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NEET IS NEED  作者: 師部匠
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 NEETとは、Not in Education, Employment or Trainingの略称である。本来、ニートの意味は日本におけるニートの意味とは違うが、ここは日本なので日本におけるニートの意味、定義について語ろうと思う。意味を知っている人や理解している人は読み飛ばしてくれて構わない。むしろ読み飛ばしてくれた方が時間の無駄にならず生産的だろう。知らない人はしっかりと読み、理解してほしい。理由は後述する。

 では、ニートの意味とは何なのだろう。

 平たく言えば働く気がなく、実際に働いていない無職の人間のことだ。学生や主婦はもちろん含まない。働こうと思っているが職がなく、働けない人間もニートではない。働く気がない人間がNEETなのだ。

 ニートにも様々な人がいるが、根底にあるのは働かなくても自分を生かしてくれる人間がいるということだろう。お金がある程度ないとニートはできない。働かないのに金があるはずがないのだ。だが、ニートは働かないで生活をしている。そこには親という存在が必要不可欠であり、多くのニートは親に甘え、生活しているのが真実だ。

 だが、親がいなくてもニートをしている人も実在している。

 私のことだ。

 ここまでニートについて語り、ニートを理解してもらったのは、これから語るのが私自身の話であり、NEETの物語であるからだ。

 その物語の結論から言えば私はニートではなくなった。だが、ニートであったことを恥だとは思わない。あれは私にとってかげがえのない時間であり、人生の一部なのだ。

 そして、その物語が誰かの心に影響を及ぼしたり、行動するきっかけになって欲しいとは思わない。これから語るはただの独白であり、私の心を整理するためなのだ。だから、感動やハラハラドキドキといった物を求めている人、底辺の人間を見て優越感に浸りたい人は読まないことをお勧めする。

 だが、私の物語でほんの少し、心が軽くなれば幸いである。

 前口上が長くなり申し訳ない。

 これから語るはNEETの物語。

 語るべきは私がニートになって半年が過ぎた頃からだろうか。




 ニートの生活とはいいものだ。

 何事にも縛られず、全てを謳歌することができる。

 親に養ってもらっているニートは真の意味での自由を得られてはいないだろうが、私は得ている。

 素晴らしき日々だ。

 朝は目覚ましなどセットしないで起きようと思うまで寝ていても文句は言われない。

 昼はささやかな木漏れ日を背負い気ままに昼寝ができる。

 夜は好きな時間まで起きて、やりたいことをやり、寝たくなったら眠る。

 この生活を至高と言わずして、何というのだろうか。

 とりあえずだが、私はニートになって半年間、思う存分ニート生活を堪能していた。何故、養ってくれる人間がいないのにニート生活ができるのだと思う方がいるかもしれないが、それは当然、貯蓄があるからである。貯蓄がある理由としては後に語るかもしれないが、今は語らない。

 だが、これだけは言っておこう。

 私は生まれてから働いたことがない。

 なぜなら、私は十七のガキでしかなかったからだ。

 十七のガキが生活できるレベルの金銭を稼ぐことができるだろうか? 

 土台無理な話だ。

 つまり、何が言いたいかというと、今ある貯蓄は私が自分で働き得たお金ではないということだ。




 さて、ニート生活を半年間もすればやることもなくなってくる。というより、要領がよくなり時間が余ると言った方が正しいだろう。今日も今日とて、日課のサイト巡回や読みかけの本を読み進めたり、溜まっているゲームを消化しようと考えたが、その日は天気がよかった。

 だから、私は外へ散歩をしようと考えた。

 ニートが外へ出るとはおかしいと思うかもしれないが、ニートは外へ出る。外へ出ないのは引きこもりなのだ。そして、私は引きこもりではなく、ニートなので、割としょっちゅう外へ出ては買い物をするのだ。

 あの日も天気いが良いから外へ出ることにした。

 そして、それは誤りだった。

 少なくとも、この日を過ごした私は、この日を最低の一日だったと認識していた。

 だが、今のニートをやめた私から言えば、この日は人生ターニングポイントと言われる日だったのだと思う。


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