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白の賢者 ~転生先は魔法の世界~  作者: 春野霞
第一章 
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5 原っぱの探検  

 【魔力探知】さんも回数を重ねると変化してきたよ。お家の周りで遊びながら、たびたびかーさまの気配・魔力を探るようにしているんだけど、かーさまがどっちの方に居るのか判る様になったのね。正面に居るのか、横の方なのか。

 大きな魔力の気配は、【魔力探知】さんを使わなくとも感じ取れるようになったのよ。【魔力探知】さんはその方向を探るって事かなあ。探知と名づけたのは正しかったかも。かーさまの魔力は変わらないはずだから、感じた力で距離もなんとなく判るの。ちなみに距離の3乗に反比例して弱くなるのは空間に放出される系だから当然のことなんだろうけど。

 訓練(いや、遊んでるだけ?)の結果だんだん離れていてもかーさまの場所が判る様になって来ると、当然の事ながら、家の裏の原っぱを探険に行きたくなっちゃう。


 原っぱと言っても芝生に成っている訳でも、人が手入れしている訳でも無くって、40センチくらいの草が生い茂っているだけ。木が少ないから原っぱに見えるだけって事ね。自分の身長は多分70センチくらい?茂った草は胸まであるよ。草をかき分けて中へ入って行くんだけど、すこし進むと足が根の方に引っかかって転んでしまった。歩きにくいったらありゃしない。仕方ないから草を踏み倒すようにして道を作りながら少しずつ進んでいくの。


 これ、上空から見たらミステリーサークルみたいな・・いや、ひまわり畑迷路みたいなのもいいかも。


 誰が上から見るのかはさておき、踏みつけた場所は道になるんだから、かーさまの気配がどのくらい離れていても感じ取れるのか試してみようと足を進めていく。気配がぼやけてきたら、気持ちを集中してかーさまを感じ取るように。感じ取ったらまた足を進めて、それを繰り返しているといつの間にかお家が見えないところまで進んでしまった。多分丘のような地形の上の方まで進んでしまったからなんだろうけど。

 かーさまの気配が感じ取れるから、特に慌てたりはしなかったよ。来た道を辿って帰れば良いんだし。ただ、あたしの姿が見えなくなって騒がれるのもいやなので、急いで踏みつけて作った道を我が家の方へ。明日はもう少し先まで行ってみようかしら。



 次の日になって、昨日作った道を辿って・・・と思ったら、踏みつけたはずの草が半分くらい起きていて、また道作りが始まってしまった。今日は戻らなくても良い様に丸い道にしてみようかなぁ。少しずつ湾曲させながら草を踏みつけつつ進んでいくの。


 ふと、かーさまのでは無い気配を感じてしまった。どんどん強くなっていく。


 や、やだ、なにこれ・・・あわててその場へとしゃがみ込んでしまうと頭の上を何かが通り過ぎていく。鳥?慌てて気配の方へと顔を向けるけど、気配はあっという間に弱くなっていき、ふっと消えてしまう。空中を飛ぶ何かが通り過ぎていったのはわかったけど、【認識】君も間に合わなかったの。鳥、なんだろうけど、魔力を持った鳥とかって居るのかしら。かーさまに聞いてみるにしても、実際に目で見た訳でもないし、魔力を感じ取れるのってまだばれてないし、勝手に探検に来たこともばれたら困るしねぇ。


 なんだかそれ以上奥へ行く気が失せたあたしは、すごすごと踏みつけて作った道をお家へと戻るしかなかったの。



 何日か経ってから、かーさまに聞いてみたわ。

「かーさま、鳥さん、まほー、使う?」毎度おなじみの首傾げ。

「鳥さん?魔法?うーん、居るらしいわよ。このあたりで見た人は居ないけど。山奥の方に行けばね」

 また、かーさまと質疑応答が始まってしまった。かーさま時間かかってしまってごめんなさい。いや、ほんとに申し訳ないと思ってるんですよ。最後ににこっと微笑んで有難うって言ってあげたじゃない。


 聞き取り調査の結果

1.魔力を持って居るのは人間(種族は沢山居るらしい。)だけではない

2.人間以外に魔力を持った動物を魔動物と呼ぶ。人が集まっている場所にはあまり姿を現さない

3.精霊という見えない生き物(?精神生命体らしきもの)がいる。魔力そのものが実体化した様な感じで魔力が膨大。人間と契約することがあるらしい。精霊魔法と呼んで、精霊の力を借りて魔法を使う。

4.魔力を感じ取れる魔法(?能力)がある。ごく稀らしい。

5. 近くの森に角ウサギと言う魔力を持った動物が居る。魔力を持っていない普通のウサギも当然居る。


 これは、あたしの記憶している百科事典には無い項目だよ。だいたいからして魔法とか魔力とかが架空・伝説ってなっているんだから。でも現実的にあたしは【魔力探知】さん(かなり希少らしい)と【認識】君が使える。1歳児が魔法使えるって、あたしすごい子なのかしら?学校って所に行ってもっといろんな事を知りたいなあ、行かせてもらえるのかしら。元々の世界の幼稚園や義務教育の小学校を思い出して、この世界の学校ってどんな風なんだろうなぁと想像を膨らませてしまうあたし。


 いやいや、まだ1歳になったばかり。とりあえずは明日からもお家の周りを探検せねば。


 改めて決意しながら今日もご飯食べたらこっくりしてしまって、ベッドに運ばれた記憶がないのは秘密にしておいて下さいませ。



6/14 若干の修正を加えました

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