表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

魔王討伐依頼

ゆっくりと意識が覚醒していく。

たしか俺は、異世界の勇者召喚に巻き込まれると使徒とやらに通知された後、教室に魔法陣が出たら意識を失ったんだっけかな?

案外記憶は鮮明に残っている。召喚などの後遺症が残っている可能性はほとんどないだろう。


そこまで思案したうえで、周りを見渡す。

俺以外のクラスメイトもしっかりいた。みんなはまだ眠っているようだ。


部屋は、綺麗な一室となっていた。よく見ると、教室の魔法陣と同じ形をした魔法陣がこの部屋の地面にうっすりとかたどられている。

魔法陣は教室と同じくらいのサイズだったので、この部屋も教室位のサイズだと考えられる。


扉を探すと、1か所位だけにしかない。

勇者を召喚する部屋なのだから厳重管理されているんだろう。

こういうのは、古代のアーティファクトっていう可能性が高いからな。


ガチャリ。そんな音がしてこの部屋には一つしかない扉が開けられる。


「勇者様一行がおられます!勇者召喚は成功したのですね!」


立派なドレスに身を包んだ王女様風の人が声を少し大きくしてこんなことを言った。

その後、現実を見たかのように俺が起きているという事実に気づき挨拶をしてくる。


「申し遅れました。わたくしこの国の王女で、エリナ・ファッツと申しますわ。以後お見知りおきを。」


「そんなことより、みんなを起こさないか?」


「はぁ、まあ、わかりましたわ。」


自分の挨拶が半分無視されたのが気に食わなかったのか少し不機嫌そうな顔をしながら返事をした、エリナ姫。


とりあえず俺は、隣の男子から起こしていく。

エリナ姫がいかにもといった騎士たちを呼んできたので、みんなを起こす作業は10分もかからずに終わった。


みんなが起きてから、エリナ姫が挨拶をもい一度だけする。


わたくしエリナ・ファッツと申します。この国の王女となっています。」


みんなは、それぞれ違う対応をする。


召喚された事実が理解できず、何もわかっていないもの。


疑心暗鬼のようにになって、召喚された事実を認めないもの。


エリナ姫に見惚れて声も出ないもの。


今思うと、エリナ姫はものすごく可愛いのである。


眩いほどの白い肌にそれを補うかのように活発な印象を受ける、赤色の髪。

日本では、絶対見られない超美少女である。

だが、エリナ姫が可愛かろうと可愛くなかろうと俺の対応は変わらない。


よし、寝よう。

だいたい、こちとら睡眠のための学校が削られてものすごく眠いのである。


地面に手をついてテレビを見ているおっさんのような姿勢で寝始める。地面が少し硬いのだが気にしない。


「ちょっとそこぉ!なに話も聞かずに寝ようとしているんですか!」


「え、だって眠いもん。」


「あなたときたら、私が挨拶しても無視するし、今は秩序を乱すして本当に勇者の一人なのですか!」


よくよく考えれば事なかれ主義の俺がいきなり問題を起こしてしまった。

自分でも表には見せないが少し混乱しているらしい。


「まぁまぁ、落ち着いてエリナちゃん。そう怒ってて何も起こらないよ。」


いち早く混乱の状態から抜け出た健志が顔を赤くして怒るエリナ姫をなだめた。グッジョブ健志。お前は本当にいいやつだよ。あと、イケメンじゃなかったら神と崇めていた。多分。


「さて、そんなことよりエリナちゃんに質問したいんだけど、いいかな。」


健志のイケメンスキルに俺の時とは違う意味で顔を赤らめながらエリナ姫が答える。この姫様堕ちるの早くないですかねぇ。


「はい!わかりました。どんなことでも聞いてくださりまし。ところでお名前は何ですか?」


この子、堕ちるの本当に早いんですけど。ケンシ君は神じゃない邪神だ。


「ああ、名前かい?僕は、ケンシ。ケンシ・ヤグラ。」


「ケンシ、ケンシですか。いいお名前ですね。」


「ああ、ありがとう。ところで早速質問してもいいかな。」


「はい!どうぞ」


「まず、何の目的で僕たちはこの世界に召喚されたんだい?」


「はい。まずみなさんを勝手に召喚してしまったことをお詫び申し上げます。しかし我が国は今現在、切羽詰まった状態にあります。」


ほう、勇者召喚を使うほどの切羽詰まった状態か。


「実は、魔王軍がグラン砦を襲ったのです。我が国は魔王軍を撃退。壊滅的なダメージを与えましたが、魔王が次にいつ攻めてくるかわかりません。そこで今攻めるのが遅れている時を見計らい、勇者を召喚したのです。」


な、なんというテンプレストーリー。これは王道過ぎるだろう。


「それはわかった。それで俺たちは元の世界に帰還できるのか?」


「そ、それはですね。えっとぉ~、そのなんというのか~」


「できません!」


何かが吹っ切れたようでエリナ姫は健志の質問にたいして思い切り否定の声を上げた。

それにしても、正直なお姫様である。詐欺とかに引っかかりやすそう。


「つまり、俺たちはこの世界で生きていくことが強要されると。そういうことだな?」


「は、はいそうです。」


うつむきながら答えるエリナ姫。

なんだろうこれ新しい性癖に目覚めそう。


それにしても、この勇者召喚はよくできている。

もとに世界に戻れないのならこの世界に帰化するしかない。すると邪魔になるのが魔王である。そして自分たちには魔王を倒す力がある。


「戻れないとかのうんぬんかんぬんは置いておくとして、つまり俺たちに残された道は、魔王を討伐することだけだと。」


「あの、その、えっと、お願いします。」


健志の言葉に対して深く頭を下げるエリナ姫。王族が頭下げるのを初めてみた。


「まあ、エリナちゃんの答えがどうであれ、俺は最初からやる気だったぜ。

困っている人を見捨てるのは嫌だからな。」


「みんな俺はやるぞ。けれどみんなにもやれと、押し付ける気はない。みんなは自分の判断でやってくれ。」


健志がそう言って、みんなに問う。

あら、ヤダなにこの主人公。この、主人公オーラは圧倒的である。


「おう、俺もやるぞ!」


いつも健志のそばにいる、熱血系の西宮龍牙にしみやりゅうがが耳が痛くなりそうなほどの爆音で言った。


それを聞いたクラスメイト達は、ダムが崩壊したように


「私も」


「俺も」


などといっている。


俺は何も言わない。周りと同じようにする。

事なかれの鉄則第一条である。ちなみに第二条は考えていない。


こうして、全員が勇者として魔王を討伐することになってしまった。


正直めんどくさい。






読んでくださりありがとうございます。林朋昌炎です。

定期更新と言ったな。あれは嘘だ。

というわけで2話目にして定期更新やめます。

理由は書きたいときに書きたいことが書けなくなるからです。


あと、主人公の名前がまだ出てきていないのは仕様です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