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白の賢者 ~転生先は魔法の世界~  作者: 春野霞
第一章 
3/44

3 誕生日だった 

 立って歩ける様になったよ。まだバランスの取り方が良く判らなくってよちよちとしか歩けないけど、他所の家の子供より早いみたいで かーさま(母)も とーさま(父)もすごく喜んでくれた。とーさま(父)なんて、すごいすごいって抱き上げて頬ずりしてくるけど、少し伸びたお髭がちくちくして擽ったかったんだからね。

 

 会話も少し位は出来る様になって来たわ。意思が伝わるって有りがたい事よね。食事もお乳は卒業、ミルク漬けのパンみたいなのが主食になった。当然、じっと見つめてみたよ。

「動物の乳」「小麦パン」これは当たり前、さらに[認識]してみる。

「動物の乳:哺乳類カウ種の子供のための分泌液。滋養成分多。成分-たんぱく質、脂肪分、糖分、アミノ酸、カルシウム、ナトリウム。」「焼成穀物粉:天然酵母で穀物を膨らませて焼いた食物。成分-ライ麦粉、乳酸菌、酵母、塩化ナトリウム」

 そう、じっと見つめる[認識]いや【認識】君と呼ぼう、大きく進化したのよ。実際に食べたり飲んだりした物については、詳しい分析みたいな結果が出てきてびっくり。ベッドの柵も【認識】君してみると

「乳児用寝台柵」「材質:樹齢10年クリの樹。手作業で製材。表面加工、雑。塗装無し。無毒。」クリの樹だったのね、あれ。樹齢までわかるって・・・、ああ年輪あるから数えれば・・・いや、輪切りになって無いと数えれませんてば。触れた事があるからなんだろうけど、こんなのが判ってしまうってこの世界では当たり前の事なのかなぁ。


 この世界に魔法ってものが存在するのはかーさまに治癒してもらった時にわかったけど、この【認識】君も魔法の一つなんだろうなあ。大学の研究室の仲間達に「歩く成分分析器」と呼ばれて、1週間前の菓子パンをまだ食べても大丈夫か見てくれとか、いやいや、遠慮するわそんなの。

 

 【認識】君の使える回数も順調に増えたんだけど、最近あまり伸び無くなって来た。どうやら使った回数だけではないみたい。ここからは想像になるんだけどね。

 1.【認識】君-魔法-を使うのには魔力みたいなのが必要。

 2.魔力みたいなのは人によっては使える量が違う。

 3.魔力みたいなのは使うほど増える。

 4.魔力みたいなのを空にするほど使うと、増え方が大きくなる。

こんな法則がある様な気がする。【認識】君を使い始めた頃は数回使うと脱力感がしたけど、最近は脱力感を感じなくなって来たのよ。 多分、魔力みたいなのの全部を使いきれてないんだろうね。約10ヶ月、40週間経っているから、予想通りだとすると2^20=百万くらいに増えたはず。そんな魔力を空にするほど沢山の回数【認識】君を使うなんて無理無理。


 でも諦めずに毎日、【認識】君を飽きるほどに使って過ごしてる。家の中にあるものは全部【認識】君の餌食。キッチンの包丁はまさしく「刃物。料理道具。材質、鉄。片刃、鋭利。握り、くるみの樹製材」でした。かーさま、とーさま、イリアさんも【認識】君の餌食。毎日見ているので今日は少し疲れ気味とかまで判っちやうの。




 最近夜中には目が覚めなくなって来たのよ。その代わりに目が覚めた時にお布団が濡れてて・・あうっ、そうだよ、おねしょだよぉ 恥ずかしい。今日も目が覚めるとお布団が冷たかったんだわ、しょぼん。

 お片づけしてもらってから何時ものように朝ごはん。食卓でかーさまに【認識】君、今日もかーさまは元気そう・・・なんだけど、妙な気配を感じますねぇ。イリアさんは?【認識】君してみたけど、イリアさんからはあまり感じない。

 かーさま、ご機嫌ななめなのかしら。でも何時ものようにニコニコしています。うーん、今朝のおねしょの件じゃなさそうだし、なんだろう。判らない事は棚の上にあげておいて、お食事お食事。


「かーさま、これ、なぁに」赤い皮の果物らしき物で作ってあるウサギに見える代物を指差して質問してみる。

「プルの実のウサギさんよ、可愛いでしょ」なんとなくそんな風に聞こえたかーさまの返事。

【認識】君の結果は、「りんごの果実。八等分した中の一つ。皮を剥いて動物風にしてある」うわ、見た通りりんごウサギか。りんご=プルって事なのね。

「ウサギさん、耳、長い?」りんごウサギを指でつまみ上げて観察しながら聞いてみました。

「大抵のうさぎの耳は長いわね。短い種類のも居るらしいけどお母さんも見たことは無いわ。うさぎさんは近くの森にいくと居るわよ。たまにつのウサギも居たりするけど、メアリーはまだ小さいから森の方に行っちゃ駄目よ」

「うさぎさん、見たい、見たい」少しくらい我侭言っても良いかなとかーさまにせがんで見ちゃう。

「メアリーったら、仕方ないわね。そのうち連れてってあげるわ」かーさまは苦笑しながらも約束してくれた。こくこくと頷くあたし。初めてこの世界の動物を見る事ができるんだ、期待に胸をわくわくさせてしまうけど、仕方無いわよねぇ。




 かーさま、とーさま、イリアさんが皆そろって晩御飯になった。我家ではメイドのイリアさんも一緒にご飯食べるのが習慣になっているんだよ。他の家では違うところもあるらしいけど、一緒に暮らしてるんだから問題無しと思う。使用人だから同席するなんてとんでも無いとか、同じ物を食べるなんて問題外とか思う人も居るのかもしれないけどね。


 なんだか皆うれしそうににこにこしている。どうしたのかなぁ、あたしは子供用の背の高い椅子に座らせられてテーブルについたまま不思議で周りをきょろきょろ。

 「メアリーちゃん、今日はお誕生日よ。1歳になったの、おめでとう」とかーさま。

 「気に入ってくれると良いんだが」とーさまは動物のぬいぐるみをくれた。これ、犬なのか猫なのかそれとも熊さんなんだろうか?まだ動物園にも連れて行ってもらえていないあたしは、ぬいぐるみを見ても何の動物なのかわからない。そもそもこの世界に動物園って所があるのかしら。ウサギとか鹿とか狐くらいすこし離れた山に行けば居そうな気もするんだけど、まだあまり外に出してもらえないあたしは多分デフォルメされたであろうぬいぐるみから元の姿を想像してみることしか出来ない。

 「おめでとうございます」イリアさんは小さなエプロンみたいなのをくれた。これって、家事のお手伝いしてねって事かしら。それとも食べこぼしで服を汚すな、洗濯物を増やすなって・・

 だいぶ後で聞いたら、単に可愛く見えそうだからですって答えられて、取り越し苦労だったのがわかったけど、その時は冷や汗物だったよ。


 「ありが・・・」なんだかすごくうれしくなって、有難うが全部言えなくなっちゃった。お料理もとっても美味しくて、みんなで楽しく誕生日パーティ?をすごした。その晩は当然貰ったぬいぐるみを抱きながら眠りましたとも。


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