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王との邂逅

〔追記〕話の内容がなんとなく気に入らなかったので改稿しました。

お手数ですが一度見てしまった方ももう一度見ていただけると嬉しいです。

「それで俺たちはどうすればいいんだ?俺たちは戦いから無縁なところで生活してきたから、戦闘力は皆無だぞ。」


俺を除くクラス全員が魔王討伐に合意して時点で、健志がエリナ姫に聞く。俺の意見など空気なので勘定に入っていない。空気というのは、こういう時には不便だ。自分の意見が言えない。

まあ、俺は空気とともに事なかれも入っているので、多数が賛成しているところに賛成するんだが。


「とりあえずは、我が国の王、つまりわたくしのお父様にあっていただきます。」


「そうか、了解した。みんな、そうわけだから、王様に会いに行こう。」


二つ返事で、健志が了承する。いつの間にかこいつがリーダーみたくなってしまっていた。

こいつがいたら勇者劇に巻き込まれそうだから俺は実は反対だ。


「おう、そうだな。」


龍牙が答える。というか、みんなの意見は健志の意見のようだ。よく、他人をそんなに信頼できるな。


「それでは、皆さんついてきてくださいまし。」


この部屋には一つしかない扉から王女様を先頭にして、クラス全員が出ていく。

うちのクラスは30人ほどの小規模なクラスなのですぐに出終わる。


俺はいつもの定位置、最後尾だ。空気な俺にとって最後尾ほど気が楽なものはない。みんなは俺を気にせず前に行ける。本当に気が楽である。


城の赤い絨毯が敷き詰められ、騎士の甲冑が飾ってある廊下を見ると、自分が中世のヨーロッパの貴族になったような気分になる。気分になっただけで実際に慣れないのが惜しい。実際になることができたら奴隷をいっぱい買うのにな。


べ、別に性奴隷じゃないんだからね。


じゅうたんの柔らかい感じが非常に歩きごごちがいい。

ふわふわした感覚が足の裏を通して味わえる。城にじゅうたんを敷き詰めた、王の気持ちが今ならわかる。

しかし、5分も歩くと至福の赤い絨毯も終わり、目の前に荘厳な扉があらわれる。


扉には大きな鷲が描かれており剣を抱えている。それが左右の扉で一対になっているので、中二病チックな扉になってしまっている。こういうのに憧れていた時期が私にもありました。

鷲の目には宝石が埋め込まれており、角度によってはキラキラと光る。

本当に中二心を理解したいい扉である。


「ここが王の間です。勇者様どうぞお入りください。」


姫様の隣にいた若い騎士が重たそうな扉をひらき、招いてくれる。


中は、絨毯などは敷いておらず歩くと硬い石のような感覚がする。

絨毯、ひいとけよ。この城に来てから30分もたっていないが、なぜか絨毯中毒にかかったようだ。


奥にはこれでもかと宝石をあしらった玉座があり、そこにでっぷりと太り、額に脂汗を浮かべた王が座っている。

よく見れば、担任に非常に似ていて気持ち悪い。


玉座の周りには重要家臣なのか縦にいろいろな人が並んでいる。玉座へと一直線の道はその人たちが並ぶことによってできている。


開いた扉からぞろぞろと健志を先頭にして俺たちは入っていく。

こうやって真ん中を突っ切るのは楽しいものがある。家臣立ちも俺らが通ると、頭おを下げて挨拶してくれる。

健志が玉座も前に行ったあたりで、王様が口を開く。


「よくぞ参った、勇者殿よ。召喚に応じてくれたことを心より感謝する。」


うわ、声まで担任にそっくりだ。

それよりも、なんだよ召喚に応じたって、俺たちは強制連行されたぞ。


「お初にお目にかかります。勇者のリーダーのようなものをやっております。

ケンシ・ヤグラと申します。」


生まれてこの方一度も見たことないものすごく柔和な態度だった。人間へりくだれば、ここまでできるんだ。

それよりもなんでこいつ勇者のリーダーになってんの?馬鹿なの?死ぬの?

いつみんながお前を認めたの?


