我が言の葉によりて形を成し、星を雨とし降り注げ《星ノ雨》」

白は小さくため息をつくと星魔法《星ノ雨》を詠唱した。

白が詠唱を終えた直後、盗賊たちの背後に円を描くように隕石が落下し大地を抉る。

星魔法《星ノ雨》、それは《落星》の上位版とも言うべき白の固有魔法だ。

その効果は、上空に無数の《落星》を生み出して大地へと降り注がせること。

さらに、ある程度は白が着弾地点を決定できる。

つまり、白には相手が取り囲んでいようが自分よりも大人数であろうが問題なく殲滅できるのだ。

「な、な、な...」

自分の真後ろに何かが降ってきて大地を抉る。

そしてそれを目の前の少年?少女?がやったという事実に盗賊のリーダーは顔を青ざめさせた。

今回は(・・・)当てられなかったが、次は間違いなく自分たちを直接狙ってくるだろう。

そしてあの威力だ、直撃したら確実に死ぬ。

この少年?少女?のあまりの強さに盗賊たちは全員顔を蒼白にしていた。

「つ・ぎ・は・こ・ろ・す・よ?」

もう盗賊たちに戦意はないように見えたが、一応白はもう一度、しかも一音ずつはっきりと区切って宣告する。

戦っても殺される、逃げても恐らく殺される。

そう悟った盗賊たちは慌てて武器を投げ出し、リーダーを先頭に白の前に跪く。

それを見て、もう大丈夫だろうと思い、白は刀を鞘に納める。

ちょうど《白狐化》の時間も切れたようで、狐耳や尻尾は消え、刀も消滅した。

それから白はふと思い出したように慌てて倒れている男たちの元へと向かう。

「まだ息がある...」

男たちはやられてからそれほど経っていなかったのか、意識を失ってはいるようだがまだ生きていた。

「我奏でるは癒しの旋律、我が旋律は癒しとなりて傷つきしものに安らぎを与える《癒しのしらべ》」

とりあえずは手当をしないとと思い、白は急いで回復魔法《癒しのしらべ》を詠唱する。

そして、《癒しのしらべ》が発動すると、白の周囲に優しい音楽が奏でられる。

すると、倒れている男たちの体が薄らと光に包まれ、徐々に傷が癒えていく。

そして《癒しのしらべ》の効果が終わる頃には、男たちの傷はほぼ完全に治っていた。

まだ意識は失ったままだが、じきに意識を取り戻すだろう。

白はひと息つくと、一人馬車の前で剣を構えて立っていた少女の元へと向かった。

ちょっと二章は一話二話と一章の頃に比べて文章量が少なめですかね?


わりとノリと感覚で書いてるので長さがだいぶまちまちになってます。


なので短かったり長かったりの差が激しいですか、ご了承ください!性分なんです!


まあなにはともあれ、次は第三話でお会いできたら嬉しいです。


昨日今日と続けて投稿できたからと言って三話も早いとは限らないのですよ(遠い目)


それでは!

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