え、みんななんでそんな納得したような顔してるの?こいつがリーダーなのに反対なのってまさか俺だけ?それなら僕も賛成です。

事なかれ主義が役に立った。


「いいぞ、いいぞ。表をあげろ。私はここ、ファッツ王国第21代王。

グラキス・ファッツじゃ。」


なるほど、ここはファッツ王国というらしい。

名前にファッツとついていたのでうすうす気が付いていたのだが。


「私たちは、地球という世界の日本という国からやってまいりました。」


「うむ、時間があったら、その日本とやらも聞かしていただきたい。」


「わかりました。」


結構好奇心が強く、厳しくない王様のようだ。態度が軽いように感じる。

うちの担任とは大違いだ。うちの担任は偉そうで傲慢な奴だからな。


厳しくない王様だと健志も分かったのか、質問しても問題ないと判断して質問を開始するようだ。


「ところで、グラキス殿。質問がございます。よろしいでしょうか。」


「む、なんじゃ?私たちが答えられる範囲でこたえよう。」


「私たちの元の世界はどうなっているのでしょうか?それに急に私たちがいなくなると、家族は心配してしまいます。そして、私たちも今家族が心配です。家族は今どのようになっているのでしょうか?」


その質問はもっともだ。俺には、心配してくれる家族などいないが。


「うむ、シリア説明してやれ。」


「はい。」


シリアと呼ばれた女性がうなずく。


多分このシリアとかいう女性は、王宮の魔術師なんだろうなぁ、とか考えながら頑張って話を真面目に聞く。


「転移されたことで、あなた方の元の世界では、辻褄を合わすために存在しないものとされています。そのため、勇者様の家族は悲しむことなく、楽しい時を過ごされていることかと思われます。」


「え、そんなのって。」


誰かがもらした。当然の反応である。これまで育ててきてくれた者たちは自分たちのことは忘れてしまっているといわれたようなものなのだから。

俺を育ててくれた者はもういないが。


しかし、案外みんな悲しそうな顔をしていない。まぁ、高校生にもなって親離れをできていないものなんてほとんどいないだろう。

高校生とは、どちらかというと親が邪魔になってくる年齢である。


親がいないくらい何の問題でもない。


みんなの心にグサッと来たのは次の質問の答えだろう。


「私たちはもう元の世界には戻れないんですか?」


「ああ、すまない。それだけはできんのじゃ。それは許してくれ。」


王様からそんなことな言葉を聞いた時には、流石に今度はみんなの顔にあからさま嫌そうな表情が貼り付けられる。


それもそのはずである。ここはいくらファンタジー世界であろうが、中世のような文化には変わりがない。科学という、人類最大の武器を手にした近代社会の若者にはこの生活はつらすぎるのだろう。


しかし、それもつらいで済んでいるのはこの世界がファンタジー世界だからだ。


みんなの心には、不安もあるがわくわく、ドキドキのほうが強い。


魔法が使えるかもしれない。


勇者だからチートスペックかもしれない。


みんなの心には少なからずこんな考えがあるのだろう。

だから、現実逃避することなく嫌程度で済んでいるのだろう。こうしていられるのだろう。


健志による質疑応答はまだ続いている。


・自分たちは魔王を討伐したらよいのか?


・自分たちの衣食住は確保されているのか?


・この世界はどんなところなのか?


健志による質問は最終的に小一時間ほどつずいた。

それに律儀に答えていった王様は偉いと思う。


俺は、わかったことはこっそりとメモをとっておき、後で見返すことにする。


健志の質問も終わって、王様も喋りつかれたのか、豊満なお顔が少しやつれているように見える。


王様は最後に力ない声で、家臣に勇者たちを部屋に案内するように言うとそのまま玉座で寝てしまった。

こんなんでよく王様が務まるな。


俺たちはそのまま自分たちが寝泊まりする部屋に連れていかれ、ゆっくりするように言われた。


部屋は、一人ずつに個室があり、かなり広かった。タンスやクローゼットも多く存在しており女子は多分助かっているだろう。

最も重要なベッドもフカフカの良いものだった。今日はもう遅いのでゆっくりと寝てください、とのことだった。


俺はお言葉に甘えて今日起きたことを頭の中で整理しながらゆっくりと睡魔に侵食されるのであった。







読んでくださりありがとうございます。林朋昌炎です。

文章がおかしなところがあるのでもしかしたら直しているかもしれません。

〔追記〕文章を直しました。

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